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はじめに

プログラマーと英語スキルという両者には密接な関係があります。英語の必要性についてはプログラマーによって否定的な意見を示す方もいるかもしれませんが、プログラミングにおいて英語が切り離すことのできない要素であることは間違いないでしょう。また慣れてしまえば英語スキルの有無はそこまで影響してきませんが、初心者がプログラミングを始める際は英語スキルが有利に働くということも言えます。すでにこの記事の結論を述べましたが、プログラマーと英語の関係性について様々な側面から詳しく見ていきましょう。

コンピュータと英語の関係性

2021年現在、日本人である私達がパソコンやスマートフォンを操作するに当たって、アイコンや機能の表示は当然のように日本語で示されているので何の問題もなく使いこなせる人がほとんどです。特にWindows95が登場してパソコンが一般的なものになってからは、日常で利用するコンピュータを英語表示で操作する人は少なくなってきました。しかし数十年前はGUI(Graphical User Interface)というグラフィック主体で直感的に操作できる画面はなく、CUI(Character-based User Interface)の画面上に英語のコマンドを打ち込んでコンピュータを操作していました。このことは英語が母国語ではない日本等の国でパソコンが普及しづらかった一因とも言えます。現在ではCUIでの操作が行われる場面は個人でLinux系OSを利用している場合、あるいはIT関連の仕事をしている場合にほぼ限られる状況になりつつあります。なおWindowsのコマンドプロンプトやMacのターミナルを使っている方は現在でも英語のコマンドを打ち込む機会があることでしょう。

プログラミング言語と英語の関係性

日本国内で利用するパソコンやスマートフォンの操作は日本語が当たり前という中にあって、OSを含めた様々なシステム開発に使われるプログラミング言語はいまだに英語が主流です。日本語でプログラミングを行えるものも存在はしますが非常に稀で一般的ではありません。また日本で開発された「Ruby」のようなプログラミング言語であってもコーディングに使われる言語は英語となります。

利用するプログラミング言語のマニュアルや最新情報を読みたい場合も、海外で開発された言語はそのほとんどが英語で書かれています。しばらくすると誰かが日本語に翻訳したドキュメントを読むことができますが、最新情報を誰よりも早く取得したいとなると英語を読解できる必要が出てきます。

プログラマーに英語力はどの程度必要か?

ここまでコンピュータやプログラミング言語と英語の関係性を紹介してきた中で、英語のスキルが必要なことは多少理解いただけたことでしょう。しかし実際どの程度のレベルで英語スキルを保有しておけば良いかに触れていないため、各状況に分けて詳しく紹介していきます。

プログラミングにおける英語スキル

プログラミングを始めるに当たって英語力が皆無であっても、プログラムを覚えるのと同時進行で覚えていけば問題はありません。しかし英語も分からず、プログラムの基礎も分からないという状態からでは思うように学習が進まない可能性があります。そのためある程度の英語力を持っていることが求められますが、そのレベルは義務教育で習った程度で問題ないと言えます。

今回は長い間人気の言語として多くのシステムで利用されている言語「PHP」を例にとりますが、例えばPHPの構文に「if文」というものがあります。多少の英語スキルがあれば「if」は「もしも」という意味であることがわかりますが、実際にif文はプログラミングにおいて「もしある条件に一致した場合はこの処理を行う」という内容をコーディングする構文です。さらに「if else」というものがあり、条件に一致しなかった場合に行う処理内容をコーディングするif文の一部となります。「if else」においても「else」が「他の」という意味だと理解していればコーディングの内容が何となく理解できることでしょう。

もう一つ例を挙げますが、PHPでは関数を指定する際に「function」という記述が必要になります。プログラムで言う「関数」は数学に出てくる関数と同様で、処理を汎用化にするために変数を使って作成された式のようなものです。なおプログラムにおいては変数のことを「引数」と呼ぶ場面が多く、この引数とは様々な値を代入する変数のことを指してます。プログラムに直接「10×10」という数値を入力した場合、「5×2」と数値を入れ替えることができません。しかし変数を使って掛け算を行う関数をあらかじめ作成しておけば、都度引数に異なる数値を受け渡すことで異なる計算結果を表示できるようになります。このように掛け算ができる関数をあらかじめ作成しておくことで一つの「機能」が出来上がり、掛け算が必要な場面でその機能を再利用できるようになります。もしfunctionが含まれたPHPのコードを初めて見たとしても、「function」が「機能」を意味する英語ということがわかっていれば何となく意味が理解できるようになり、プログラミング自体の理解を助けることとなります。少しプログラムの踏み込んだ内容が含まれてはいますが、義務教育程度の英語スキルがあればプログラムの知識がなくても、さも英文を翻訳するようにコーディングを理解することが可能になるという状況がわかっていただけたことでしょう。

