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200種類を超えるプログラミング言語が存在するといわれるIT業界で、エンジニアが安定的に開発案件を獲得していくには、需要の高いプログラミング言語を習得し続けていく姿勢が欠かせません。新技術の習得に貪欲なエンジニアの方であれば、現在学ぶべきプログラミング言語の筆頭として、Python(パイソン)を挙げる方が多いのではないでしょうか?しかし、本当にPythonへの需要は高まっているのか?すでにPythonエンジニアとして活躍する方はもちろん、これからPythonを習得しようと考える方は、フリーランス案件市場の動向が気になっているかもしれません。

そこで本記事では、Python案件の種類や仕事内容、案件の傾向、報酬相場を含むフリーランス案件事情を紹介していくとともに、市場から必要とされるPythonエンジニアになるため、どのような知識・スキルを身に付ければいいのかを解説していきます。

世界的に人気の高まるPython

Pythonは、Googleにも在籍していたオランダ人プログラマー「Guido van Rossum」氏が、1989年から開発に着手したインタープリタ型プログラミング言語であり、最初のバージョンは1991年にリリースされました。動的型付き・オブジェクト指向・関数プログラミングの性質を持ち、当初は分散OSのシステム管理を目的に開発されましたが、ガベージコレクションの実装、有益なフレームワークの登場を経て、世界中で利用される汎用オープンソースプログラミング言語として成長を遂げています。

特にアメリカでの人気が高く、日本ではそれほど注目されていない傾向がありましたが、AI・機械学習分野の主要言語として活用されるようになって状況は一変。日本でも学びたい言語のNo.1に挙げられることが多くなりました。

Pythonの特徴

それでは、AI・機械学習分野でのイメージが強いPythonというプログラミング言語には、どのような特徴があるのか?簡単に紹介しておきましょう。

・コードがシンプルで可読性が高い
・コードの記述が少なく初心者でも学びやすい
・幅広い開発で活用される汎用性の高さ
・AI分野を含む開発をサポートする豊富なライブラリ・フレームワーク
・コンパイル不要のスクリプト言語

なかでも、計算処理・ニューラルネットワーク関数などが用意された「TensorFlow」ディープラーニングの機能を搭載した「PyTorch」Webサービス開発向けの「Django」「Bottle」など、開発を効率的に進められる豊富なフレームワーク・ライブラリの存在が、Pythonを強力にしている大きな要因です。弱点の少ないプログラミング言語である一方、C系言語やJavaに比べ、やや動作が遅いのもPythonの特徴です。

Python案件にはどんな種類がある?

汎用性の高いPythonは、幅広い領域の開発案件に活用されるのも大きな特徴のひとつです。案件の種類によって、仕事内容や求められる知識・スキルも異なるため、Pythonでコーディングできるというだけでは案件獲得につながらないことも考えられます。以下からは、Pythonが利用される代表的な案件をご紹介しましょう。

AI・機械学習開発案件

Pythonへの需要がもっとも高いのが、成長分野でもあるAI・機械学習・ディープラーニングなどの開発案件です。画像・音声認識、自然言語処理などの非構造化データを扱うことが多く、金融・製造メーカー・医療・教育・建設など、クライアント企業もさまざまです。C / C++ / Java / Rなどが利用されることもありますが、この分野の主要言語ともいえるのがPythonです。開発案件の性質から、数学の知識・素養が求められることもあります。

データ解析・アナリティクス開発案件

大量のデータ処理を可能にするライブラリが用意されるPythonは、データ・統計解析、アナリティクスなどのビッグデータ開発案件も豊富です。Web・金融・医療・製造メーカーなど、こちらもクライアント企業の業界はさまざまであり、AI・機械学習同様、資金力のある大手企業、もしくはSIerからの案件が多い傾向があります。R、SPSS、SASなどの知識・スキルが求められる場合もあり、データ分析の知見も必要でしょう。

Webアプリケーション開発案件

Java、PHP、Rubyなどが主流のWebアプリケーション開発案件ですが、この分野でも徐々にPython案件が広がってきています。これは、Djangoなどの優秀なフレームワークが登場したことと無関係ではないでしょう。クライアント企業の業界・規模はさまざまですが、SaaSを含むパブリッククラウドを活用する案件も多いため、サーバサイド・インフラの知識・スキルを求められることもあります。

IoT・組み込み系開発案件

AIや機械学習と関連性の高いIoT開発案件、スマート家電を含む組み込み系開発案件にも、Pythonの採用は進んでいます。これはAIとの相性がよく、汎用性に優れる特徴を持つ、Pythonならではの流れだといえるでしょう。IoT機器・組み込み機器への実装が必要になるため、ハードウェアの知識が求められる場合も多く、組み込み系でよく使われるJava / C / C++などのスキルを要求される案件もあります。クライアント企業の業界・規模はさまざまですが、基本的に社内開発案件が多くなります。

モバイルゲーム開発案件

ゲーム開発にもPythonが活用されていますが、その多くがモバイル・ソーシャルゲーム開発案件です。そのため、フロントエンド・サーバサイド・インフラなど、さまざまなエンジニアが求人される傾向にあり、スキルによっては参画できるポジションが限られてしまうことも考えられます。Swift / Kotlin / Objective-C / Unityなどのスキルがあれば、フロントエンド・サーバサイド両方に携われるでしょう。

