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2019年のGitHub最新調査で世界2位の人気を誇るなど、日本を含む全世界で注目され、将来性を有望視されているプログラミング言語が「Python(パイソン)」です。国内でもPythonを使ったシステム開発案件は増加傾向にあり、Pythonエンジニアへの需要は高まる一方だといえるでしょう。キャリアアップ転職するためにも、Pythonを習得しようと考えている方、更なるスキルアップを考える現役Pythonエンジニアの方は多いのではないでしょうか?

そんなとき、まず最初に決めておきたいのが「どのような働き方を選ぶか」です。収入はだれにとっても重要な要素ですが、ライフスタイルの多様化する現代では、収入よりも働き方に重きを置く価値観もあるからです。そこで本記事では、Pythonエンジニアが派遣を選択した場合の働き方・収入・求人案件を考察するとともに、会社員・フリーランスと比較したメリット・デメリットも紹介していきます。

Pythonの特徴

Pythonとは、動的型付きでオブジェクト指向・関数型プログラミングの性格を持つ、インタープリタ型プログラミング言語です。分散OS「Amoeba」のシステム管理を目的にGuido van Rossum氏が開発し、1991年に最初のバージョンがリリースされました。以降、メモリの不要領域を自動解放する「ガベージコレクション」の実装、Webアプリケーションフレームワーク「django」の登場を経て、幅広い開発に活用される人気プログラミング言語へと進化を遂げています。以下からは、これからPythonを習得しようと考えるエンジニアの方に向け、Pythonの持つ特徴を簡単に解説していきます。

文法がシンプル・学習コストが低い

Pythonは、コードの読みやすさ・書きやすさを重視して開発されているため、文法がシンプルで覚えやすいのが特徴です。初心者向けプログラミング教育に活用されることもあり、学習コストも抑えやすいでしょう。オフサイドルールという、直感的に入れ子構造を理解できる記述ルールがあるのもポイントです。一流のプログラマーが書いたコードを参考に、初心者が複雑なコードを書くのも可能です。

豊富なライブラリを活用した開発

シンプルなプログラミング言語であるPythonは、開発をサポートする膨大な数のライブラリが公開されているのも特徴です。数万種類ともいわれるPythonライブラリを活用することで、さまざまなシステムを効率的に開発できる環境が整っています。ライブラリの一例を挙げておきます。

・数値計算
・信号・統計処理
・ファイル処理
・ネットワーク処理
・並列処理

AI・機械学習との高い親和性

統計処理・数値計算などを得意とするPythonは、機械学習・ディープラーニングなどのAI分野で、もっとも注目を集めているプログラミング言語です。PythonがAI・機械学習と相性がいいといわれる理由には「シンプルでコードを読みやすい」「初心者でも習得しやすい」「統計・数値計算のライブラリが豊富」が挙げられることが多く、Pythonの持つ特徴がそのまま活かせるのがAI分野なのだといえるでしょう。

実行速度は速くない

一般的に、ソースコードを逐次機械語に変換するインタープリタ型は、一括変換するコンパイラ型に比べて実行速度が遅いといわれていますが、インタープリタ型であるPythonも、実行速度は速くないという弱点を持っています。このため、大規模基幹システムやゲームなど、処理速度の速さが重視される開発には向いていないといわれています。

Pythonエンジニアが活躍できる領域

シンプルで学習しやすく、豊富なライブラリで汎用性の高い開発が可能なPythonを習得すれば、エンジニアとして活躍できる領域が広がるのは間違いありません。Pythonがどのような開発に活用されているのか、具体的に紹介していきます。

AI・機械学習

特徴の項目でも触れたように、現時点でのAI・機械学習の開発分野では、独壇場といってもいいほどPythonが活用されています。AI分野のライブラリが充実しているのもPythonが圧倒的な強さを持つ理由です。Googleの「TensorFlow」facebookの「PyTorch」などの機械学習ライブラリ、「CHAINER」などのニューラルネットワーク実装ライブラリ、「NumPy」などのデータ解析ライブラリが利用可能です。

Webアプリケーション

Webアプリケーションフレームワーク「django」で大きく活用が拡大したPythonは、比較的大規模なWebアプリケーション開発で多用されています。有名なところでは「YouTube」「Instagram」「Evernote」「Dropbox」などがPythonで開発されており、Google Mapのバックエンド開発にもPythonが活用されています。

組み込み系アプリケーション

スマート家電をはじめとした組み込み系アプリケーション開発でもPythonは活用されています。今後はAIを活用したIoTの需要が高まると考えられており、AI分野・組み込み系分野に強いPythonは、どちらにも対応できる汎用性の高さで更なる活用が進むと予想されます。

データ加工・編集、Webスクレイピング

少し変わったPythonの活用法としては、データ加工や編集、Webスクレイピングなどへの利用が挙げられます。ExcelやPDFのファイルを直接扱えるPythonであれば、特定の条件のデータを抽出して書き出し・編集などが可能です。世界中のWebサイトから必要な情報を収集させるのも可能です。

Pythonエンジニアの年収・将来性

Java・PHP・JavaScript・C言語など、求人数の多いプログラミング言語はエンジニアの年収が平均化されやすい一方、R・Go・Scalaなどの稀少言語はエンジニアの年収が高額になりがちです。しかし、求人数がC言語に迫る勢いで年々増加しているにもかかわらず、Pythonエンジニアの年収は比較的高額になる傾向が見られます。Pythonエンジニアの下限平均年収は約440万円であり、1位のGoからは30万円以上の差があるもののJavaよりは約40万円高額で、全体の6位をキープしています。AI・IoTなどがキーワードになるこれからはPythonの存在感も増してくるはずであり、将来性も充分だといえるでしょう。

派遣とはどんな働き方?

