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はじめに

面接は就職や転職において避けては通れない過程ですが、社会人生活が長くても毎回緊張してしまってうまく話せない、回答に詰まってしまうなど苦手意識が強い人も多いのではないでしょうか。そして面接では多少各社オリジナルな質問はあるものの、どこの企業でも共通して聞かれる項目が少なからず存在します。例えば自己紹介や、自己PR、長所・短所、そしてこれから紹介する志望動機についてです。この記事では面接で採用側が総合的に知りたいと思っていること、そして質問として多い「志望動機」が聞かれる理由、そして採用側に共感を得られやすい志望動機の作り方について紹介していきます。

面接はどう攻略すれば良いか

友達や先輩、知り合いとのコミュニケーションは全く問題ないのに、いざ面接となるとどうしても構えてしまってうまくいかないという人がいます。どちらも会話であるのに両者にはどんな違いがあるのでしょうか。大きな原因として挙げられるのは、会話内容を逐一チェックされ、審査されていると意識し過ぎてしまうことです。特に気のおけない仲間と日常会話をしている時はそこまで頭を使わずとも会話が成立します。しかし面接の場では失礼があってはいけない、マイナスになることを口走ってはいけない、あらかじめ考えていたことを話そう等、様々なことが頭の中を駆け巡ります。その結果話がまとまらず長くなってしまう、質問とかけ離れた回答をしてしまうという状況が生まれます。

逆に面接のようなシチュエーションを苦にしない代わりに、ここぞとばかりに自己アピールを続けた結果、なぜ自社を選んだのかがわからない、最悪の場合何をしに来たのかわからないと思われてしまう人もいます。しかし面接で失礼がないように振る舞うことも、自己アピールをすることのどちらも過剰でなければ決して間違いではありません。また突拍子のない答えをプラスに捉える人、マイナスに捉える人は採用側の性格やその時の状況、受け答えの仕方等で結果が全く変わってきます。このように面接には唯一の正解が存在しないということが、苦手に感じる人が多い原因の一つと言えるでしょう。

それでも本屋に行けば面接の対策本がたくさん並んでいます。対策本があるということはなんらか打開策があり、共通して重要となるポイントがあると考えられます。しかしほとんどの面接対策本には多くの有用な情報が載っているものの、分厚い面接対策の本を隅から隅まで読んで全ての重要ポイントを実践しようとしても困難であるどころか、まず記憶できるかも怪しいものです。人間は大人になるにつれて点で存在する知識を記憶するよりも、これまでの経験や知識を元に線で結び合わせて新たな知識を記憶するようになっていくと言われています。そのため対策本に書かれた重要ポイントを一つ一つ点で覚えていくよりも、まず面接官は何を求めているのか、なぜその質問をするのかという視点から見ていくと、面接で気をつけなければいけない点を丸暗記せず、自然に体現できる可能性が高くなります。まずは自分が採用担当側であった場合に採用したくなる人材をイメージし、その人材を見つけるために聞きたくなる質問を考えてみることをおすすめします。

面接では特に何を見られているか?

前項目で触れた「人材を見つけるために聞きたい質問」を一瞬でも思い浮かべていただいた方は、これから挙げる項目に合致していたり、類似していたりする可能性が高いことでしょう。なぜなら面接での質問内容や言い方はそれぞれ異なっても、その本質は限られているからです。以下に具体的なポイントについて解説していきます。

一緒に仕事したい人物か

面接で重要視される項目の一つに人柄がありますが、ここには面接官や配属されるチームメンバーが気持ち良く一緒に仕事ができる性格や価値観の持ち主かを判断したいという意図があります。採用する立場として考えれば当然のことで、例えば仲の良い友達グループで旅行に行くことになった場合に、自分の意見だけを通そうとする人、旅行自体を台無しにするような人を受け入れようとは思いません。ましてや仕事を完遂するためには、協力的な人材を集めることが重要となります。企業理念や経営理念に共感できる人物であることはもちろん、身だしなみや社会人としてのマナーがあるか、基本的なコミュニケーションが取れるか、素直で誠実であるか等を見られています。

今後の活躍に期待できるか

求人の中には人柄を重視した募集もありますが、そういう企業であっても決してお金を出してただ気の合う友達を集めているわけではないので、給料に値する仕事をしてくれない、すぐ辞めてしまったとなければその採用活動は失敗と言わざるを得ません。そのため採用側は入社後に活躍してくれるかどうかもできる限り面接の場で見極めたいと思っています。この点を主に重要視するため、面接で良く聞かれる学生時代、趣味、ボランティア経験等の質問に関しては実はあまり重要視しない傾向にあり、それらの質問をされた時に過剰に自己アピールすることは避けた方が賢明でしょう。ただし転職活動の場合において前職での経験を質問された際は、採用側も前職での働き方を聞くことで自社でどのように働らいてくれるかをイメージがしやすくなり、アピール材料となる可能性があります。またあまりマイナスになることを言わない方が良いのではと迷いがちな転職理由についてもそこまで重要視されていないと言われています。採用側が知りたい情報は過去ではなく未来と、未来をイメージできる実績であることを頭に入れておきましょう。

