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一般的には、英語力の高い人材=エグゼクティブ層、年収が高いといったイメージがあるかもしれませんが、それはIT業界であっても例外ではありません。では、高い英語力を持つ日本人ITエンジニアは、どの程度の数が存在するのでしょうか?英語の重要性は理解しながらも、ITスキルを磨く方が先だと考えるITエンジニアの方が多いのではないのでしょうか?そもそも、英語力があれば年収アップできるのか?ITエンジニアに英語が必要なのか?英語習得に懐疑的な方が多いのかもしれません。

そこで本記事では、英語力の高さが本当にエンジニアの年収に関連するのか?そうであれば、なぜ英語エンジニアの年収は高いのか?といった疑問に回答するとともに、ITエンジニアが英語を習得するべき理由、市場価値を高めるために必要とされる英語力についても解説していきます。

日本人の英語力はアジア最低レベル?

まずは、本当に日本には英語人材が少ないのか?2017年のTOEFL iBT国別平均点で日本人の英語力を見てみましょう。TOEFL iBTは、英語圏の大学へ入学する際に基準とされる英語能力判定テストで、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングそれぞれ30pt、合計120ptが満点評価となります。日本の総合点は71ptで、アジア29か国中アフガニスタンと並ぶ26位。97ptでトップのシンガポールとは26ptもの差をつけられています。なかでも17ptのスピーキングはアジア最下位という状況。TOEFLが国民全体の英語力を表すとはいえないものの、アジアでもっとも「英語が話せない」のが日本人であるのは認めざるを得ません。

日本語は英語からもっとも遠い言語

なぜ、ここまで日本人は英語が苦手なのでしょうか?それは、日本語が英語からもっともかけ離れた言語だというのもひとつの理由です。たとえば、アメリカ国務省の外交官養成局では、赴任先言語の習得難易度を4つに分類していますが、日本語は超難関言語とされるカテゴリー4に属しています。このカテゴリーの言語は、知識ゼロから仕事レベルで使えるまで2,200時間の学習が必要とされており、日本人が英語を学ぶ場合でも同じことがいえるでしょう。

英語の必要性が薄い

しかし、同じカテゴリー4に属する韓国は、総合点83ptでアジア11位につけるなど、英語力では日本よりも健闘しているという事実があります。この違いは、韓国人よりも日本人が「英語の必要性を感じていない」ことが原因でしょう。島国の日本は小国だと思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、世界10位の人口を持つ国であり、自国だけでも産業が成り立ってしまう市場規模を持っています。一部のグローバル企業を除き、日本語だけで仕事のすべてが完結してしまうのであれば、わざわざ英語を習得する必要もありません。

ITエンジニアに英語力が求められる理由

とはいえ、市場のグローバル化が加速する現代では、日本においても英語力を重視する風潮は強まっています。人材不足が常態化し、売り手市場となっているエンジニアの方には実感がないかもしれませんが、IT業界でもそれは例外ではありません。

ITサービスはグローバルに展開しやすい

そもそも、サービス・ソフトウェアが中心のIT業界は、グローバルへの展開が容易という特徴があります。インターネットの高速化・クラウドの活用もIT業界のグローバル化を容易にしているポイントです。グローバル化に伴って社内の公用語を英語に切替える企業も出てきており、外資系IT企業も次々と日本に進出してきています。当然、ローカライズを含め、グローバルに通用するサービス・ソフトウェアを開発するためにも、英語力のあるエンジニアが求められるようになります。

グローバルな開発環境の進展

グローバルに展開しやすいITサービスは、グローバルでの開発も比較的簡単です。これを利用したのがオフショア開発であり、人材不足が深刻化する日本のIT業界にはなくてはならないものとして定着しています。こうした開発環境のグローバル化が進めば、当然英語エンジニアの需要は高まります。現地との仲介役を担当する「ブリッジSE」が活躍する場面ですが、英語エンジニアが多ければ開発の効率をより高められます。

英語力のあるエンジニアは年収が高い?

英語力のあるエンジニアの需要が高く、多くの企業から歓迎される存在なのはわかりましたが、それが本当に年収に反映されるのでしょうか?いくつかのデータとともに、英語力のあるエンジニアの年収が高い理由を探っていきましょう。

年収とTOEICスコアの関連性

まずは、日本企業で重視される傾向にあるTOEICスコアと、年収の関連性を調査したデータを紹介していきます。ある転職エージェントが、ホワイトカラーの職種10万人を対象に行った調査では、TOEICスコアなしの平均年収が423万円だったところ、TOEICスコア700台の平均年収が513万円、900台の平均年収が573万円という結果が出ています。また、正社員約2,000人を対象にした別の調査では、TOEICスコア500台で年収1,000万円を超える人はわずか12%だったのに対し、900台で年収1,000万円超える人は実に58%に及んでいることもわかっています。

英語必須の外資系IT企業の年収は高い

上述したデータは、ITエンジニアに限定したものではありませんが、英語が必須の外資系IT企業のエンジニアは年収が高いことで知られています。たとえば、ある外資系IT企業ではPGの年収が580万円、ソフトエンジニアの年収が680万円、シニアPMの年収が904万円です。これは日本のITエンジニア全体の平均年収といわれる498万円を大きく上回っているのがわかります。

英語人材 × ITエンジニアは希少な存在

日本のITエンジニアの年収は、ほかの職種と比較しても高いといわれていますが、それは需要の拡大に供給が追い付かないエンジニアの人材不足がひとつの要因です。また、英語力がアジア最低レベルの日本では、英語人材も貴重な存在です。つまり、貴重な英語人材と貴重なITエンジニアという特性を持つ英語エンジニアは、非常に希少な存在ということになります。当然、希少価値の高い人材には需要が集中することになり、必然的に高額年収を得やすくなります。

なぜエンジニアが英語を学ぶべきなのか?

