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ITエンジニアの平均年収は、多様な職種があるなかでも比較的高額だといわれていますが、それを実感できている若手エンジニアは多くないかもしれません。終身雇用が前提となる日本企業では、年功序列の給与体系になりがちであり、若手の頃はスキル・知識を含めた実力が給与に反映されにくい面があるからです。正当な評価を得るために転職を検討しているエンジニアの方なら、高年収が狙えるといわれる外資系IT企業が気になっているのではないでしょうか?

それでは、外資系IT企業のエンジニアとして採用されれば、本当に高年収を狙えるのでしょうか?日本企業と異なる外資系ならではの特徴、外資系ITエンジニアに求められている資質やマインドセットなど、転職を考えている方であれば気になる外資系IT企業の基本を解説していきます。

外資系企業の定義

経済産業省が毎年実施している動向調査によれば、国内法人が出資しているかどうかに関わらず「外国投資家が株式または持分の1/3を所有」かつ「外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上」の企業を「外資系企業」と定義しています。具体的には、以下のパターンが挙げられます。

・海外企業が日本に設立した現地法人で、100%が海外資本
・海外企業と日本企業の合弁会社で、外資の比率が多い
・日本企業を海外企業がM&Aで買収し、100%が海外資本

日本には製造業を含む多数の外資系企業が存在しますが、特に存在感が大きいのが金融系、そして情報通信系=IT系だといえるでしょう。

分野別の外資系IT企業代表例・平均年収

もちろん、外資系IT企業といっても事業分野はさまざまであり、ある分野にとどまらない幅広い事業を展開する企業も少なくありません。おおざっぱではありますが、分野別に見た外資系IT企業の代表例や特徴、平均年収を紹介していきます。

外資系ITメーカー

グローバルに事業展開する海外のソフトウェア・ハードウェアメーカーが、日本法人を立ち上げる形で進出してきているのが外資系ITメーカーです。事業の中心となるのは、主に本国で開発されたソフトウェア・ハードウェアを日本向けにローカライズ・カスタマイズし、拡販展開していくことだといえるでしょう、日本マイクロソフト、SAPジャパン、アップルジャパンなどが代表例として挙げられ、マーケティング・営業などを含む幅広い職種を募集しているのが特徴です。

エンジニア職の募集は多くはありませんが、セールスエンジニア・プリセールスなどの職種があるのも魅力でしょう。有名企業の場合ですと平均年収は約610万円~1,170万円程度だといわれています。

外資系ITコンサルティングファーム

経営課題の解決に、今やITは切っても切り離せない関係性を持っています。世界有数の外資系コンサルティングファームも、デジタル部門=IT部門を持つIT企業だといってもいいでしょう。デジタル部門を持つアクセンチュア、外資系ITメーカーとしての顔を持つ某などが代表的な企業として挙げられます。アクセンチュアはエンジニア職の募集は少ないものの、大企業の場合平均年収は約858万円~1,012万円程度だといわれています。

外資系Webサービス企業

インターネットの高速化に伴い、人気・存在感が高まっているのが外資系Webサービス企業です。自社サービスアプリの開発・日本語最適化はもとより、データ分析、クラウド事業、マーケティング、UI/UX開発など、多種多様な職種を募集しているのはエンジニアにとっても非常に魅力的でしょう。Google、アマゾンジャパン、Twitterなどが代表的な企業として挙げられますが、有名企業の場合平均年収は約600万円~1,130万円程度だといわれています。

外資系IT企業のエンジニアは高年収?

ただし、ここまでで紹介した外資系IT企業の平均年収は、すべての職種を含んだものであることに注意が必要です。職種・ポジションによって年収が変わるのは当たり前であり、企業のポリシーによってもエンジニアの待遇は変わります。たとえば、平均年収が約858万円といわれる某外資系ITコンサルティングファームでは、プログラマー約580万円、ソフトエンジニア約680万円ですが、シニアプロジェクトマネージャーになれば約904万円に平均年収が跳ね上がるといわれています。某外資系ITメーカーのように、450〜1,800万円と開発エンジニアの年収が非常に幅広い例もあります。しかし、いずれにしても日本のIT企業のよりは高年収が期待できるのは間違いありません。

外資系IT企業のエンジニア求人例

それでは、外資系IT企業が具体的にどんなエンジニアを求めているのか?転職を目指すエンジニアの方がイメージを描きやすいように、公開されている正社員求人情報をいくつか紹介してみましょう。ある転職エージェントで公開されていた外資系IT企業の求人は、検索時点で18件ありました。

医療機関向け外資系コンサルティングファームの開発エンジニア求人
・必須要件:Linux/シェルスクリプト、SQLでの開発経験3年以上、大卒以上
・歓迎要件:Python / Pandasの知識・経験
・待遇:正社員、年収600〜700万円

大手外資系メーカーのサポートエンジニア求人
・必須要件:Linux OSS / C / C++ / C# /アセンブラなどの知識・経験、学歴不問
・歓迎要件:ビジネスレベルの英語力
・待遇:正社員、年収650万円〜

大手外資系クラウドメーカーのエンジニアチームマネージャー求人
・必須要件:エンジニアマネジメントの経験、ビジネスレベルの英語力
・歓迎要件:エンジニアの育成経験
・待遇:正社員、年収1,000万円〜