意欲や態度

日常的な人付き合いを考えると当然のことと言えますが、基本的にはいつもネガティブでやる気が見えない人よりは、ポジティブで意欲ある人、接し方が丁寧な人の周りに集ってくる人の方が多くなります。採用担当も入社したいという意欲、学ぶことへの意欲、前向きな気持ちを大切にします。それらにプラスして面接中に態度や言葉遣い等もチェックします。意欲と態度は人柄にも繋がってくる部分ですが、意欲については特にこれから紹介する志望動機に深く関係する部分となります。

志望動機を聞かれたらどう答えるべきか

志望動機は採用側が面接で重要視している項目の一つです。この項目で動機として挙げる内容は、志望する企業の企業理念・経営理念、創業者が有名であったり書籍を出している場合は印象に残った言葉、あるいは志望先の代表的な商品や活動について等が考えられるでしょう。

採用側はなぜ自社を選んでくれたのかということを聞きたいと思って投げかけている質問なので上記に挙げた動機はどれも正解です。しかし例えば「御社の企業理念に共感したからです」「御社の○○という商品の便利さに感動したからです」という回答だけで終わらせてしまっては面接官に心から共感してもらうことは難しく、多くの場合は「企業理念のどこに共感しましたか?」「なぜ感動しましたか?」と言及されることでしょう。

特に企業の理念はホームページに載っていて、創業者の言葉も自分で書籍を購入しなくても一部であればWeb上の記事から情報を得られたり、SNS上で発言されているのであれば誰でも見れたりするので、言及された際に面接官が共感してくれるだけの実体験を伴った理由がないと、誰でも見られる情報を間に合わせで記憶して志望動機として挙げているだけではないのかと疑われる可能性があります。企業が取り扱っている商品に感動して志望したという理由に関しては、実際に商品を購入しているのだから効果的ではないかと思われるかもしれませんが、ただ商品の品質が高いから、便利だからという理由だけであれば、それは企業の一ファンと変わりありません。なぜその商品を開発した企業の働き手側になりたいと思ったのかということを伝える必要が出てくることでしょう。

いずれの場合も、十分に下調べを行わず自分の見解を述べているだけの志望理由、上辺の理由しかない志望動機、どこの企業へ志望する時でも通じてしまう理由、ファンであるだけではなのでは?と思われる内容は避けるべきです。特に企業理念を志望動機に含めて回答する場合、不用意な内容であるとマイナスにもなりかねないので、以下にさらに掘り下げて解説していきます。

企業理念への共感を盛り込む

まず、志望動機は「結論-理由-具体例-結論」と順序立てで話すことを意識しましょう。具体的な共感理由があったとしても相手に伝わらなければ意味がありません。熱い思いがあり過ぎて話が長くなったり、支離滅裂な内容になってしまって勘違いされてしまうようなことを避けるためにもこの順序立ては重要です。またあわせて志望動機は客観的に語ることも意識しましょう。

「志望理由を教えてください」と質問された際の始めの回答(結論)は、「○○という企業理念に共感したためです」等と簡潔に述べることをお勧めします。その後は自分で続けて理由を話し出すことも、面接官から「それはなぜでしょう?」と問い掛けられることもありますが、特にどちらであろうと問題ありません。十分に納得させられる理由を述べていきましょう。

理由の部分ではこれまでの自分の価値観と企業理念の共通する点について説明しましょう。例えば「お客様第一」という理念を志望理由に挙げた場合に、「私は常々、どんなサービスであってもお客様無くしては成り立たないと思っています」等、自身の信念や価値観と企業理念がマッチしているということを説明します。

企業理念に共感した理由のみで面接官に十分な理解を得られたり、話が膨らんだりすると具体例が不要となることもありますが、具体例があることでより面接官に共感してもらいやすくなり、自信の実体験を通して本気で企業理念に共感していることを理解してもらいやすくなります。学生時代、趣味、ボランティア経験については面接上あまり重要視されないと前述しましたが、志望動機を伝える際には逆にこれらをフル活用して、企業理念に共感するに至った経緯を体験と結びつけて語ることで、自分だけのオリジナルな志望動機が出来上がって、印象付けしやすくなります。

最後に改めて結論を伝えて締めます。もし価値観との結び付けができない、具体例がないという場合は、企業理念を志望理由に含めることを避けるべきと言えます。またそもそも企業理念の理解に誤りがあると全く価値観が異なる人と結論付けられてしまうので、入念に下調べを行って正しく理解したうえで志望動機を考えることが重要です。なお企業理念を正しく理解するには身近に志望先に触れておく必要があるので、企業説明会やOB訪問、インターンへ積極的に参加することをおすすめします。さらに自身の価値観や信念が漠然としている場合は、自己分析も同時に行う必要があります。

まとめ

志望動機は採用担当が面接の中で特に聞きたい部分であるため、回答内容によっては採用される可能性がアップする重要な質問事項となります。また志望動機の中には企業理念、経営理念への共感を含めようとする方が多い傾向にありますが、伝える内容が抽象的で曖昧であるとかえって逆効果になる可能性も秘めた項目でもあります。今回紹介したポイントをぜひ頭に入れたうえで、自己分析や下調べをしながら希望する企業への志望動機を作成してみてはいかがでしょうか。