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  • 世の中にある様々な「ディレクター」職

そもそも「ディレクター」職とはどんな仕事?

まず前提として考えておきたいのは「そもそもディレクター」というのはどういう仕事なのか?ということです。なぜディレクターという名称なのか?ディレクターはどんな仕事をしているのか?ということについて簡単に解説しておきましょう。

ディレクター、またはダイレクターと呼ばれるこの職種は、一般的な理解として何らかの制作物や作品が制作される際に、その成果物としての納品品質に対して責任を負う役職だと位置づけられています。これらの「制作プロジェクト」に関わる企画と立案、そして制作業務全般に責任を負う立場にもあたるため「監督」という呼称で表現されることもある仕事です。ただし、本来は制作プロジェクト全体の予算にも管理範囲が及ぶことになる企画・立案の業務はディレクターの担当ではなく、プロデューサーの仕事であるとされています。

近年の各種制作プロジェクト現場においては、プロデューサーとディレクターを兼務する事例も多いため、徐々にディレクターが予算管理等にも携わるものだという解釈も広まりつつあるのが現状です。

ディレクター職にとって大切なこととは?

ディレクターという立場の役職者として大切なことはどのようなことなのでしょうか?

一般的な共通認識として挙げられるのは以下のことです。

(1)周囲を観察し、全体を把握すること

(2)不測の事態にも臨機応変に対処できること

(3)想像力・創造力・発想力があること

(4)周囲への指揮・指示を問題なくできること

ディレクターは既に紹介したように制作プロジェクトの最終成果に対して責任を負う立場であるため、プロジェクトに関わる各メンバーが携わる業務全体を認識・把握し、進行状況を理解しておく必要があります。また、制作現場においては何らかの不測の事態も起こり得ます。スタッフや担当者の体調など人的な問題もそうですが、外的要因によるトラブルなども考えられます。それらのトラブルはいつどこで起きるかわからないため、不慮の事態にもその都度冷静に対処できる姿勢が求められます。

また、プロジェクト全体を指揮する立場であるがゆえに、完成形に対する想像力や完成に導くための創造力・発想力も大切です。完成と成功に対する具体的なイメージが持てないと的確な指示も出せないためメンバーに混乱を生むことになってしまう可能性があるためです。さらに、これらの指示内容が的確で具体的である必要もあります。抽象的な指示は現場に問題を発生させることもあるため、指示を出す場合は可能な限り具体的で、相手にとってもわかりやすい的確なものでなければなりません。

このようにディレクターは制作プロジェクトに関わる企業にとっては非常に重要な職種です。ただし、指示を出される側の職務経験がないとディレクターにはなれない、ということはありません。そのため、例えば業界や会社によっては新卒者や若手の社員をディレクターの補佐に就けて業務にあたらせ、「アシスタント・ディレクター」としてディレクター業務の経験を積ませることもあります。

ディレクター職はいくつか種類がある

世の中には様々な制作物があり、それぞれにディレクターが存在します。IT業界で馴染みのあるディレクター職にどのようなものがあるのかを簡単にご紹介します。

アートディレクター

グラフィックデザイナーやフォトグラファーなど、画像に関する業務を取りまとめて管理する立場にいるのがアートディレクターです。単に画像の品質管理するだけではなく、外注デザイナーやフォトグラファーに支払う予算などの管理や、納品されてきた画像をどのように使用するかというデザイン・レイアウト関連の業務やディレクションにも関わることが多く、デザイン知識を持った人物が就任することが目立ちます。もともとデザイナーとして働いている人にとっては目指すべき職種の一つにもなります。

映像ディレクター

映像系制作物の制作現場でトップの立場にいるのが映像ディレクターです。かつはTV番組か映画などが代表的な映像系制作物でしたが、近年ではTVと映画以外にもPV、MVなどの音楽系作品。そしてYouTubeなどに代表されるネット系映像作品。プロジェクションマッピングや音楽のライブ会場で使われる背景映像に至るまでジャンルが広がっており、それぞれに特徴があります。

