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セールスエンジニアとは?

技術営業という日本語からもわかるように、営業と技術どちらの業務も担当する職種がセールスエンジニアです。IT分野をはじめ電気・機械メーカーなどの製造分野、システムインテグレーター分野などを活躍の主戦場とすることの多いセールスエンジニアは、プログラマー・SEなどからの転職組が多くエンジニアからの注目度が高い職種でもあります。

とはいえ、比較的新しい概念でもあるセールスエンジニアに対して明確なイメージを思い描ける方はそれほど多くないかもしれません。なぜエンジニアの転職候補として注目を集めているのか?具体的にどのような仕事なのか?セールスエンジニアの魅力や将来的なキャリアパスを含めて紹介していきます。

セールスエンジニアの求人動向

日本におけるセールスエンジニアの定義は比較的幅広く、個々の企業や業界によって業務範囲は多少異なりますが、概念としては欧米のIT企業で一般的な「プリセールス」という職種が発展したものだと思っていいでしょう。特に顧客の開拓や受注前のプレゼン・提案、納品に向けたシステム構築といったプロセスごとの役割分担がハッキリしているアメリカのIT企業では、営業と技術をつなぐ役割であるプリセールスという職種が必要とされています。

高度化・複雑化するクライアントの業務やニーズに最適な形で対応することが求められる現代では、営業段階から技術的なノウハウを提供できるプリセールスの重要性が増しており日本でもそれは例外ではありません。IT企業を中心にプリセール=セールスエンジニアのニーズが高まっており、求人数も増加傾向にあります。

セールスエンジニアの仕事内容

エンジニアという肩書きがあるものの、セールスエンジニアは自ら手を動かしてプログラミングするといった構築業務には携わりません。ではセールスエンジニアの具体的な仕事内容とはなんでしょうか?

ひとつには、顧客の抱える課題を汲み取ったうえで、自社製品・サービスがどのように課題を解消できるのかを技術的側面から提案し、顧客の疑問・不安を取り除いてスムーズに受注を獲得する活動が挙げられます。メーカー縛りがないシステムインテグレーター系のセールスエンジニアであれば、顧客に最適な製品・サービスの組み合わせや有効な活用法など技術的な根拠をもとにした総合的な提案も行います。

クライアントと開発チームの間を取り持ち、システム開発やカスタマイズなどをスムーズに進めるのもセールスエンジニアの重要な仕事です。コンペ時のプレゼンを担当するのはもちろん、導入後のサポート窓口を担当しつつ、追加導入を視野に入れた技術提案を行うケースもあるでしょう。つまりセールスエンジニアとは、顧客からの技術的信頼感を得て案件を獲得するため幅広い活動を展開するセールスマンだといえます。

FAE・プリセールスエンジニアとの違い

幅広い業務で案件獲得に貢献するセールスエンジニアですが、企業ごと・業界ごとに役割が微妙に異なっており、異なる名称で呼ばれることもあります。たとえば、欧米のIT企業の慣例に従った「プリセールスエンジニア」のほか、セールスエンジニアと同じような意味合いで「FAE(フィールドアプリケーションエンジニア)」という職種名を使う業界もあります。それぞれの違いは曖昧ですが、一般的に認識される違いについて紹介していきます。

FAE(Field Application Engineer)

メモリ・CPUなどの半導体業界におけるセールスエンジニアのポジションで使われることの多い職種名が「FAE」です。フィールド、つまり外回り営業を行うアプリケーションエンジニアという意味ですが、自分自身が主体になって新規顧客を開拓するセールスエンジニアに対し、FAEは営業部隊が獲得したアポイントに同行する営業支援の側面が強い傾向にあります。セールスエンジニアと同様に幅広い活躍が期待される職種でもあり、FAEへの転職を希望するエンジニアも少なくありません。

プリセールスエンジニア

セールスエンジニアとほぼ同じような意味で使われる言葉として「プリセールスエンジニア」があります。分業制の進む欧米で主流の「プリセールス」を語源にしていることからもわかるように、営業支援の側面が強いのがプリセールスエンジニアの特徴です。製造業ではなく、ソフトウェア・アプリケーションを中心としたIT企業を中心に使われる職種名です。もちろん、プリセールスエンジニアが主体的に営業先を獲得してくる企業もあれば、セールスエンジニアが営業支援に徹している企業もあるため、企業ごとのビジネス方針によって業務内容は微妙に異なります。

セールスエンジニアの魅力

呼び方や業務内容は企業ごとに異なるものの、FAE・プリセールスエンジニアを含むセールスエンジニアへの転職希望者は年々増加している傾向にあります。特にプログラマーを中心にしたエンジニアからの転職希望者が多いのが特徴であり、セールスエンジニアの仕事はエンジニアにとっても魅力的なのがわかります。

