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最初に

今回はプログラマーにとって「資格」の意味や有用性について紹介していきます。これからプログラマーを目指す方や現在プログラマーでバリバリ仕事をこなしている方で資格を取得しようか迷っている方に参考になれば幸いです。
最初に結論から申しあげておきますと、SIerにおいては資格が有用な場合がありますが、Web業界においては資格というものは不要であるという認識で問題ないです。SIerにおいては資格の保持者を企業側が優遇する場合があるのですが、Web業界においては一部の例外を除いてそのような優遇制度は存在しないのです。

SIerの場合

ベンダー資格

まず、SIerにおいて企業側が何らかの資格保持者を優遇する場合を説明していきましょう。
これは、とある資格、特にベンダー資格というものを従業員がもっている場合に競合他社との受注競争で有利になれるのです。また、発注元に対して高単価を請求することが可能になります。
例えばMicrosoft系の技術を使う開発案件に関する受注競争においては、どの会社がその技術に詳しいのかを客観的に証明する目安が必要になり、ベンダー資格というのはその目安としてとてもわかりやすいのです。Oracle系の資格やSAP系、salesforceの資格等があり、こういったベンダー資格、特に上位の資格の従業員を持っていると受注競争に勝てる可能性が高くなったりする場合があります。そのため、従業員にこのようなベンダー系の資格取得を奨励して教材の購入費用や受験費用を負担している会社は数多くあります。
エンジニア側からすると、何らかのベンダー系の資格を持っているとそのベンダーの技術を使っている別のSIer企業に転職しやすくなるといったメリットがあります。

国家資格

国家資格の場合はどうなのかというと、入門的な資格は別として高度情報処理技術者という分類に入る資格、例えばシステムアーキテクト試験、ネットワークスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験などは難易度も高く権威もあります。ただ、前述したベンダー資格のように、ある案件において従業員がその資格を持っていると受注角度が上がるといったような会社にとっての明確なメリットがない、つまり実務における即効性がないと言えるので、ベンダー資格ほど会社側が力を入れていない場合が多いです。
SIer企業における国家資格の用途としては、例えばデータベーススペシャリスト試験に合格していると少なくともデータベース方面にある程度詳しいということの証明にはなるので、社内でデータベース周りの仕事を任せてもらいやすくなります。要するに個人のキャリアの方向付けという用途で使われているイメージです。

Web業界の場合

Web業界、特に自社サービスを作っている会社においてどうなのかというと、資格取得を積極的に奨励している企業というのは多くないです。プログラマーの就職・転職において資格が大きく有効に働くケースというのも基本的には無いと考えて問題ないでしょう。
自社サービスを作っている企業が従業員の資格取得を重視しない一番の理由は、従業員が何らかの資格を持っているからといって自社のサービスがヒットしやすくなったり、競合他社のサービスより有利になったりすることはないからです。また、SIer企業は何らかの民間ベンダーの製品に特化した技術を使うということはありますが、Web系企業においては例外を除いて基本的には無いです。ほとんどの開発にはオープンソース系の技術を使っている場合が多く、そのような技術は流行り廃りのサイクルが早いため該当するような資格がそもそも存在しないという理由もあります。

ところで、先ほど例外もあると記述しましたが、その点について少し説明します。Web業界には自社サービスを提供している企業の発注を受けて受託開発を行っている企業もかなり存在するのですが、特にクラウド系の開発を専門にしている企業、いわゆるクラウドインテグレーターの場合、社員がクラウド系の資格、特にAWS系の上位資格を持っていると様々なメリットがあるようで、そのため会社的にそのような資格の取得を奨励しているケースもあります。
ほとんどのWeb系企業はAWSに対する依存度が非常に大きく、そこに使われているお金も膨大なので必然的にAWS周りの開発を専門に請け負う会社がたくさん出てきており、そうした会社同士の受注競争においてはSIer企業と同様に社員がベンダーの資格を持っていると有利になったりあるいは業界内のプレゼンスを高めたりすることが出来ます。そのため企業側としては資格取得を奨励することになり、そのようなベンダー資格の価値が高くなるということです。
したがって、クラウドインテグレーターで働きたいと思うのであればAWSやGCPのような資格は有効であると言えるでしょう。
まとめるとクラウド系の資格は「クラウドインテグレータ」の中では有用ですが、自社サービスを持っているWeb系企業においてはほとんど有用性はないと考えて良いです。

最後に

資格は内容によっては転職で有利になる可能性もあるので、取得することが全く無駄になるわけではありません。プログラマーのキャリアの方向付けとしてどの資格を取るのかはじっくり考えておくと良いでしょう。最後までお読みいただきありがとうございました。