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人々の価値観・ライフスタイルが多様化するとともに、日本でも多様な働き方を容認する風潮が広がっています。フリーランスという働き方が増えているだけでなく、在宅・リモートワークを推奨する企業が多くなっているのは、その流れを現しているのではないでしょうか。それでは、どこでも働ける環境を実現した最前線ともいえる「ITエンジニア」の実態として、人気・需要ともにベスト5の常連であるC#エンジニアなら、案件・求人数が多い分だけ在宅で働きやすいのでしょうか。

そこで本記事では、C#エンジニアに焦点を当て、在宅・リモートワーク可のフリーランス案件・正社員求人がどのくらいあるのか、その実態を紹介するとともに、常駐型・在宅型の違いが、報酬や働き方にどのように影響するのかを検証していきます。

C#の特徴

C#(シーシャープ)は、Microsoftが開発して2000年にリリースされた、オブジェクト指向のプログラミング言語です。名称からC系言語との互換性があるように思われますが、C++ / Javaをもとに開発された新たなプログラミング言語であり、C / C++と共存させることはできません。C#の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

・マルチプラットフォームで汎用性が高い
・実行に仮想マシンが必要
・Javaよりも豊富な機能
・C / C++ / Javaエンジニアなら習得しやすい

マルチプラットフォームのC#はOSを選ばないため、Windows / macOSはもちろん、Webアプリケーション、ネイティブアプリなどの開発に幅広く活用できます。ゲームエンジンであるUnityとの相性がいいのも特徴であり、C#がベスト5の人気・需要を誇る大きな要因だといえるでしょう。

仮想マシンが必要なため、.NET FrameworkやVisual Studio.NETの習得は必須ですが、その分高速に動作します。オブジェクト指向でもあるC#は、C / C++よりも簡単に扱える一方、ダイレクトメモリアクセス、null許容値型、反復子サポートなど同じオブジェクト指向のJavaより多機能なことも特徴です。

C#が活用される開発案件

汎用性の高さから、幅広いジャンルの開発プロジェクトで採用されるC#ですが、具体的にどのような案件がC#で開発されることが多いのでしょうか。常駐型・在宅型などの働き方、C#以外に求められる知識・スキルを別にして、全体像を把握しておくことが重要です。C#が活用される代表的な開発案件は以下の通りです。

業務システム開発

マルチプラットフォームでOSを問わない開発が可能なC#は、C系言語ならではの堅牢性、仮想マシンによる高速性も併せ持っているため、業務システム・アプリケーション開発に幅広く活用されています。具体的には、基幹システムをはじめとした一般企業向けの業務システム開発はもちろん、POS・営業支援などの販売店向けシステム開発、電子カルテなどの医療向けシステム開発から、資産管理・決済取引などの金融系システム開発にもC#が採用されています。Visual StudioなどでGUIアプリケーションを簡単に作れるのもC#のポイントです。

モバイルゲーム・アプリ開発

iOS / Androidのネイティブアプリ、ゲーム開発、ソーシャルゲーム開発の分野にも、C#の活用が広がっています。これは、低コストで簡単にネイティブアプリ・ゲーム開発できるゲームエンジン、Unityが幅広く活用されるようになったのが大きな要因です。Unityでのアプリ・ゲーム開発では、修正に利用されるのはほぼC#であり、現場ではC#を使えるゲームエンジニアが求められています。もともとゲーム開発との相性がいいC#ですが、ゲーム業界でC#のスキルを活かしたいなら、Unityの習得も欠かせないといえるでしょう。

Webシステム・サービス開発

ASP.NETなどのフレームワークが充実しているC#は、Webシステム・アプリケーションや、Web・ECサイトなどのWebサービスの開発にも活用されています。比較的高速なC#は、アクセスが集中するWebシステム・サービスにも最適であり、サンプルを流用して開発を効率化できることもポイントです。ただし、Webアプリ・サービスの分野では、RubyやPythonなどの利用が拡大しており、C#の開発案件は横ばい、または減少傾向にあるといえるでしょう。

C#エンジニアの平均年収

2019年の調査では、開発現場で活用されるプログラミング言語ランキング3位につけるC#ですが、需要が高いからといってそれが年収に反映されるわけではありません。プログラミング言語ごとの年収では、C#エンジニアの平均年収は約500万円であり、一転してランキング10位圏外となっています。これはC#とほぼ同等の需要があるJavaでも同様です。ITエンジニアの年収は、Go / Scala / Rなどの稀少かつ新しい言語の方が高額になる傾向があります。

C#フリーランスエンジニアの報酬相場

それでは、フリーランスで活躍するC#エンジニアの報酬相場はどの程度なのでしょうか。一般的にはC#フリーランス案件の報酬は60〜70万円程度ですが、当然のことながら報酬額は実務経験・スキルによって変動します。実務経験が1〜2年の場合は35〜50万円程度の案件にしか参画できませんが、実務経験4年以上になると80万円程度の報酬も期待できます。ただし、80万円を超えるようなC#フリーランス案件は稀少であり、経験・スキルを積んでも年収1,000万円程度が上限になる可能性もあります。

C#エンジニアは在宅でも働ける?

