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「サーバー保守」とはそもそも何?

日常生活に関わるほぼ全てのこととインターネットが関連するようになり、ネットを通じて日常生活が豊かになっていることを実感している方も多いと思います。そのような日常生活に欠かせないのが「サーバー」です。ほとんど全てのネットサービスはサーバーによって支えられており、サーバーが無ければネットショッピングや動画サービスも利用できなくなってしまいます。

サーバーとはそれくらい重要なもので、日常生活に深く関わっているものなのです。つまり、サーバーが動かなくなったり故障したりすると、現代では日常生活に少なくない影響を与えることになります。そのため、サーバーは常に正常に動作していることが求められますし、故障しないようなサーバーを使用することがサービス提供者側にも求められるのです。

このように「サーバーが常に正常に動く状態」を維持し、「故障しないように」日常的に面倒を見ることが「サーバー保守」と「サーバー運用」であると考えられます。

サーバー保守と運用の違い

保守と運用は多くの場合セットであると考えられていますが、実際にはそれぞれの仕事内容は異なるものです。保守も運用も、基本的には目的を同じくしており、その目的は「サーバーが安定して稼働すること」に変わりはありません。

サーバー保守の場合は定期的にメンテナンスを行ったり、トラブルが起きた時に対処することをメインとし、主に障害や機器の故障に対処します。それに対し、運用の場合はそもそもサーバーやシステム全体に不具合や故障が起きないように監視し、状況に応じてサーバーの状態を最適に保つことを目的にしています。

サーバー保守の仕事内容とは?

サーバーの保守と運用に違いがあることはすでにご説明しました。それでは、サーバー保守の仕事内容についてもう少し具体的にご紹介していきましょう。

不具合や障害への対応

サーバー保守に求められる最優先事項の一つとして挙げられるのは、やはり「不具合対応」「障害対応」です。すでに紹介しているように、定期的にメンテナンスを行い、サーバーが安定稼働するように対処することが求められます。しかしサーバーも機械ですから、どうしても不具合や故障が発生してしまうことは避けられません。

そんな時でも迅速に不具合に対処し、故障や障害を解消するための対応を取ることがサーバー保守の仕事では最も求められることなのです。

定期的な機材チェックとメンテナンス

不具合や故障が発生した際に対処することは当然求められますが、同時に必要とされるのは定期的に機材をチェックし不具合や故障発生の予兆を見逃さないようにすること。そして定期的にメンテナンスを行い、不具合が起きる可能性を極力排除しておくことです。

大きな不具合や故障は、小さな不具合の積み重ねが解消されなかったことが発端となることがほとんどです。そのため、普段から定期的に使用しているサーバー機器全体のチェックとメンテナンスを欠かさないことで、小さな不具合を早期に発見して解消しておくことができます。このような定期的なチェックとメンテンナスの積み重ねが、最終的に不具合を防ぐことに繋がります。

システムのアップデート

不具合や故障への対応はサーバー保守の重要な仕事ですが、同じぐらい重要な仕事がサーバー、システム全体のアップデート作業です。「サーバー」はワークステーションなどの機器類とソフトウェアの組み合わせで構成されるシステムです。サーバーアプリケーションや付帯するソフトウェアは使用する環境やシステムにより複数インストールされていますので、サーバー全体が円滑に動作し続けるためにはアプリケーションやソフトウェアが常にアップデートされて最新の状態であり、なおかつインストールされているアプリケーションやソフトウェアが動作するために必要なスペックを機器が満たしているかどうかを確認しておくことが重要です。

サーバー保守を行うために必要なこと

実際にサーバーの保守を行うためにはどのようなことをしなければならないのでしょうか?具体的な保守業務を行うためにはいくつかの方法がありますが、ここではそのうちいくつかをご紹介しましょう。

保守契約を締結する

最も代表的な方法は、システムを含めたサーバー一式を購入した代理店や企業、あるいはメーカーと保守契約を締結することです。

一口に「定期的なメンテナンスやチェックを実施する」と言っても、基本的に24時間365日稼働しているサーバーを常に監視し、小さい不具合でも即座に対処していくためには人手や労力が一定数必要になります。自社内に専門的な知識や経験を持った人材がいれば良いのですが、サーバーの運用が当たり前になっている現代では経験豊富なベテラン担当者を採用することそのものが難しいこともあります。

また、採用しているサーバーによっては他社でも使用されているサーバーとは異なる独自の仕様や設定があったり、より専門的で特化した知識が必要とされるケースもあります。そのような場合に備えてサーバーを販売する代理店等は年間単位で一定額を請求する代わりに、顧客に代わって定期的に継続したメンテナンスや不具合・故障対応を行う保守契約を提供しています。

保守契約は代理店だけではなく、場合によってはメーカーが直接保守契約を提供している場合もあります。保守契約とは、使用している機器やサービスにトラブルや故障が発生した場合に、可能な限り速やかに正常な状態を復旧させ、問題なく機器やサービスを使用できるような対処をする最大限の努力を提供する、と定めた契約です。

自社でサーバーをメンテナンスできる専門的な知識を持つ人材がいない企業の場合は保守契約を締結し、サーバー保守の業務そのものを外注することが多いです。保守契約を締結することによりサーバー保守業務に関する事務的な手続きは、保守契約締結先とのスケジュール調整がメインになり、業務の簡素化と効率化を実現することも可能になります。