それでは、求人数も多く年収も比較的高額だというPythonの特徴は、派遣で働く場合も同じなのでしょうか?まずは、人材派遣とはどのような働き方なのか?基本的なことからおさらいしておきましょう。人材派遣とは、エンジニアの雇用主が派遣会社、勤務先が派遣先企業となる働き方です。エンジニアと派遣会社で雇用契約を結ぶ一方、派遣先企業と派遣会社は業務委託契約を結んでおり、エンジニアに対する指揮命令権は派遣会社にあるのが特徴です。

一般的には、派遣先企業で就業している期間のみ、エンジニア・派遣会社間で雇用契約を結ぶ「登録型派遣」で働くことになりますが、派遣先企業で雇用契約を結ぶ前提で、一定期間派遣で働く「紹介予定派遣」という働き方もあります。

Pythonエンジニアの派遣求人例

派遣の基本を踏まえたうえで、Pythonエンジニアにはどのような求人案件があるのか?Pythonエンジニアの方が派遣で働くイメージを描きやすいように、公開されている派遣求人情報をいくつかご紹介します。ある人材派遣会社では、関東のPythonエンジニア求人数は検索時で31件ありました。

チャットボット開発のプロジェクトマネージャー派遣求人
・必須要件:Pythonのスキル、受託開発のPM経験
・修業期間:3か月以上(延長あり)
・待遇:時給3,500円〜、見込み月収623,000円、交通費支給

PHPからPythonへのリプレース、プログラマー派遣求人
・必須要件:Python、PHPの実務経験2年以上、チーム開発の経験
・修業期間:3か月以上(延長あり)
・待遇:時給2,750円〜、見込み月収489,500円、交通費支給

派遣Pythonエンジニアの待遇・収入

それぞれの派遣求人は時給2,500円以上、月10時間程度の残業が想定された見込み月収45万円以上という案件がほとんどであり、PM経験などのスキルがあればさらに高収入を狙えるようです。関東・東海・関西エリアの派遣エンジニアの平均時給が、約2,100円だといわれていることを踏まえれば、Pythonのスキルがあれば派遣でも高収入が期待できるでしょう。一方、同様の案件が70〜90万円程度で獲得可能なフリーランスに比べれば、収入の面で派遣が見劣りしてしまうのは致し方ありません。

それでは、派遣エンジニアという働き方は会社員、フリーランスと比較した場合にどのようなメリット・デメリットがあるのか?収入・働き方・安定・補償という点でそれぞれと比較しましょう。

派遣エンジニアと会社員エンジニアの比較

・収入
案件・プロジェクト単位で考えれば、派遣エンジニアの方が収入面でメリットがあります。ただし、報酬は働いた分の時給換算となるため、暦によっては収入が減る場合もあり、ボーナスもありません。もちろん、派遣期間終了から次の案件までに空白期間が生じれば収入は得られません。

・働き方
会社員エンジニアの場合は、参画する案件を選べないのが基本ですが、派遣であればやりたい仕事・好きな仕事を選べます。新たなスキルを得られそうな案件に参画できるのも魅力ですが、選り好みできるほど仕事量があるとは限らないでしょう。

・安定
会社員エンジニアの最大のメリットだといえるのが安定性です。業務量が減るようなことがあっても、比較的安定した収入が得られるうえ、無期限雇用契約であれば簡単に解雇されるようなこともありません。

・補償
派遣エンジニアも社会保険の加入対象となるため、まったく補償がないわけではありませんが、雇用契約が締結されるのは就業している期間のみです。福利厚生も登録する派遣会社によってまちまちであり、会社員が得られるメリットに比べれば見劣りしてしまいます。

派遣エンジニアとフリーランスエンジニアの比較

・収入
中間マージンの少ないフリーランスエンジニアの方が収入面のメリットは大きいといえるでしょう。クライアントから直接案件を獲得できれば、その差はより大きくなります。ただし、フリーランスは所得税の計算・申告・支払はすべて自身で行う必要があります。

・働き方
フリーランス、派遣ともに働き方は比較的自由ですが、自ら積極的に営業できるフリーランスの方が、ややメリットは大きいといえるかもしれません。

・安定
近年ではエージェントを活用するフリーランスエンジニアも増えているため、安定性という面では派遣と比較しても五分五分といえるでしょう。登録する派遣会社、エージェントによりますが、複数社に登録してリスク分散する方法もあります。

・補償
派遣エンジニアは補償面で弱い存在ですが、労働法の適用外となるフリーランスはさらに弱い存在です。フリーランスであれば、将来も見越したうえで保険を含めた補償面を自身で考える必要があるでしょう。

まとめ

派遣エンジニアという働き方は、あらゆる意味で会社員、フリーランスの中間的な性質を持っているといえるかもしれません。これを中途半端と見るか、独立に向けたステップと見るかは人によって異なりますが、キャリアアップを視野に入れた案件を選びやすい派遣なら、独立に向けて人脈を築くのも可能でしょう。Pythonエンジニアなら、派遣でも比較的高収入を狙えるのもポイントです。転職を検討する際は、派遣という働き方も選択肢に入れておくのがおすすめです。