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IT系のエンジニア職には組み込み系エンジニアという職種があります。IT業界未経験者の方には、組み込み系エンジニアがどんな仕事をするか知らない方も多いのではないでしょうか。業界経験のある方であれば、何を専門に取り扱っているか知っていても、いざ転職するとなった場合に具体的な仕事内容や求められるスキルまで知っている方は少ないでしょう。今回は組み込み系エンジニアの仕事内容や転職するめに必要なスキルをご紹介します。

組み込み系エンジニアはどんな仕事か?

  

仕事内容

組み込み系エンジニアとは主にイヤホン・ヘッドホン、テレビ、DVDレコーダーといったAV機器や車載に組み込まれているソフトウェアを専門に扱うエンジニアです。組み込み系エンジニアは我々の日常生活でよく利用する製品のシステム開発を行っています。自分が担当した商品が店頭に並んでいたり、使われたりしている光景を目にしたときにやりがいを感じるでしょう。その反面、例えば車の組み込みシステムなどでは誤動作を引き起こすとそれが、交通事故に繋がり人の命に係わるケースも考えられます。そのため、特に安全面に配慮しなければならない仕事でもあります。

組み込み系エンジニアの平均年収

年収は一般的に企業、経験年数により異なりますので一概には言えませんが、以下が目安となります。

20代…400万~500万

30代…500万~600万

40代…600万~

IT系エンジニアの平均年収はプログラマーが420万円、システムエンジニアが550万円です。組み込み系エンジニアの年収はIT系エンジニアの平均的な収入を期待でき、日本の平均年収436万円(令和元年度)よりは高い年収を見込めるでしょう。

キャリアパス

組み込み系エンジニアのキャリアパスはITエンジニアと同様で、製品評価を担当するテスターやソースコードを使った開発するプログラマーから始まりその後、専門分野に特化したスペシャリストを目指すか管理職などのマネージャーを目指すキャリアパスが基本となります。また、近年さまざまな製品にAIが組み込まれるケースも増えてきていることから、キャリアパスとしてAIエンジニアを検討してみるのもよいでしょう。

組み込み系エンジニアの職種一例

・テスター、デバッガー

・プログラマー

・システムエンジニア

・スペシャリスト

・プロジェクトマネージャー

・AIエンジニア

組み込み系エンジニアに転職するために必要なスキル

組み込み系エンジニアが使用するプログラミング言語の主流はC、C++です。これらを扱えるスキルが求められます。組み込みシステムに使用されているコンピューターはコスト面などを考慮して、必要最低限の処理性能しか持たないものが採用されるケースが多いため、処理性能が速く無駄のないコード生成が得意なC言語、C++が用いられています。

未経験から組み込み系エンジニアに転職可能か?

組み込み系エンジニアの求人内容を見てみると「組み込み系のシステム開発経験~年以上」といったように実務経験を応募条件に定めているケースが多々あります。しかし、「組み込み系問わずにC、C++の開発経験がある」「C、C++のを使用できる」といったように組み込み系の実務経験がなくても応募できる求人もありますので、組み込み系エンジニアの経験がなくても転職を諦める必要はありません。

組み込み系エンジニア向けの資格試験

プログラミング未経験から転職するためにはC、C++以外にも組み込みシステムの基礎知識を習得するための勉強も合わせてしておくとよいでしょう。ETEC(Embedded Technology Engineer Certification:組込み技術者試験制度) といった組み込み系エンジニア向けの試験制度があるので、このような試験を受けて自身の実力を証明しておけば、転職活動のなかで選考を有利に進めることも可能でしょう。

ETECとは

一般社団法人組込みシステム技術協会が運営している組込み技術者向け試験制度です。近年、組込み系エンジニアの人材不足が続いています。こうした状況から、組み込み業界の活性化ならびに質の高い教育により人材育成の強化を図ることを目的に始まった試験制度です。試験は初学者向けの「組込みソフトウェア技術者試験クラス2(エントリレベル)」と中級技術者向けの「組込みソフトウェア技術者試験クラス1(ミドルレベル)」の2レベルに分かれています。試験に合否はなく、テスト結果からAからCまでの3段階で認定されます。試験後は分野別の正答率が分かるので、自分の実力が不足している分野の復習にも役立ちます。試験の各レベルで認定されるレベルは、以下のとおりです。未経験からの転職を目指す場合は、ミドルレベルの上位を目指すと良いでしょう。

組込みソフトウェア技術者試験クラス2(エントリレベル)

A・・・エントリレベルに要求される知識を十分に保有している。これら知識を活用して上級者の指導のもとで実務能力を高めることが期待されるレベル。

B・・・エントリレベルに要求される知識を保有しているが、まだ不足している部分がある。実務経験を通じて不足しているスキルを補う必要があるレベル。

C・・・組込みソフト知識が不十分であり、実務に携わるには更なる知識の習得が必要なレベル。

組込みソフトウェア技術者試験クラス1(ミドルレベル)

A・・・プロジェクトを総括して、遂行できる能力を保有しているレベル。

B・・・上位者の支援の下、プロジェクトを管理・遂行できる能力を保有しているレベル。

C・・・上位者の支援の下、プロジェクトを管理・遂行する「潜在能力」を保有しているレベル。

今後の組み込み系エンジニアの将来性や需要は?

組み込み系エンジニアの需要は今後も高まっていく可能性が高いです。その理由は、IoT技術の成長が著しいためです。IoTとは、自動車や家電といった「モノ」をインターネットに接続する技術です。具体例としては「見たいテレビ番組があったのに予約を忘れてしまった場合に、外出先からインターネットを通じて家のブルーレイレコーダーにアクセスして番組予約をする」などがあげられます。こうした技術を今後さらに発展させていくためには、組み込み系エンジニアの力が必要不可欠となります。IoTは今後も成長していくことが予想される技術であり、それに伴い開発案件の数が増加していくでしょう。当然、求人数も増加していくため未経験者でも転職できるチャンスが広がっていく可能性が高まっていきます。

まとめ

組み込み系エンジニアは身近にある製品を取り扱う技術者ですので、自身が開発した製品が使われている光景を目にする機会も多くやりがいを感じやすい仕事でしょう。転職するには、プログラミング言語のCとC++を使用できることが必須条件となるケースが多いでしょう。もし未経験から転職を目指す場合はETECという組み込み系エンジニア向けの試験も受験しておくことをおすすめします。組み込み系エンジニアはIoTの発展などもあり、今後さらに需要が高まっていく可能性がありますので、興味のある方は転職を検討してみてはいかがでしょうか。