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エンジニアの働き方は客先常駐が中心になるため、フリーランスであっても毎日の通勤を強いられているという方がほとんどです。東京であれば案件獲得は容易なものの、住居費の関係で郊外に住んでいれば、勤務地まで通勤するのに片道1時間以上かかるケースもあるでしょう。地方都市へのUターン・Iターンを検討するフリーランスエンジニアの方や、地方都市に在住しながらフリーランスへの転身を検討するエンジニアの方も多いのではないでしょうか?

それでは、地方都市でフリーランスエンジニアとして活動するのは現実的なのか?本記事では、中国地方の主要都市である広島でフリーランスを目指すエンジニアの方にフォーカスを当て、案件の傾向や単価相場を含む広島のフリーランスエンジニア事情、開発案件の将来性、必要とされるスキル・経験、案件の獲得方法などを紹介していきます。

広島ってどんなところ?

フリーランスエンジニア事情を紹介する前に、まずは広島とはどんな都市なのか、基本的な要素を押さえておきましょう。広島は中国地方最大の地方都市ではありますが、2020年4月時点で県全体の人口は約280万人で全国12位にあたります。これは約1,394万人の東京に遠く及ばないのはもちろん、大阪・愛知の約1/3、京都府よりもやや多い程度であり、国税調査の度に少しずつ減少しているのも特徴です。

広島県の面積は東京の約3倍にあたる全国11位の広さを持ち、人口密度は東京の約6,350人/㎢に対して約330人/㎢と、地方都市ならではの暮らしやすさがあるといえるでしょう。原爆ドームや厳島神社などの世界遺産があり、修学旅行の目的地としても知られています。

広島で盛んな産業は?

瀬戸内海と中国山地に囲まれる形になる広島は、海産物を含むナンバーワン・オンリーワンの食品産業が有名ですが、製造業が盛んなことでも知られています。繊維・木材製品・建築資材などはもちろん、プリント基板・DRAMなどを含む電気産業、CAD加工・ゴム加工などを含む化学産業があり、金属・機械産業も含むさまざまな製造メーカーが広島に存在しています。

広島の物価は安い?

東京から地方都市へのUターン・Iターンを検討する方には、物価が安いという共通認識があるかもしれません。では、広島の物価は東京に比べて本当に安いのでしょうか?指標はさまざまですが、もっとも比較しやすいのが「住居費」「食費」です。全国平均を100.0ptとした場合で、それぞれの指標を東京・広島で比較してみましょう。

住居費に関しては、東京が「128.0pt」であるのに対して、広島は「88.6pt」です。都市ごとに事情は異なるのは当然ですが、単純計算で広島なら東京の70%の家賃で同等の部屋に暮らせることになります。これは97.5ptの大阪よりもさらに約9pt低い値であり、可処分所得の増加に貢献できる要素です。

一方で食費に目を向けると、東京が「103.0pt」であるのに対して、広島は「101.1pt」と大きな違いがないことがわかります。衣料の項目も同様であり、住居費以外の物価に関しては広島と東京は同等だといえるでしょう。

広島のフリーランスエンジニア案件例

それでは、広島で公開されているフリーランスエンジニア向けも案件には、どのようなものがあるのでしょうか?フリーランスとして独立を目指すエンジニアの方が、案件獲得のイメージを描きやすいように、公開されている広島の案件をいくつか紹介します。

案件情報管理システム開発でのJavaエンジニア求人
・必須要件:Javaでの開発経験
・歓迎要件:Webシステム・アプリケーションの開発経験
・待遇:SE、PG、月/50〜53万円

量販店向け顧客管理システム開発でのJavaエンジニア求人
・必須要件:Javaでの開発経験
・歓迎要件:保守開発案件への参画経験
・待遇:SE、PG、月/50〜55万円

既存管理システム改修でのVB.NETエンジニア求人
・必須要件:VB.NETでのシステム構築経験
・歓迎要件:長期的にプロジェクト参画できる方
・待遇:SE、PG、月/50〜55万円

営業支援システム開発でのPHPエンジニア求人
・必須要件:PHPでの開発経験
・歓迎要件:実務経験少なめでもスキル見合いで参画可能
・待遇:SE、PG、月/40〜50万円

SAP業務システムのカスタマイズ・導入支援求人
・必須要件:SAP CO / SAP PSの知識、簿記の知識
・歓迎要件:円滑なコミュニケーションの取れる方
・待遇:SE、PG、月/55〜70万円

広島のフリーランスエンジニア事情とは?

上述した広島のフリーランスエンジニア向け案件例は、あるフリーランスエージェントで公開されている案件から代表例をピックアップしたものですが、これらの案件例から、広島のフリーランスエンジニア事情・特徴をある程度読み取ることができます。一般的な見解も交えながら、具体的に解説していきましょう。

広島のフリーランス案件の傾向は?

盛んな産業の項目でも紹介した通り、食品産業以外に電気・化学・機械・金属などの製造メーカーが多いのが広島の特徴です。必然的に広島のフリーランス案件は、製造業を中心とした「業務システム開発案件」が多くなり、案件全体の50〜60%を占めるといわれています。これは大阪・名古屋といった都市と似た傾向であり、モダンな技術というよりは保守的な開発が主流になりやすいといえます。

一方、広島で比較的バラエティに富んだ案件があるといわれているのが、サーバ・ネットワークを含めたインフラ構築関連です。クラウド系の東京案件を広島の現場で担当するケースがあるほか、オンプレミスの案件も比較的多く、未経験者を教育していく風土とあいまって、インフラエンジニアであればフリーランス案件を獲得しやすいかもしれません。

広島のフリーランス案件数は?

