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CCNA対策における無線ネットワークの基礎

初めに

2020年2月24日のCisco社の認定試験改定により、CCNAに無線ネットワークの範囲が追加されました。今回はその無線ネットワークの基礎理論を学習していきましょう。

無線ネットワーク

無線ネットワークには大きく分類すると無線LANと移動体用通信システムがあります。無線LANとは文字通りLAN(Local Area Network)という自宅や会社などの比較的狭い範囲で、デバイス同士(パソコンなど)を接続するためのネットワークことであり、通常LANケーブルなどによって接続されているのですが、それを無線通信で行うことを指します。一方、移動体用通信システムとはどちらかまたは両方を動かすことのできる通信方式、つまり携帯電話やPHSなどの無線を利用したサービスの事を指します。様々な種類があるのですが、「3G」「4G」「LTE」そして今話題の「5G」という言葉には皆さんも聞きなじみがあるでしょう。

無線LANとは

今回はCCNAでの範囲である無線LANについて紹介していきます。無線LANとはLANケーブルを必要としないイーサネットの通信技術です。無線LANの特徴は以下の通りとなります。

メリット
モバイル性の向上  電波の届く範囲での移動しながらの通信、機器の自由な配置変更が行える。
LAN敷設の工事費削減  LANケーブル、コネクタ、パッチパネルの部材や敷設工事費用が削減できる。
デメリット
通信品質の問題  無線LANと同じ周波数を使用する機器が近くにある場合、電波の干渉により速度低下の可能性がある。
セキュリティの問題  無線LANでは、電波にデータをのせて通信が行われる。その電波が不正に傍受された場合、暗号化が不十分であるとデータを解読される可能性がある。

無線LANのデメリットを解消するために、無線LANの規格化を行っているIEEE802.11Working Group は様々な規格の標準化を進めており、無線LAN特有の問題である通信品質とセキュリティ問題はかなり解消されています。

CSMA/CA通信

CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)とは無線LANの通信規格であるIEEE802.11a、802.11b、802.11g の通信手順として採用されています。CSMAは、CSMA/CDと同様に、通信開始前に伝送媒体上(無線LANでは電波)に、現在通信をしているホストがいないかどうかを確認するというCarrier Sence(CS)、複数のホストが同じ伝送媒体を共有して現在他のホストが通信していない場合は、通信を開始するというMultiple Access(MA)のCSMAです。そして、Carrier Senceにより通信できるだと状態分かってもCSMA/CA の場合はさらにランダムな時間だけ待機してからデータを送信します。無線LANでは有線ネットワークのようにフレーム衝突を検出できないので、この手法で衝突を回避(Collision Avoidance)します。

無線LANの2つのモード

アドホックモード

無線LANに対応している端末同士が直接通信する形態です。アクセスポイントが必要ありません。このモードはPCだけでなく携帯ゲーム機にもよく利用されています。

インフラストラクチャモード

インフラストラクチャモードではアクセスポイントを経由して端末が通信を行うモードです。企業内ネットワークにおいてはインフラストラクチャモードによる通信が一般的です。

無線LANの規格

無線LANの規格化は、先述したIEEE802.11Working Groupにより行われています。無線LANには周波数や伝送速度の違いにより、様々な規格があります。周波数帯は大きく分けて2.4GHz帯と5GHz帯の二つです。この数字はWi-Fiを使用する時によく目にするのではないでしょうか。

2.4GHz帯

産業(Industory)、科学技術(Science)、医療(Medical)向けに無許可でしようできる周波数帯です。頭文字をとってISMバンドといいます。無線LANの端末以外にも電子レンジなどの家電製品にもこの周波数帯が使われているため、電波干渉を受けやすいという難点があります。

原則として屋内では免許不要で使用できる周波数帯です。家電製品と周波数帯が異なることから、電波干渉を受けにくいという特徴があります。

       
通信規格名  最大伝送速度 利用周波数帯 
IEEE 802.11b  11Mbps 2.4GHz 
IEEE 802.11a  54Mbps 5GHz 
IEEE 802.11b  11Mbps 2.4GHz 

BSSとESS

無線LANのインフラストラクチャモードで、一つのアクセスポイントとそのアクセスポイントの電波内にいる配下の無線LANクライアントで構成されるネットワークの事をBSS(Basic Servis Set)といいます。複数のBSSで構成されるネットワークの事をESS(Extende Service Set)といいます。BSSのIDをBSSID、ESSのIDはESSIDといいます。BSSIDはアクセスポイントのMACアドレスと同じものとなります。一方ESSIDは無線LANを構成する機器に最大32文字までの英数字で設定することができます。

無線LANではESSIDが同じもの同士が通信することができます。ESSIDが異なる場合、電波が届く範囲であっても、企画や周波数が同じであっても一般的には無線LAN間の通信はできません。また、皆さんはSSIDという言葉は聞いたことがないでしょうか。SSIDとは無線LANにおけるアクセスポイントの識別子です。ESSIDとは、アクセスポイントの識別子であるSSIDを複数のアクセスポイントを設置したネットワークにおいても使用できるように拡張した識別子のことを指します。 このように厳密にはSSIDとESSIDの意味は異なりますが、本来、ESSIDの意味であるにも関わらず、SSIDの用語が使用されているケースが多いです。現在の企業ネットワークにおける無線LAN導入の実態を考えますと、無線LAN導入に1台だけのAP導入というケースは少なく「ESSID」を識別子として使用していることが一般的であるといえるでしょう。

まとめ

今やネットワーク通信の主流となりつつある無線ネットワークについての概要を紹介しました。無線ネットワークの学習に役立てていただければ幸いです。