C#エンジニアの年収は、プログラミング言語別でベスト10には入りませんが、その分、案件・求人ともに参画できる充分な件数があることが特徴です。案件・求人が豊富であれば、それだけ、条件に在宅・リモートワーク可を掲げる案件・求人も多くなっています。C#エンジニアが在宅中心で働くのは可能なのか検証していきましょう。

在宅・リモート可のC#エンジニア正社員求人例

まずは、C#エンジニアが会社員として在宅・リモートで働くのは可能なのか、正社員の求人情報をいくつか紹介します。

医療系システム開発のC#エンジニア求人(一部在宅可)
・必須要件:C# / Java / C / C++でのシステム開発経験2年以上
・歓迎要件:医療系システムの開発経験
・待遇:正社員、年収300〜450万円

自社システム開発のC#エンジニア求人(一部在宅可)
・必須要件:C#またはVB.NETでの開発経験2年以上
・歓迎要件:SQL Serverの開発経験
・待遇:正社員、年収350〜450万円

システム開発会社のC#エンジニア求人(一部在宅可)
・必須要件:C# / Javaでのシステム開発経験2年以上
・歓迎要件:データベースに関する知識
・待遇:正社員(SE / PL / PM)、年収420〜700万円

SIer企業のC#エンジニア求人(一部在宅可)
・必須要件:C# / Javaでのシステム開発経験3年以上
・歓迎要件:データベースに関する知識・経験
・待遇:正社員、年収360〜550万円

在宅・リモート可のC#フリーランス案件例

次に、フリーランスのC#エンジニアが獲得できる在宅案件として、フリーランス案件情報をいくつか紹介します。

製造業向けシステム開発のC#エンジニア求人(フルリモート)
・必須要件:C#でのシステム開発経験、Oracleの使用経験
・歓迎要件:Oracleの資格保持者
・待遇:SE、月/〜55万円

製造業向け基幹システム開発のC#エンジニア求人(フルリモート)
・必須要件:C#でのWebアプリ開発経験3年以上
・歓迎要件:C#でのWebAPI開発経験、上流工程の経験
・待遇:SE、月/〜60万円

Azureベースアプリ開発のC#エンジニア求人(フルリモート可)
・必須要件:C# / Visual Studioでの開発経験、SQL / RDBの経験
・歓迎要件:Azure関連リソースの経験
・待遇:SE、月/〜60万円

生産管理システム開発のC#エンジニア求人(順次リモートに移行)
・必須要件:C#での開発経験3年以上、SQLの経験
・歓迎要件:設計書・仕様書の作成経験
・待遇:SE、月/〜60万円

C#エンジニアの在宅案件・求人件数

C#エンジニアの正社員求人が約1200件、フリーランス案件が約680件あることから、在宅・リモートワークが条件となる求人・案件は、それぞれ約9%、約2%の割合であるに過ぎません。このことから、C#エンジニアが在宅・リモートワークを獲得することは簡単ではないということが分かります。

また、正社員求人のほとんどが一部在宅・リモート可であることに対し、フリーランス案件のほとんどがフルリモートが基本であることも特徴です。フルリモートを希望するC#エンジニアであれば、フリーランス一択となるかもしれませんが、案件数を考慮に入れると安定的に在宅ワークを獲得することは難しいでしょう。

在宅C#エンジニアの報酬・年収

それでは、C#エンジニアが在宅・リモートという働き方を選択した場合、報酬や年収に影響はあるのでしょうか。仕事内容や求められるスキルによって年収・報酬は大きく異なりますが、正社員で働く場合は完全な在宅・リモートではないことがほとんどのため、あまり働き方の違いが年収に影響することはないように見受けられます。

一方のフリーランス案件に関しては、客先常駐に比べると在宅・リモートの方がやや報酬が低くなる傾向があります。3年以上の実務経験、上流工程の経験があっても報酬は月額60万円程度であり、報酬単価が70万円以上の案件はありませんでした。これは、報酬が比較的高額になる傾向のある金融系の案件がほとんどないことも関係しているのかもしれません。機密情報を扱う金融系では、どうしても客先常駐の案件が主流になってしまいます。

C#エンジニアが在宅案件・求人を獲得するには?

現状では、C#エンジニアが在宅案件・求人を獲得することは簡単ではないことがわかりました。それでも在宅にこだわりたいというC#エンジニアの方は、どのような方法で案件・求人を獲得すればいいのでしょうか。
方法のひとつとして、在宅で働きやすい企業、プロジェクト案件に参画し、実績を積み重ねながら徐々に在宅の割合を増やしていくことが考えられます。ゲーム・アプリ開発、動画配信システム、社内システムであれば、比較的認められる可能性があるかもしれません。

もうひとつは、評判の高い転職・フリーランスエージェントに登録し、未公開案件も含めて在宅・リモート案件を紹介してもらう方法です。エージェントによってアドバンテージのあるポイントは異なるため、一社のみに頼るのではなく複数社に登録しておくのがおすすめです。

まとめ

大手企業を中心に、在宅・リモートワークが一般化しつつありますが、まだまだ客先常駐という働き方が中心になるのがITエンジニアの特徴です。ただし、パブリッククラウドを扱うインフラエンジニアを中心に、エンジニアでも在宅で働きやすい環境が少しずつ整ってきています。在宅・リモート案件を獲得しやすくなる時代が来るまでは、客先常駐も併せて柔軟に対応していくことが重要です。