自社でサーバーエンジニアを雇い、育成する

秘密保持の観点や情報セキュリティの観点から、サーバーの保守業務を外注化することはせず、自社でサーバーエンジニアを雇用したり、育成したりする企業もあります。

実は現在の日本ではサーバーエンジニアを含むITエンジニアが全体的に不足傾向にあります。一説によると2030年までに不足するITエンジニアの人数は70万人前後とも言われており、ITエンジニアが社会的に必要とされている状況にあるのです。そのような状況であるため、サーバーエンジニアを抱えていて、サーバー保守を請け負う企業はなるべく現在雇用しているサーバーエンジニアを失いたくありません。また、外注として依頼する場合も費用が高額になることがあります。

そんな状況を打破しようと思った場合は、自社でサーバーエンジニアを雇って育成する方法があります。経験者が採用できればもちろん言うことはありませんが、ご紹介したようにITエンジニア全体の人手不足の中でエンジニアの採用難易度は上がっており、特に今までサーバーに特化した業務が海外ほど多くなかった日本では、もともとサーバーエンジニアの人口が少ない状態です。

そのため、敢えて経験を度外視した採用活動を行い、経験が浅かったり未経験者も含めた採用を行い、自社でサーバーエンジニアを育成する企業も出始めています。未経験者を育成するのは時間がかかりますが、自社で採用して自社の環境でエンジニアとして育ってくれれば、将来の財産として貴重な人材になってくれます。教育係の経験者がいない場合は外注先のエンジニアに教育係を委ね、実務と教育を兼任してもらうというのも一つのアイディアになるでしょう。

スポットで保守を依頼する

サーバーを使ったサービスや製品を提供してはいるものの、保守を外注するコストやエンジニアの人材育成にまでコストを投資できない状況にある企業の場合はどのような手段が取れるのでしょうか?

保守契約は基本的に年間契約であることが多いですが、支払い方法は年額一括払いか月額払いかを選べることもあります。自社でエンジニアを採用したり育成する場合は採用コスト(求人媒体費用や福利厚生費用など)がかかりますし、給与支払いも必要です。「人材を一定期間、一定の質で業務にあたらせる」というのはそれだけコストが必要なことなのですが、そこまでのコストがかけられない場合には「スポット保守」を依頼する、という手段もあります。

スポット保守とは、保守契約を締結していない場合に「必要な時だけ対応を依頼する」形式の保守のことです。継続的なコストが発生するわけではなく、本当に困った時にだけエンジニアを派遣してもらいトラブルや故障などの不具合に対応してもらう形なので、長期的なコスト負担がありません。

ただし、その代わりのリスクとして「致命的な不具合を見落とす可能性」があったり「対処療法しかできない」というデメリットがあります。保守契約を締結している場合は定期的なメンテナンスを第三者の視点で実施してもらえるため、自社の担当者では気が付けない部分にも結果的に目が届き、致命的な不具合が発生するリスクを事前に解消できる可能性が高まります。

しかしスポット保守の場合は、たまたま不具合が大きくなる前に保守に来てもらえれば事前に対処することが可能になるかもしれませんが、もしタイミングがずれて「トラブルが起きてから」スポット保守に来てもらった場合は「結果に対する処置」をしてもらうに過ぎず、原因の洗い出しやトラブルを未然に防ぐということができません。

完璧なメンテナンスや全てのトラブルには対応できないまでも、ある程度の知識を持ったエンジニアを抱えている企業であれば、自社のエンジニアに「不具合の予兆」だけでも見つけてもらうようにし、その上でのスポット保守であれば大きなトラブルを避けることは可能かもしれません。

サーバー保守に必要な知識

サーバーエンジニアとしてサーバー保守に関わるのであれば、Windows以外のLinuxやUNIXといったOSと、それらに対応するプログラミング言語を複数扱えるようにしておくことが必要です。IT系のエンジニアであれば、多くの場合JAVAやC言語、PHPやPerlといった言語を習得していることがありますが、もう一つ重要なのがGUI(グラフィカル・ユーザー・インターフェース)に依存せず、キーボードだけで操作できるコマンドライン入力を習得しておくことです。

深刻なトラブルが発生した場合、状況を確認するためのディスプレイ出力にまで影響が出てしまうことが可能性としてあり得ます。その場合はアイコンやウィンドウといった、見慣れたGUIが使えなくなってしまうこともあるのです。そんな時に、命令の文字情報のみをキーボードで入力し、視覚的な操作が必要なGUIに依存しないプログラミングが行えるようになっておくと、トラブル解消のために必要な時間が大幅に削減できることになります。

まとめ

現代はほとんどの製品やサービスがサーバーを使用して提供されています。音楽配信や動画配信もサーバーを使用していますし、仕事中に使う様々なツールや基幹システムもサーバーなしには成立しないものも多くなっています。もし自分がサーバーエンジニアではなくても、サーバーに関する知識やサーバー保守がどのように行われているのかを知っておくことはとても有効ですし、これからサーバーエンジニアを目指す場合にはどのようなことを身につければいいのかの指標になるでしょう。ぜひもう一度この記事を復習し、サーバー保守に関する知識を深めてみてください。

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