システムインテグレーターの仕事とタイプについて

今回はシステムインテグレーターという企業の一形態について簡単に解説させていただきます。

システムインテグレーターとは

システムインテグレーターは、主にシステムの要件定義、設計、開発、運用、保守を オーナーとなる顧客から、それらの業務を一括して請け負う情報通信企業のことを指します。英語で「System Integrator」と表記し、英語略ではSIer(エスアイアー)と呼ばれます。その名の通り「システム」に必要な業務工程を「統合※」して、請け負い、ITソリューションを顧客に対して提供します。

※Integratorは日本訳で「統合、 集約」

システムインテグレーターのタイプ

システムインテグレーターと一口に言っても、その業務形態はそれぞれ枝分かれします。ここでは以下でそれらを解説していきましょう。

1.メーカー系

メーカー系のシステムインテグレーターは、ハードウェアを製造しているメーカー由来の企業のことを指します。基本的にはメーカーの情報処理部門・システム開発部門もしくはその一部等が独立し、SIerとなることがほとんどです。その成り立ちから、親会社からの依頼を受注することが多く、メーカー由来の製品と組み合わせたITソリューションを提供できるのはメーカー系のシステムインテグレーターがほとんどといっていいです。そのため、ハードウェア、ソフトウェアでシェアを持つ名だたる大企業の系列企業が、メーカー系のシステムインテグレーターが含まれています。

特徴としては親会社からの受注による、潤沢な予算の確保によって、プロジェクト計画に対してほとんど無理がなく、安定した品質を保つことができるという点と親会社の製品を使用することによる特定ツールのノウハウを蓄積しやすいことです。これによって一つの製品に対して高い専門性を持った人員を育成することができ、専門分野の人材多様性という点においては言うまでもありません。

ただし、使用機器が親会社のメーカーに縛られるため、業務を通して幅広いハードウェアの知識を身につけることが困難です。それ以外にも、親会社からの受注が業務を多く占めるので、親会社の動向に左右されやすいです。

2.ユーザー系

ユーザー系システムインテグレーターは、主に金融系、通信系といったIT以外の異業種企業からIT系の業務を遂行する一部門として成立後、独立することによって会社組織化した企業のことを指します。こちらもグループ会社・親会社からの仕事を請け負うことも多いですが、それらに頼らずに顧客を獲得して積極的に仕事をもらうことが挙げられます。

ユーザー系SIerは母体によって商社系・金融系などと呼ばれる場合もあり、大企業でもその親会社の主要業務はさまざまです。

特徴としては、メーカー系SIerと同様、親会社から潤沢に仕事が下りてくる傾向が強いのでとても安定しており、親会社の動向の影響を強く受けやすいという部分は共通です。ただ、異動という点で考えた場合は、親会社からの業務を遂行することがほとんどということもあって、出向や転勤が少なく、腰を据えた勤務が可能と言われます。

親会社のSI全般に関わる業務をメインとするため、システム開発以外にも親会社の業務に精通した多角的な人材が求められ、そこゆえに使用ハードウェアやソフトウェアなどに縛られない、自由度の高いシステムを構築することができます。ただ、コンサルティングなどの上流工程に業務が集中しやすく、実際のプログラミングなどの工程を他社の独立系SIerに下請けとして出す傾向も見受けられるので、要件定義、設計、開発、運用、保守までの幅広い業務を経験したい人からすれば物足りなく感じるかもしれません。

3.独立系

起業時からシステムインテグレーターとしての業務を専門に行う企業のことを指します。企業の一部門から派生した会社組織とは異なり、システムインテグレーション事業を遂行するために設立された会社が独立系にカテゴライズされます。その名の通り、独立した経営スタイルによってさまざまな業界のプロジェクトに携わることが多く、主にソフトウェア系の要件定義、設計、開発を業務の中核としています。

特徴としては親会社を持つメーカー系、ユーザー系とは異なり、業務内容の自由度が高い点にあります。ただし、メーカー系とユーザー系とは異なり親会社の後ろ盾がないことからコンスタントに案件を受注し、営業努力を必要とされます。また受注した案件によっては限られた時間と予算でニーズに応じる必要に迫られ、少ない人員で業務を回すことによって休日出勤や残業が増えがちとされており、それに応じて離職率も高めです。

その代わりに、さまざまなメーカーの製品を組み合わせ、独自のシステムを構築していくことができ、顧客に合わせた最適なシステムを生み出していくことが重要となるため、同時に幅広いスキルや知識を得ることを目的としている人には、大きなメリットと言えます。

おわりに

システムインテグレーターにはさまざまな由来があり、それぞれが得意とする業務があることが今回ご理解できたかと思います。システムインテグレーターへ興味がある方は、以上のことを踏まえて、選択するといいでしょう。