希少な英語エンジニアには、多くの企業からの需要があり、年収も高額になる傾向があることを紹介してきました。しかし「高度なスキルを身に付ければ、英語を習得しなくても高年収を狙える」と考えるエンジニアの方もいるかもしれません。もちろん、それもある意味で事実ですが、それでも英語は習得しておくべきです。

活躍のフィールドが広がる=高年収が期待できる

英語力のあるエンジニアであれば、確実に活躍のフィールドを広げられます。これまで躊躇していた外資系IT企業にもチャレンジできるようになるでしょう。外資系IT企業であれば、同じスキル・同じポジションでも、日本企業より高年収を提示されることがほとんどであり、スキルを磨けば磨いただけ年収にも反映されやすくなります。もちろん、英語力を活かして海外で働くという選択肢もあります。購買平価が異なるため一概に比較はできませんが、アメリカのITエンジニアであれば平均年収は10万ドル超(約1,050万円)です。

スキルアップに役立つ

意外と見過ごされがちですが、英語力を磨けばITスキルを磨くのにも大いに役に立ちます。ほとんどのプログラミング言語は英語圏で開発されたものであり、ドキュメントやリリースノートもほとんどが英語です。最新情報をいち早くキャッチできるのはもちろん、新たなアップデートを正確に把握して学習するのにも役立ちます。また、英語力があればプログラミング言語自体の習得にも有効です。構文が英語とほとんど同じCOBOLなどは、英語力があれば素早く習得できるでしょう。

英語エンジニアとしての市場価値を高めるには?

もちろん、英語力といっても判定の基準はさまざまです。リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの要素がある英語能力をどのように伸ばしていくのかによって、ビジネスマンとしての市場価値も大きく異なります。英語エンジニアとして求められる存在となるため、どのように英語を学んでいくかも気を付けておきたいポイントです。

企業の判断はTOEICスコア

非ネイティブスピーカー向けの英語力判定テストともいえるTOEICには、有効性を疑問視する声もありますが、毎年245万人程度が受験するといわれており、受験者の大部分は業務で英語を使用したいフルタイム勤務者です。このことからもわかるように、日本企業では英語力を判断するのに「TOEICスコア」を重視する傾向があり、IT企業も例外ではありません。英語力を活かして就職、キャリアアップ転職したいのであれば、TOEICスコアを伸ばす努力が必要でしょう。日本人の平均が612ptといわれているため、英語力をアピールするには最低でも700pt以上が欲しいところです。

TOEICスコアだけでは不充分な理由

TOEICの有効性が疑問視される理由のひとつに、ほとんどの受験者が「L&R(Listning & Reading)」テストのみを選択していることが挙げられます。つまり、TOEICで高いスコアをマークしても、現場で英語を使えない、話せない人材が多いのです。これではIT市場で価値を示せるとはいえません。上述したように、日本語話者・英語話者がビジネスレベルでコミュニケーションするには2,200時間の学習が必要です。この時間を目安に、できる限り生の英語に触れる機会を作っていく必要があるでしょう。リーズナブルなオンライン英会話サービスなどを活用するのもおすすめです。

ITスキルを磨くのは必須

英語力を磨くのは、ITエンジニアとしての希少価値を高めるために大いに役立ちますが、ITスキルの鍛錬を忘れてしまっては本末転倒です。英語力を磨くのと同じ、あるいはそれ以上にITスキルを磨いていく姿勢が必須です。たとえば、日本人ITエンジニアの平均年収が498万円であることは紹介しましたが、プログラマーに限定すると400万円です。外資系企業に転職すればプログラマーでも580万円の年収が期待できますが、SEやプロジェクトマネージャーにステップアップしなければ大幅な年収アップが望めないのも事実です。スキルの高いITエンジニアは多数存在しますが、それに英語力をプラスすることでエンジニアとしての市場価値をより高められるのです。

特に英語力が求められるIT分野

IT業界のどのような分野であっても英語エンジニアの需要は高いといえますが、特に需要の高いIT分野を知っておくのも重要です。需要の高い分野を知っておけば、新たなITスキルを習得する際の指針にもなるからです。英語エンジニアの需要が高い具体的な分野・職種としては、データサイエンティスト、UI / UXデザイナー、iOS / Androidエンジニア、Hadoopエンジニア、セキュリティ・クラウドアプリケーション分野などが挙げられます。いずれも、今後の将来性が有望視されている分野・職種でもあるため、英語とともに習得しておきたいスキルだといえるでしょう。

まとめ

日本人が英語をうまく話せない理由のひとつに「完璧な英語を話したい」という意識があるといわれています。しかし実際の現場では、ネイティブスピーカーが少数派ということも珍しくありません。英語力を高めるにはとにかく「聴く」「話す」が重要です。自身の市場価値を高めるためにも、積極的に英語でのコミュニケーションにチャレンジしてみてください。