また、プログラミング言語と英語の関係性でも触れましたが、プログラマーはコーディングする中で不明点が発生したときや、開発のヒントを得たい時に対象言語のマニュアルやインターネット上の情報を探すことがあります。今回例として挙げたPHPは歴史も長く日本語の書籍やインターネット上の情報が充実しているので、英文の情報に触れずとも問題を解消できる可能性が高いですが、新しい言語や日本での普及率が低い言語の場合は、英文の情報を読解する機会がどうしても多くなります。そのためプログラマーはここでも英語のスキルが必要となります。確かに近年ではGoogle翻訳等のツールが精巧になってきているため、英文をそのまま入れ込んで翻訳すればある程度理解できます。それでも細かいニュアンスに関しては、原文を自身で翻訳した場合と差が出てくることがあり、最悪の場合翻訳サービスの誤訳に気づかず誤ったプログラミングをしてしまうことにもなりかねません。また書籍等で渡された英文を訳す場合には直接自分で翻訳できた方がはるかに時間が削減できます。この点においては義務教育程度の英語スキルだけでは難しいところがあり、日常会話ができる程度のレベルを保有していることが望ましいです。

コミュニケーション面における英語スキル

自身がアメリカなど英語圏の国に行くことになれば英語スキルが必要となることは言うまでもありませんが、国内であってもプログラマーとして働く場合に英語力を持っていると、コミュニケーションに役立てることができます。IT業界では海外の人を採用していることも珍しくなく、ほとんど日本語が話せなくても一緒に仕事をすることがあります。そういった場合で英語が話せると日常の会話はもちろん、打ち合わせやミーティングでの意思疎通がしやすくなります。また意思疎通をするために欠かせない重要人物としてのポジションを築けることにもなります。外国語ができるという付加価値によってキャリアアップや収入アップにつなげられる可能性も出てきます

開発プロジェクトにおいて海外ベンダーのソフトウェアやシステムを取り入れている場合、海外の企業と共同でシステム開発している場合、オフショア開発を導入している企業等でも英語スキルは必要とされます。もちろん相手が中国や韓国といった国の場合にその国々の言語が話せるに越したことはありませんが、英語は依然として共通語になりやすい言語なので、最低限英語が使えると各国とのコミュニケーションがスムーズになる可能性は高いと言えます。

プログラミング英語検定

英語スキルがあるとプログラミングに役立つことを象徴している試験として「プログラミング英語検定」というものがあります。この試験はプログラミングが効率的にできる英語力を身につけることを目的として運営されていて、決してTOEICのような純粋な英語力を試すものではありません。

高校生から受験が可能で「プログラミング英語検定ジュニア」、プログラミン英語検定の「ベーシック試験」「アドバンスト試験」の3レベルに分けられています。いずれの試験もWeb上でいつでも受験可能なうえ、最大でも試験時間45分とお手軽なので、プログラミングできるだけの英語力があるかを試したい方にはおすすめです。なおそれぞれ1,650(税込)〜4,400(税込)円の受験料がかかるのでご注意ください。最上位レベルの「アドバンスト試験」に合格すると、英検2級程度の英語力と、プログラミングの基礎知識を保有していることが認められます。

まとめ

英語のスキルがないとプログラマーになれないということはないものの、スキルを持っていることでプログラムの学習がスムーズになり、IT業界の多方面での活躍が期待できる可能性があります。そのため現在学生で今後プログラマーを目指している方はぜひ英語の授業にも注力することをおすすめします。またすでにプログラマーとして活躍している方も、さらなる飛躍のために英語の学習を検討してみてはいかがでしょうか。