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はじめに

SESは顧客先へエンジニアを派遣して技術力を提供するサービスです。IT業界で働いている方や関心のある方であれば「SESはやめておけ」というように、就職先としておすすめされていないことをご存知でしょう。それにも関わらずSESはIT業界で長らく活用されてきたサービスで、現在も数多くのSES企業が存在しています。なぜSESはなくならないのでしょうか?本記事ではその理由をご紹介します。

SES企業で働く5つのデメリット

SESがおすすめされないのは、さまざまなデメリットがあるためです。もし、SES企業で働くことを検討している場合は、どういったデメリットがあるのか認識しておきましょう。ここでは5つのデメリットをご紹介します。

1.常駐先を選べない

「どのようなスキルを身につけられるか」、「顧客との相性」、「職場環境」などは全て常駐先によって左右されます。自分がやりたいと思っている仕事やスキルアップにつながるような技術的な仕事を任せて貰えれば問題ありません。しかし、簡単な資料の作成や帳票の仕分けチェックなど誰にでも出来そうな単調作業を回される可能性もあります。どういった常駐先が良いか希望を出すことはできるかもしれませんが、希望にマッチした常駐先がタイミングよく現れる可能性は低いでしょう。

2.給料が安い

IT業界は1つのプロジェクトに対して複数の企業が絡んでくる「多重下請け構造」になっています。多重下請け構造は、例えば大手SI企業が獲得した大きな案件の仕事を分割して、その一部を中堅企業に振ったとします。仕事を受けた中堅企業がその仕事をさらに分割して中小企業へ、中小企業がさらに分割して零細企業へ・・・というように下請け企業へ仕事を繰り返し分割して回す階層構造を指しています。以下のように階層が下がる度に中抜きが発生し、低階層の企業が受け取れる報酬額が低くなっていきます。SES企業は低階層に位置づけられることが多く、「低くなった報酬額」の中から従業員へ給料を支払うため、結果的に給料が安くなってしまいます。

発注元⇒1000万で依頼⇒元請け企業⇒500万で依頼⇒二次受け企業⇒200万で依頼⇒三次受け企業

※上記は発注元が1000万で依頼した仕事の報酬額が3次受けに回ってきた時点では200万円となっている例

一般的なSESの平均年収は以下のとおりです。

1年目 300万円

3年目 350万円

5年目 400万円

7年目 450万円

3.勤務地が安定しない

勤務地が契約先の企業や配属されるプロジェクトによって変わるため安定しません。どこに住めば良いのか決めづらく、突然遠方の常駐先に回されてしまうかもしれません。通勤時間が長くなることで、ライフワークバランスが取りづらくなってしまうでしょう。

4.自社への帰属意識が低下する

SESは顧客との契約期間の間、常駐して契約が切れたらまた次の顧客先に常駐して・・・の繰り返しです。自身の所属している企業に出社する機会はほとんどないため、自分がどこに所属しているかわからなくなってしまうことがあります。所属がないフリーランスエンジニアには関係のない話ですが、自社への帰属意識を大事にしたいと考えている人にとってはストレスになります。

5.契約先が見つからないと社内待機になる

契約先の企業が見つからないと「社内待機」という状態になり、仕事が無い状態になります。次の契約先がみつかるまで、自社に出社して勉強をしたり雑務をしたりします。社内待機の期間が長くなると、周りからみられる目が厳しくなり、肩身の狭い思いをすることになるでしょう。また、常駐手当を出しているような企業では、手当をもらえなくなり収入減となってしまいます。

SESがなくならない3つの理由

労働者にさまざまなデメリットがあるSESですが、なくならない理由は企業側にメリットがあるためです。企業側のメリットとして主に次の3点があげられます。

1.教育コストを下げられる

自社で人を雇ってしまうと簡単にクビにできませんし、教育コストもかかってきます。特に短期間の作業である場合は、せっかく教育をしてもすぐに作業が終わってしまうため教育コストばかりかかってしまいます。しかし、SESを利用することで、こうした教育コストをカットでき、自社で社員を雇うよりも低賃金でエンジニアを確保できます。こういった企業ニーズがある限りは、SESはなくならないと言えるでしょう。

2.流動的な人の入れ替えが可能

IT業界ではプロジェクトを進める中で、作業進捗や工程によって必要となる人員が変わってきます。進捗が遅れている場合は、増員して進捗遅れを取り戻すことがあります。また、昨今のエンジニアが不足から、特定のスキルを持ったエンジニアが必要になっても自社にいないようなケースも考えられます。このような場合に、SES企業に希望するスキルを持ったエンジニアの派遣を依頼するだけで、問題を解決できるメリットは大きく、SESがなくならない理由としてあげられるでしょう。

3.利益を確保しやすい

SES企業は自社で採用したエンジニアを他社へ派遣するだけのビジネスです。言ってしまえば、簡単に利益を確保することが出来ます。「1ヶ月140時間~180時間の労働で50万円」といったように、作業した時間に対して報酬が支払われます。成果物に対して責任を負わないため、「この成果物では報酬は支払えない」といったトラブルになることがなく、契約が取れれば確実に利益が見込めます。そのため、多くの企業がこのSES事業に手を出していることから、SESは簡単にはなくならないでしょう。

労働者視点で見たSES企業3つのメリット

ここまでの説明では「SESは労働者にメリットはなく、企業にメリットがあるからなくならない」というように思えます。しかし、次のような労働者視点で見たSESのメリットもあります。

1.色々な企業やプロジェクトに関われる

1つの企業に留まって働くことがなく、契約単位で職場環境が変わるのでさまざまな経験を積むことができます。色々な企業の社内を見ることができたり、大手企業に派遣されることがあれば、有名企業でどんな人が働いているのかを知ることができたりもして、刺激を受けられるでしょう。そのため、1つの場所に留まって働くのが苦手な飽きっぽい性格の人には向いているのかもしれません。

2.社外に人脈ができる

さまざまな企業やプロジェクトで働くということは、出会える人の数も増えていきます。仕事での出会いをきっかけに、ヘッドハンティングをされたり、後にフリーランスエンジニアとして独立した際に新規案件を受注するきっかけを貰えるかもしれません。

3.未経験でも仕事が決まりやすい

自社開発企業は人気があるため競争率が高く、未経験では採用してもらえる可能性が低くなります。しかし、SES企業は未経験者でも採用のハードルが自社開発企業ほど高くありません。簡単なプログラム改修やテストなど下流工程の作業を任されることが多いため、最初に経験積むにはちょうど良い作業を担当できる可能性が高いです。まずは経験を積み、そこからステップアップを目指すとよいでしょう。

まとめ

SESは企業にとってメリットがあるため、今後もそう簡単にはなくならないでしょう。一般的にSESはマイナスイメージで敬遠されがちですが、考え方によってはメリットもあります。SES企業で働く場合は、メリットとデメリットをしっかり理解して、納得した形で働くようにしましょう。