外資系IT企業の特徴

同じカテゴリーでの求人数が1,131件あったことを考えれば、外資系IT企業の求人数は相対的に少ないことがわかります。また、比較的年収が高額であること、求める人材像が明確であるのも求人情報から読み取れます。これは、外資系IT企業ならではの特徴が求人に反映されているといえるでしょう。簡単に解説していきます。

年齢・性別を問わない成果主義

外資系IT企業では、年齢・性別を問わず、従業員個人の業績や成果に基づいてポジションや給与が’決定される成果主義が徹底されています。年功序列型の日本企業のように、エスカレーター式に昇進するということはなく、どんなに勤続年数を重ねても能力がなければ脱落していくしかありません。実績もなく能力も未知数な新卒者をゼロから育てるという概念もないため、必然的に空席になったポジションに見合う能力を持つ人材を外部に求める形になるのです。

福利厚生・退職金の整備は期待薄

外資系IT企業の年収が高額なのは、優秀な人材を集めて会社の利益を最大化すること、そしてビジネスで得られた利益は従業員・株主に還元する意識が強いことが理由だと考えられます。そのため、社内にカフェテリアを設けるなどの職場環境整備は重視しますが、いわゆる福利厚生の充実といった考えは薄く、退職金という概念もないという外資系企業がほとんどです。これは仕事とプライベートのメリハリをつける、キャリアアップに向けた転職が当たり前という、文化の違いから来るものが大きいといえるでしょう。

解雇されやすい?

業績・成果に応じて、その対価となる年収・ポジションが得やすいのは、外資系IT企業の大きなやりがいではありますが、業績・成果を出せなければすぐ解雇されてしまうのではないか?と考える方も少なくないかもしれません。それはある意味では正解ですが、そうとはいい切れない面もあります。たとえば、アメリカ系の企業で採用される際に、カリフォルニア州法が適用されると記述された契約書にサインしても、日本で働く労働者には日本の労働法が適用されるからです。

ただし、日本企業では個人業績が振るわなくても基本給の大幅カットまではあまり行われませんが、外資系IT企業では日常茶飯事です。業績が振るわなくても即日解雇ということはありませんが、転職支援の話を持ちかけられる可能性はあるでしょう。

エンジニアのキャリアパス

ポジション名が異なることはありますが、プログラマーから、システムエンジニア、プロジェクトリーダー、プロジェクトマネージャー、コンサルタントといったキャリアパスがあるのは、日本企業も外資系企業も変わりません。ただし、某外資系ITメーカーのように開発エンジニアだけでも年収に大きな幅があるのも外資系企業の特徴です。会社の利益に大きく貢献できるスキルを持っていれば、ポジションに関係なく高額年収が期待できるといえるかもしれません。

外資系IT企業に適した資質・マインドとは?

能力・成果に応じたインセンティブが期待できる外資系IT企業は、大きなやりがいがある反面、日本企業の常識とは異なった文化・考え方に適応しなければなりません。外資系IT企業への転職を成功させるには、エンジニアとしてアピールできるスキル・能力を磨く以外にも、文化・考え方に違いに適応できる資質・マインドが必要だといえるでしょう。具体的に解説していきます。

英語力

求人例では歓迎要件とされている企業もありますが、外資系IT企業で働くのであれば英語力は必須だといえるでしょう。もちろん、求人しているポジションによってどの程度の英語力が求められるかは異なります。マネジメント職以上になればなるほど高度な英語力が求められる傾向にあり、クライアントとの折衝が必要なポジションなら、ビジネスレベルの英語力が必要です。プログラミング・コーディングが中心のエンジニアであっても、外国人スタッフと円滑にコミュニケーションできる程度の英語力は必要です。実際の英会話力を表しているとはいえませんが、採用の基準としてTOEICスコアが用いられるケースも多く、最低でも600点以上の成績は取っておきたいところです。

自己発信能力

採用時、あるいは四半期、年度ごとに明確な数値目標が設定される外資系IT企業では、その達成度をもとに評価が決定されます。一方、上司からの評価に対して交渉の余地があるのも外資系IT企業の特徴です。外資系で働くメリットを最大化するためにも、自身の成果をもとにした貢献度を分析し、アピールしていくための自己発信能力が必要です。実際、他社からのヘッドハンティングを材料に年収アップを交渉するなどは、外資系ではよくあることだといえるでしょう。

目標を達成し続けるマインド

「Up or Out」という考え方のある外資系IT企業では、成果を出し続けられる人材=高年収・高ポジションですが、成果が出せない人材=退職です。常に成果を出し続けるにはどうすべきか、なにをすべきかを考えて実行できる強いマインドと、スキル・能力をバックボーンに、いつでも転職して成功できるという楽観的なマインドを持てるエンジニアであれば、外資系IT企業にフィットできるでしょう。日系企業で働く場合と大きく違う、マインドセットの切替えができるかどうかが転職成功へのカギになります。

まとめ

終身雇用の意識が強い日本企業では、年齢を重ねるごとに転職が難しくなるのが現状であり、IT業界であってもその傾向は変わりません。そういった意味でも、年齢・性別を問わずにキャリアアップ転職が望める外資系IT企業は、スキル・能力に自信を持つエンジニアにとって魅力的な選択肢だといえるでしょう。高い上昇志向を持ち、リスクにも立ち向かえるマインドセットを持てるエンジニアの方は、外資系IT企業への転職にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?