Pythonフリーランス案件求人例

それでは、Pythonエンジニアがフリーランスとして活動できるほどの案件数が市場に存在するのか?現役Pythonエンジニア、あるいはPython習得を検討しているエンジニアの方が、案件獲得のイメージを描きやすいように、公開されているフリーランス案件情報をいくつかご紹介しましょう。あるフリーランスエージェントでは、検索時点でのPythonエンジニア求人数は約627件ありました。

IT資産管理アプリ開発のエンジニア求人
・必須要件:PythonもしくはPHPを使ったWebアプリケーション開発経験
・歓迎要件:Pythonのフレームワークを使った開発経験
・待遇:PG、月/〜70万円

IoT関連システム開発のエンジニア求人
・必須要件:Python / JavaScriptを使ったWebアプリケーション開発経験
・歓迎要件:Node.jsを使った開発経験
・待遇:PG、月/〜50万円

チャットボットサービスの管理画面開発エンジニア求人
・必須要件:Python / Goを使った開発経験2年以上、Linuxの知見
・歓迎要件:TypeScriptを使った開発経験、コード解読の知見
・待遇:SE、月/〜90万円

機械学習・データマイニングのエンジニア求人
・必須要件:Pythonの実務経験、機械学習の実務経験3年以上
・歓迎要件:線形代数・確率・統計などの経験、AWS / GCPの経験
・待遇:PG、月/〜80万円

Pythonのフリーランス案件事情とは?

バラエティに富んだ案件が公開されているのがおわかりだと思いますが、月額報酬の相場が幅広いのもPythonフリーランス案件の特徴です。上述のエージェントの例でいえば、最低が32万円、最高が145万円となっており、80万円台の報酬がボリュームゾーンとなる一方で、平均単価は78万円となっています。こうした情報を踏まえたうえで、Pythonのフリーランス案件事情を解説しましょう。

Python案件数は増加傾向

約8,200件ある全フリーランス案件のうち、Pythonが占める割合は約8%程度です。JavaやPHPなどに比べれば見劣りしますが、Pythonエンジニアがフリーランスとして活動するのに充分な案件数があるといっても差し支えないでしょう。また、検索時期にも左右される可能性はありますが、注目すべきは1年前と比べて、Python案件が約230件から627件へと大幅に増加していることです。実際に、Pythonエンジニアへの需要は大きく高まっているといえます。

案件の種類と報酬相場の関係性

モバイル・ソーシャルゲームのPython案件はあまりありませんでしたが、体感的に増えていると感じられるのは、やはりAI・機械学習、アナリティクス、Webアプリケーション分野です。これらの成長分野に関しては、Python案件のなかでも比較的高単価なのが特徴であり、IoT・組み込み系はやや単価が低めになる傾向もあります。また案件例からは、Pythonを含めた複数のスキル・経験を持つエンジニアほど、高報酬を得やすいのもわかります。

高単価のPython案件を獲得するには?

Python案件は種類によって報酬単価に幅があり、保有する知識・スキルに応じて参画できる案件も変わることがわかりました。それでは、Pythonエンジニアが高単価のフリーランス案件を獲得するには、どのような知識・スキルを身に付けるべきなのでしょうか?簡単に解説していきます。

AI・アナリティクス分野の知識を習得する

今後の成長分野のひとつでもあり、高単価の報酬が期待できるAI・アナリティクス関連の知識は、Pythonエンジニアであれば身に付けておきたいものです。Pythonの独壇場といってもいいこの分野では、Pythonエンジニアがプロジェクトに参画しやすいのもメリットです。「TensorFlow」「PyTorch」などを使った実装からはじめ、線形代数・確率・統計などの数学知識を学べば、高年収が期待できるAIエンジニアへの道も開けるかもしれません。C / C++ / Java / Rなどのスキルを習得できればなおいいでしょう。

上流工程・マネジメントの経験を積む

幅広い開発案件で活用されるPythonは、案件の種類によって求められるスキルが異なります。自身の知識・スキルを活かせるPython案件に集中的に参画し、上流工程・マネジメント経験を積んでPMを目指すというのも、高単価案件の獲得に有効です。たとえば、ゲーム開発スキルを活かせるPython案件の経験を積めば、フロントエンド・バックエンドに精通したPMとして、高単価案件を獲得できる可能性が高まります。

インフラ・データベースの知識を習得する

Python案件で増えているAI・アナリティクス・Webアプリケーション開発では、サーバを含むインフラ構築、データベース活用の知識・スキルが欠かせません。特に近年では、AWS / Azure / GCPをはじめとしたパブリッククラウドの活用が必須であり、機械学習・ディープラーニングにも欠かせない要素です。インフラ・データベースの知識を持つPythonエンジニアであれば、高単価案件を獲得できるだけでなく、仕事の幅も広げられます。

まとめ

AI・機械学習・アナリティクスなど、成長分野の主要言語ともいえるPythonは、将来に渡って需要がさらに拡大すると期待されるプログラミング言語です。ただし、Pythonのスキルを持つだけでは、高単価案件の獲得が簡単ではないのも事実です。チャレンジしたい分野を定め、関連する技術の習得によって自身の価値を高めていくことが、高単価案件を獲得できるPythonエンジニアへの近道なのだといえるでしょう。