本記事で紹介した案件は、地方都市に強いフリーランスエージェントの例ですが、検索時点での東京23区内の案件が59件であったのに対し、広島の案件は68件ありました。これだけを見れば、広島にも充分なフリーランス案件があるように思えますが、ある大手エージェントで同様の検索をしたところ、東京23区内の案件が約8,500件あったのに対し、広島の案件は1件のみでした。

これは極端な例かもしれませんが、東京に次いで案件数が多いのが大阪、そして名古屋・福岡といった都市が続くのが一般的な認識であり、広島の案件数は名古屋・福岡よりも一段さらに少ないと考えても間違いではありません。仕事を探す時期にもよりますが、広島の案件数は東京の約1/15〜1/20以下だといわれています。

広島のフリーランス案件の単価相場は?

地方都市のフリーランス案件の単価相場は、東京に比べて安いといわれていますが、広島にも同様のことがいえます。一般的には、広島のフリーランス案件の月額単価相場は平均50万円程度だといわれており、同様の東京案件に比べると15〜20%程度低い水準です。

これは、東京よりも10〜15%程度平均単価が低いといわれる大阪・名古屋よりも低い水準ですが、固定費の多くを占める住居費で比較すれば、広島在住でも可処分所得は東京とそれほど変わらないといえるかもしれません。ただし、PM・PL向けの案件であっても比較的報酬上限が限られているのも広島の特徴です。SAPのような特殊スキルが必要な案件でも、月額70万円程度の報酬が広島の相場です。

広島のエンジニアに求められるスキル・経験

業務システム系の開発案件が多い広島では、R・Go・Scalaといったモダンな言語が使われることはほとんどなく、Java・C#・VB.NETを中心にしたオーソドックスなプログラミング言語が主流です。案件の半分以上はJava・C#で占められるともいわれており、Web開発によく活用されるPHPと併せて習得しておけば、広島案件の8割には対応できるといえるでしょう。

ただし、実務経験の長さを比較的重視する傾向があるのも広島の特徴です。1〜2年程度の実務経験だと、もう少し会社員として経験を積むよう、エージェントからアドバイスされることもあります。最低でも3年程度の実務経験を持たないと、フリーランスとして広島でアピールするのは難しいかもしれません。

広島でフリーランスエンジニアを目指すのは現実的か?

こうした広島における開発現場の事情を踏まえたうえで、フリーランスとして会社員エンジニアが独立するのは現実的な選択なのか?結論からいえば、しっかりと経験を積んだエンジニアの方であれば、フリーランスとして安定的に活躍していくのは難しくありません。東京に比べて低い報酬単価も、住居費を考慮に入れれば妥当な線であり、安定的に案件を獲得できれば、会社員時代よりも収入が大幅に増えるのは間違いありません。なによりも、広島でもエンジニアの絶対数が足りていないのが現実であり、どこの企業であっても優秀な人材を確保したがっているからです。

広島でフリーランス案件を獲得するには?

とはいえ、よほど強力なコネクションでもない限り、待っているだけでは開発案件は獲得できません。いくら広島の事情を踏まえたスキルを身につけても、どんなに実務経験を積んでいても、営業力がなければ安定的に開発案件を獲得するのは難しいのです。

地方に強いエージェントを活用する

そんなスキル・実務経験には自信があるが、営業力に自信がないというフリーランスエンジニアにおすすめなのが、フリーランスエンジニアを専門とするエージェントの活用です。ただし、フリーランスエージェントにも得手不得手があるのも事実です。フリーランス案件例でも紹介したように、エージェントの規模や知名度だけで判断するのではなく、広島のフリーランス案件を多数抱える「地方に強いエージェント」を見極めて活用していく必要があるでしょう。

また、広島には「西日本コンピュータ技術者協同組合」という協同組合があるため、組合員として加入しておくのもひとつの方法です。共同受注という形で報酬から組合費を支払う代わりに、フリーランスエンジニアの営業活動を代行してくれ、福利厚生を含めた各種制度も利用できます。

広島のフリーランスエンジニアの将来性は?

しっかりと実務経験を積んでスキルを身に付ければ、広島でもフリーランスエンジニアとして充分に活動していけることを解説してきました。では将来的にはどうでしょう?東京に比べれば案件の絶対数が圧倒的に少ない広島ですが、それでも徐々に案件数は増えつつあります。開発したシステムの保守・運用・改修も含め、広島でもエンジニアの数が足りていない状況を考え合わせれば、当分はフリーランスエンジニアの売り手市場が続くと予想されます。

もちろん、移り変わりの激しいIT業界のトレンドを押さえ、最新情報を常に吸収していく姿勢を忘れてはならないでしょう。保守的な開発が多い広島とはいえ、いつ流れに変化が生じるかは誰にもわからないのです。

まとめ

広島のフリーランス案件では清算幅が140〜180時間とされることが多く、この点においては東京と同水準だといえます。大阪・名古屋は広島より報酬相場がやや高い分、清算幅も高めに設定される傾向があり、勤務時間という点も広島で働く意義として挙げられるかもしれません。英語やクラウドのスキルを磨いていけば、リモートを含めて仕事の幅も広げられるでしょう。いろいろと思い悩む前に、まずは大きな可能性が開けているフリーランスにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?