支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡

  • TOP
  •   
  • コラム
  •   
  • システム全体の安定稼働のために。「シ

システム運用管理とは

システム開発やシステム構築は文字通りシステムそのものを新たに開発し、作り出すプロジェクトです。しかし開発し、ローンチされたシステムは納品先やクライアントによってその後、長い間使われていくことになります。

人の手によって作り出されたものであり、システムとはプログラムなどの無形物とPCやネットワーク機器などの有形物が混在化したものでもあるため、時には何らかのトラブルや不具合が起きることもあります。そうしたトラブルが起こらないように事前の対策を施して監視したり、万が一トラブルが起きてしまった場合には対応策を講じて発生したトラブルの解決と解消などのメンテナンス全般を行うのがシステムの運用管理です。

運用や管理という言葉の定義が広いため混同されがちですが、システムの「運用」と「保守」は内容が異なります。システム保守は事象が起きたときの対処を中心としたメンテナンス業務が主になっており、どちらかといえば「起きたことに対する対処」が業務の中止です。

それに対して、システム運用管理はシステム全体の安定稼働を実現するために、機器の状態、ネットワークの状態などをチェックし、通常の状態から逸脱した状況に至らないためのメンテナンスを行うことになります。つまり、対処療法が保守で、予防療法が運用管理だと例えることができます。

システム運用管理の最大の目的は1にも2にも「システム全体の安定稼働の実現」です。システムと一口に言っても、世の中には多種多様なシステムが存在します。企業の業務を根幹から支えている基幹システムや、大規模な金融システムなどはダウンしてしまったり不具合が発生することは本来許されません。業務そのものを支えるシステムの場合は、「何か起きてから対処する」ことよりも「そもそも何も起きないように管理する」ことが重要なので、運用管理は必然的に予防がメインの業務になるのです。

システム運用管理とはどんなことをするのか?

システム運用管理とは具体的にどのようなことをするものなのでしょうか?実際に行われる業務内容としては大きく3つに分類することができます。それぞれの役割について簡単にご説明していきましょう。

【1】ネットワークの管理

一般的に「ネットワーク」と聞くとインターネットのことを思い浮かべますが、ビジネスの世界ではネットワークという言葉に様々なシーンを当てはめることができます。

IT系の職場で働いている人であればインターネットの他にも社内ネットワークのことを思い浮かべるでしょう。企業で働くシステム運用管理の担当者からすると「ネットワーク」と聞いてまず思い浮かべるのはこの「社内ネットワーク」のことかもしれません。企業の社内ネットワークは、ある意味ではインターネットよりも重要なネットワークです。社内のあらゆる情報とデータベースにアクセスできるネットワークが構築されていて、業務に必ず必要となるネットワークです。

そのため、この社内ネットワークに問題が起きてしまうと全社の業務に重大な影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。したがって社内ネットワークには基本的に問題が起きてはいけないと考えるのが常識です。重要な顧客データベースや社内の機密情報など、企業にとって最重要とも言える情報にアクセスするために必要な社内ネットワークがダウンしてしまうことは絶対に避けなければいけません。

企業におけるシステム運用管理とは、このような社内ネットワークが正常に動いているかどうかをチェックし、外部からの不正なアクセスや不自然な社内データの動きがないか監視したり、予期せぬ情報漏洩が起きていないかどうかをチェックして、問題が起きないように未然に対策を取っておくことが求められます。

【2】システム全体の管理

「システム」と聞いてまず想像するのはどのようなことでしょうか?ITの世界で「システム」という言葉は様々な事柄を定義することができますが、システムの運用管理に関する話題であれば、この場合のシステムとはサーバーやPCなどの端末、バックアップを含めたデータベースなどを含めた全体のことを表します。

この意味において、システム全体の管理というのは、周辺機器も含めたサーバーやPC端末と、バックアップサーバー、そしてそれらの各種状況や内訳を記録したもの全てのことを意味します。ネットワークを管理することも重要ですが、通信機器や端末、そしてバックアップまで含めてトラブルのない状態を保てるようにすることも非常に重要です。

ネットワークに問題がないことも大前提と言えますが、それ以前にそもそもネットワークに接続するための機器・端末や、ネットワークを経由して参照すべき情報やそのバックアップに問題があっては元も子もありません。その意味で、システム管理というのは、ネットワークの入り口も含めたシステム全体の管理だということになります。

【3】業務運用管理

システムはただ稼働しているわけではなく、それを使う使用者の意図に沿って何らかの目的に合わせて稼働しています。全体として稼働しているのはもちろんのこと、決まった時間にネットワークを巡回してデータを収集したり、定期的にバックアップを取るなどのルーチンが設定されていることもあります。

こうした日常的な作業や業務が滞りなく処理・実行されているかどうかをチェックし、また処理・実行されるようにしていくのが業務運用管理です。

システム運用管理の仕事内容はどんなものなのか?