基本的に映像ディレクターはほぼ全ての映像作品に関するディレクション知識を持っているのが良いとされていて、特定ジャンルに特化したディレクターよりもいくつかのジャンルを横断して指揮できるマルチな能力を持った映像ディレクターのほうが人気が出やすい傾向にあります。

Webディレクター

一般的にIT業界のディレクター職としてイメージされやすいのがWebディレクターでしょう。WebサイトやWeb系コンテンツなどの制作現場においてプロジェクト全体の進捗・進行を指揮監督するのが主な仕事です。ただしプロジェクトの企画段階から携わることも多く、ほとんどの場合は制作物完成後の運用管理も行います。

他のIT系職種と大きく異なる点は、Webディレクター本人はコーディングやプログラミングなどを行うことはないという点でしょう。Webディレクターはコーディングを行うコーダーやプログラマー、Webエンジニアなどをまとめ、その進捗管理をするのが主な仕事になります。

Webディレクターとは?

IT業界で働く方やこれからIT業界で働きたいと思っている方にとって興味があるのはWebディレクターでしょう。ここではWebディレクターについて深堀りしてご紹介します。

Webディレクターの仕事内容

Webディレクターの仕事内容は大きく分けて次の3つです。

企画・提案

Webディレクターが関わるメインの制作物はWebサイトです。そのWebサイトにどのようなコンテンツを実装し、そのコンテンツをどの様に表示させるか?どのようなユーザー層に向けたWebサイトにするか?コンセプトはどのようなものか?などの企画を立案しクライアントに提案します。

当然ですが、前提としてクライアントがどのようなWebサイトを作りたいと思っているか?Webサイトに求めているのはどのような効果なのかなど、クライアント側の要望や期待を具体化するようにヒアリングしていることが必要です。クライアント側の意向を無視したWeb制作は良いものとは言えません。Webディレクターはあくまでもクライアントの要望に沿ったWebサイトが最適な効果を出せるような企画を立案し、提案することが必要なのです。

プロジェクトの進行・進捗管理

Webサイトの制作プロジェクトが開始されたら、次に必要なのは完成させることです。そして完成させるための期日が設けられているため、期日までに完成させられるようにプロジェクト全体の進行と進捗の管理をする必要があります。

Webサイトの制作には多くの人が関わっています。画像や映像の制作担当者やそのディレクター。Webエンジニア、Webプログラマー、コーダーなど、規模が大きなWebサイトになれば必要なエンジニアやクリエイターの人数も増えることになります。そのため各担当者や担当セクションの業務進行状況や全体の進捗を把握し、不足しているセクションの洗い出しを行い必要なディレクションをしなければなりません。

進行・進捗管理を行うためには各担当者ともコミュニケーションを円滑に行い、こちらの要望内容を具体的に伝えて理解してもらうことと、相手の状況と要望を的確に把握して理解する能力の両方が必要になるため、高度なコミュニケーションが発生します。そのため、Webディレクターには高いコミュニケーション能力が求められることになります。

運用管理・更新管理

よく言われることですが、Webサイトは完成したらそれで終わり、というわけではありません。忘れてはいけないことですが、クライアントにとってWebサイトを制作することはゴールではなく、あくまでもスタートの一つです。クライアントはWebサイトを作りたいのではなく、Webサイトを使って自分のビジネスを有利に進めたいのです。

そのため、Webディレクターが企画段階でヒアリングしなければならない項目としては完成後の運用イメージも含まれます。そして理想的な提案はWebサイト完成後の運用やコンテンツの更新管理まで含めた運用業務も請け負う提案です。

Webサイトのコンテンツ更新や運用は、一般的に考えられているよりも繊細な業務です。多くの場合、新製品や新サービスのリリースがあるとWebサイトでその事実を告知することになりますが、発表会が行われたりプレスリリースが報道各社に送付される前にWebサイトで告知するのかどうかは戦略によって異なります。場合によっては新製品発表会の開催そのものを告知するティザーコンテンツを作成しなければなりませんし、発表会をライブ配信する場合は動画プレーヤーをWebサイトに組み込み、動作確認を取る必要もあります。

新製品発表後は、新製品をWebサイトの中に組み込み、以前からの製品ページとの競合を避けつつ、新製品も従来製品も変わらず注目してもらえるようなWebサイト作りが欠かせません。実はWebディレクターの力量が最も求められるのはこの運用管理や更新管理だとも言えるのです。

Webディレクターになるには何が必要?