顧客への提案が通りやすい

開発チームのエンジニアであれば、クライアントの利益に寄与する機能を考えついたとしてもそれを提案する機会はほとんどありません。一方のセールスエンジニアは、技術的なバックボーンを背景にクライアントの課題を解決する方法を提案するのが仕事です。クライアントとの技術的信頼感を築けるセールスエンジニアであれば、提案に対して真剣に耳を傾けてもらえる、受注につながりやすいなど技術職・営業職としての大きなやりがいを感じられます。自身の提案が数字としてクライアントの業績改善に貢献できたときの達成感は格別でしょう。

ビジネスマンとしてのスキルを伸ばせれる

エンジニアとしてプロジェクト単位での開発に携わっているとどうしても視野が内向きになりがちであり、閉塞感を感じてしまうことがあるかもしれません。一方、業界のさまざまなクライアントの要求に応じなければならないセールスエンジニアは、競合他社を含めたより幅広いテクノロジーに自然と向き合えるようになります。顧客のニーズを読み取る洞察力、相手を納得させるコミュニケーション能力など、一流のビジネスマンとしてのスキルも伸ばせられるでしょう。これらを実践を通じて学んでいけるのは、セールスエンジニアの大きな魅力です。

最新の技術を吸収できる

プロジェクトがはじまれば半年や1年はかかりっきりになることも珍しくない開発エンジニアは、その間新たな技術の習得を並行して行うのが困難です。一方、開発業務に携わらないセールスエンジニアは、日進月歩のIT技術を追いかけて吸収していくのも仕事のひとつです。営業職としてのスキルを磨きながら、技術職としての知識を吸収できるセールスエンジニアは知識欲旺盛なエンジニアにとって魅力的な仕事です。

高年収が期待できる

顧客を納得させる一流のエンジニアとしての知識・スキルとともに、会社に利益をもたらす一流のセールスマンとしての資質が求められるセールスエンジニアは、必然的に高収入が期待できるポジションです。セールスエンジニアへの転職希望者が増加傾向にある大きな理由のひとつだといえるでしょう。これはFAE・プリセールスエンジニアであっても同様であり、企業にもよりますが一般的には30代で年収600万円が視野に入ってくるといわれています。

セールスエンジニアの厳しさ

どんな仕事であってもやりがいや魅力の反面、厳しさがありますがセールスエンジニアであってもそれは同様です。営業職・技術職の両面を追求していかなければならないのは、厳しさの最たるものだといえるでしょう。

そのひとつとして、営業・技術のバランスに苦労する方も少なくないようです。たとえば、一般的なFAE・プリセールスエンジニアは営業支援の側面が強くなりますが、企業によっては営業部隊と同様の数値や目標が課せられる場合もあります。数字の達成が思うようにいかなければ、技術面の吸収がおろそかになることも考えられます。こんなはずではといった悩みを抱えてしまう転職者も少なくありません。

セールスエンジニアに転職するには

厳しさはあっても、セールスエンジニアにはそれを上回る魅力・やりがいがあるのも事実です。知識やスキルはあるのに「能力を発揮し切れていない」「年収が頭打ちだ」と考えるプログラマー・SEを中心に、セールスエンジニアへの転職希望者は増加を続けています。もちろん、営業職・技術職双方のスキルが求められるセールスエンジニアへの転職希望者には、セールスマンとしてのバックボーンを持つ方も少なくありません。しかし、セールスエンジニアへの転職はエンジニアからの方が有利です。

エンジニアからの転職が有利な理由

実践で開発を担当してきたエンジニアであれば、技術的な知識・スキルを持ち合わせているだけでなく、どのように技術を応用できるか、問題が発生した場合にどのよう解決すればいいかという技術応用力を持っており、クライアントに有益なアドバイスをしやすいというアドバンテージがあります。一方、技術的なバックボーンを持たないセールスマンが技術応用力を含むスキルを身に付けるのは容易ではないでしょう。数値目標を課せられてしまえば学習時間を確保するのすら難しくなる可能性もあります。

もちろん、セールス経験のないエンジニアが営業職としてのスキルを求められるセールスエンジニアへ転職するのも簡単ではないでしょう。案件の獲得や顧客課題の解決にやりがいを感じられるか?積極的にコミュニケーションできる資質を持っているか?自身の資質も含めてしっかりと考えておくのが重要です。

セールスエンジニアのキャリアパス

高年収が期待できることもあり、転職後もセールスエンジニアを長く続ける方も少なくありません。一方、営業職で培ったコミュニケーション能力を活かし、開発チームのプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへと転職するケースもあります。自社製品・サービスにとどまらない幅広い技術提案を提供するため、ITコンサルタントの道を選ぶ方もいます。セールスマンとしての営業スキルも身に付けられるセールスエンジニアは、その後のキャリアパスの幅も広がるといえるでしょう。

まとめ

営業・技術のスペシャリストとしての資質・スキルが求められるセールスエンジニアですが、どちらかといえば営業職としての側面が重視されるのも事実です。エンジニアという肩書きだけでチャレンジしたものの、業務とのギャップに悩んでしまうというケースも充分に考えられます。しかし、エンジニアとしてのスキルを別の形で活かせる魅力とやりがいのある仕事でもあります。ブレイクスルーのキッカケが欲しいエンジニアの方は、セールスエンジニアにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。