システム運用管理は大きく分けて「ネットワーク管理」「システム全体の管理」「業務運用管理」の3つに分けられるということをご紹介しました。ここからはもう少し細かく仕事内容を見ていきましょう。

【1】基本的な運用

インターネットに代表されるネットワークへの接続は現代社会では必須であり、すでにインフラとなっています。そのため、ネットワークに接続されていること。そしてその接続状態が常に安定していることは現代では基本的な事項の1つだと考えられています。

特にサーバー周りと言われる、サーバー本体と周辺機器の運用と管理はシステム運用においては最重要項目にもあげられるもので、サーバーが問題なく稼働しているかどうかを監視し、定期バックアップなどのルーチンジョブが問題なく機能しているかどうかをチェックすることが求められます。

【2】バックアップ対応

通常のルーチンジョブと並行して稼働しているのがバックアップです。サーバーに格納されたデータベースを使って稼働する多くのシステムの場合、最も避けなければならないのはデータの消失や損傷です。データベースは一度トラブルが起きると復旧までに多くの時間が必要となり、復旧確認の作業に多大な労力を要します。

そのため、多くの場合は通常稼働しているデータベースをコピーし、別のデータベースを構築することでバックアップを作成・保管することになっています。バックアップは基本的に自動で行われるようにプログラムされ、あらかじめ決められた範囲の時期やデータ量が、設定されたストレージなどに移されることになります。バックアップ対応を担当する場合はこのバックアップルーチンが正常に作動しているかどうかを確認したり、実行されたバックアップの範囲や量が正常かどうかをチェックし、次回以降も同様の処理が正確に行われるかどうかのシミュレーションも担当します。

【3】資産管理

システムというのは、プログラムやそれを構成するソースコードのことだけを言うわけではなく、物理的なものも含まれています。つまり、サーバーやPCなどの端末、ネットワーク接続用の機器、バックアップ用の外部ストレージなど、企業にとっては「資産」として計上されるものも、システムを構成する一部分だと認識されています。

そのため、システムの運用管理を担当する場合は、システムを構成する「資産」扱いの機器などに不具合がないかどうかもチェックする必要がありますし、不具合が起きていてそれを交換する必要がある場合は、交換する機器がどういった種類の機器で、資産価値がどれくらいあるものなのかなど、細かい資産管理台帳にメモを取って管理することも求められます。

【4】備品管理

資産管理と類似する仕事になりますが、備品管理もシステム運用管理担当者の重要な仕事です。サーバー室のラックや、端末で使用するストレージ、ケーブル、複合機で使うトナーやコピー用紙まで含めて、「備品」に分類される消耗品を管理することも重要な業務の一つです。

こうした消耗品などの備品も含めて全てがシステムとして認識されるため、例えばUSB媒体1つとっても、管理情報通りに存在するか?数は合っているか?用紙などの在庫は途切れていないか?などは必ずチェックされることになります。

システム運用管理に必要なスキルとは?

システム全体の基礎部分を支える役割とも言えるシステム運用管理担当者ですが、実際の業務において必要とされるスキルはどのようなものなのでしょうか?

システム運用管理は、確かにシステムエンジニアやネットワークエンジニアのような「技術職」というイメージが強いわけではありませんが、IT関連のシステム全般に関する深く幅広い知識が求められることに変わりはありません。技術職ではないとはいえ、当然のことながらサーバーとネットワークに関する十分な知識が求められます。

トラブルを未然に防ぎ、不測の事態が起きないように備えるためには「あるべき姿」と「不具合が発生した時の事例」双方を理解しておく必要があります。これらの知識は座学を通じた勉強で身につけることもできますが、現場経験を重ねることで、感覚的な経験も積めるのでより一層確実な知識として自分自身に定着させることができます。

サーバーやネットワークの関連技術は日々進化していて、毎月〜毎年の周期で新しい技術や新しい理論、新しい機器が登場しています。より確実で、安定した、強固なネットワーク運用を可能にするための様々な知識や機器が世の中に誕生している状況では、常に新しい物事に対するアンテナを張っておく必要があります。定期的に外部の勉強会に参加したり、各メーカーの発表会に出席するなど、意識を高く持って新たな知識や情報を身に着けていく学習意欲の高さも、システム運用管理担当には必要な素養だと言えるでしょう。

まとめ

ここまで、システム運用管理とはどんなことをするのか?そして実際の仕事内容はどのようなものかということをご紹介してきました。バックアップの対応や資産管理、備品管理など、一見すると裏方仕事のように思われがちな仕事内容がありますが、実はシステムの安定稼働のために欠かせない仕事であることがおわかり頂けたかと思います。今後のIT業界でもますます必要とされるシステム運用管理業務に対する理解を深めて、機会があれば目指してみてはいかがでしょうか。