ここまでご説明してきたように、Webディレクターには多種多様な能力が求められます。Web制作全般に関する深い知識が必要ですし、技術的なことだけではなくエンジニアが実際に行う日常業務についての理解も必要です。そのため、例えば未経験からWebディレクターになるというのは現実的ではありません。確かに未経験者としてWeb制作現場に入り、最終的に経験を積んでWebディレクターになることができれば、未経験でもWebディレクターになれる、と言うことはできるかもしれません。しかし、現実的には多くの経験を積んだ実務経験者がたどり着く職種だと言っていいでしょう。

Webディレクターには進行管理や進捗管理、そして運用・更新管理など技術よりも上流のディレクション業務が主な担当分野だとはいえ、技術的知識がゼロではプログラマーやコーダー、エンジニアに指示を出したり正確な作業分担を考えることができません。少なくともWebディレクター自身もWeb制作の現場で働いた経験があることが必要ですし、場合によっては自分でコードを書いたりプログラムを修正したりすることができれば理想的だと言えるでしょう。

HTMLやCSSが書ければ良いということでもなく、出来上がったコンテンツをどのように配置すればコンテンツ単体へのアクセスが増加するか?であったり、サイト訪問者の視線をどのようにどこへ誘導するか、といったデザイン的思考も求められるため、デザインやユーザーインターフェースに関する知識も必要です。

クライアントが求めているのは完成したWebサイトを使って、自社のビジネスに良い影響を与えたいと思っていますから、どのようにWebサイトを活用していくか?そのためのどのようなコンテンツ開発を行うべきか?といったマーケティング面での企画力や提案力、そして発想力なども求められます。

このように、Webディレクターには多くの能力が必要とされるのです。

どんな人がWebディレクターに向いているのか?

ここまで解説したように多くの能力が必要とされるのがWebディレクターです。そのため、誰もがWebディレクターになる適性を持っているわけではありません。では、どのような人がWebディレクターに向いていると考えられるのでしょうか?

まず第一に考えられるのは「課題解決能力が高い」人です。多くの人が関わるWeb制作の現場では、人数が増えれば増えた分だけ課題や問題が発生します。そしてそれは決して避けられません。問題ゼロで最初から最後まで進んでいくプロジェクトはおそらく皆無だと言ってもいいでしょう。そんなトラブルが発生した際に、状況を正確に認識・把握し、的確に対処できる能力は必須だと言えます。

Web制作現場では多くの人が働いているため、個々に様々な思惑があったり、人によって精神状態なども異なります。無表情でも苦しんだり困っている人。声は大きい割に、実はあまり大きな問題ではないことをアピールする人など、様々です。そのような個人の状況に気がつく能力があったり、周囲の状況を把握できる能力があるWebディレクターはどこの現場でも重宝されます。

Web制作においても様々な新しい技術は生まれてきます。昔であればWebサイトに動画などの動的コンテンツが組み込まれていることは考えられないことでしたし、20年前の視点で見ればその当時は最新だった技術も現代では全く使われなくなったものもあります。新しい技術を取り入れるリサーチ力や、それを活かすための発想力・想像力もWebディレクターには必要とされます。

まとめ

Webディレクターとはどんな仕事かということ。そしてWebディレクターの仕事内容はどのようなものかについて解説してきました。現代の生活でWebサイトを利用しないことはほぼ無いと言ってもいいのですが、それらのWebサイトの裏側ではどのような仕事が回っているのか、そして誰が回しているのかについては知らない方も多いでしょう。逆に現在IT業界で働いている方でWeb制作に携わる方であれば、Webディレクターは目指すべき目標地点でもあります。この記事でWebディレクターについての知識を深め、今後の参考にしてみてください。