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  • 人材育成の必須項目。「新入社員研修」

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企業が新入社員向け研修を行う目的とは

新入社員向けの研修を企業が行う目的は、まず第一に「自社の考え方やルールを浸透させる」ことになります。数多くの企業が日本国内に存在しますが、細かい社内ルールや考え方は各社によって様々です。会社の目指す目標や、日々の業務や事業の目的を達成するためには、少なくとも社員の意識や考え方が同じ方向を向いている必要があります。そのためには研修を通じて社員に共通認識を持ってもらう必要があるのです。

ただし、ただ研修を行えばいいというわけではありません。新入社員向け研修を行う上で、大切なことをいくつかご紹介しておきましょう。

研修の詳細を明確化すること

新入社員向け研修のカリキュラムを作成する上で大切なのは、その詳細や目的を明確にしておくことです。ありがちな研修カリキュラムの作成というと、日時や大まかな実施内容を決めるだけに留まりがちですが、それだけは受講者には必要なことが伝わりきらない可能性があります。

新入社員に向けた研修において最大の効果を狙う場合に重要なのは、これから行う研修について「いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうやって?」という「5W1H」の形式で伝えられるようにしておくことです。この形式で伝えることで、受け取る側により具体的な内容を伝えることができますし、告知を受けた側もよりイメージをはっきりさせた状態で研修に臨むことができるようになります。

例えば「4月15日に、本社会議室で、4月1日付入社全員を対象に、社内ルールの勉強会を、配属後の業務円滑化のために、セミナー形式で行う」という告知の仕方であれば、「4月15日に本社で新入社員向け研修を実施する」という告知よりも具体的に研修対象と実施内容を理解した状態で臨むことができます。また、研修を受ける側だけではなく、講師役を務める相手に対してもこの伝え方は有効です。5W1Hの形で研修の目的やカリキュラムの希望を伝えておけば、実施内容と新入社員側の受け取り方にミスマッチがなくなり、すんなりと研修に集中できる効果が期待できるからです。

本配属に必要な能力を明確にする

例えば新卒の新入社員に対して行う研修の場合、その目的の多くは「これから業務を行う上で必要な知識や一般的なスキル、マナーを身につけること」になります。特に新卒者の場合は社会人としてのデビューを迎えることになるため、これまでとは全く違う環境や人間関係に触れていくことになります。正式なビジネスの場にそぐわないマナーや行動を取ってしまわないような知識や、社会人として最低限身につけておくべき一般常識やスキルについての知識を身につけ、今後の正式配属に備えられるようにすることが新卒の新入社員に向けた研修の基本になります。

まだ配属先が未定の新入社員に向けた研修を行う場合、そのカリキュラムは配属予定の部署における部門長や上司となる社員と一緒に内容を決めていくことが理想的です。配属先となる部門でどのような知識やスキルが必要なのか?どのような性格の同僚を必要としているのかという細かい部分は、部署によって異なります。事前に報告書ベースで予想していることがあったとしても、やはり実際に一緒に働くことになる人達の生の声を聞いておくことは重要です。

また、スキルについての研修も同様で、多くの企業では新入社員の配属後は先輩社員と一緒に取引先を訪問したり、コンビを組んで業務を行いながら仕事を覚えていくOJT(On the Job Training)が行われます。OJTで行う予定の業務内容と、新入社員研修で行う内容が全くマッチしていなかったり、あるいは重複してしまったりしている場合は研修内容と配属されてから行う業務にズレが生じてしまったり、二度手間になってしまう可能性もあるため、新入社員研修がどのようなカリキュラムで進むのか?配属後に想定されているOJTの内容や業務の内容がどのようなものかということは、しっかりすり合わせておくことが必要です。

新しい人材の獲得は企業にとっては絶対不可欠なもので、組織としても人材の循環が行われないと全体が硬直化してしまい、柔軟な動きが取れなくなってしまいます。その意味では新入社員の研修内容や実際の育成手法は会社としてカリキュラムの作成に取り組まなければならない課題であると言えるでしょう。新入社員研修のカリキュラムを、人事・総務系部門と現場が一緒に考えられるようであれば、新入社員が正式に配属された後もスムーズに現場の戦力になることが容易になります。

新人研修のカリキュラム内容

就職してから時間が経っていたり、人事や総務系の業務とは離れたところで仕事をしている場合は新入社員研修のカリキュラムがどのようになっているのかはわからない場合もあるでしょう。ここではよくある新入社員研修のカリキュラムについていくつかご紹介していきます。

OAスキル

最近は「OA」という言葉もあまり使われなくなりつつありますが、一昔前には手作業で行われていた文書作成や計算書作成などをツールやアプリケーションを使って行う作業のことをOA作業と呼んだ時代がありました。つまり、今で言うとWordやExcel、PowerPointといったMicrosoft Office系のアプリケーションを使えることを「OAスキル」と呼んでいたのです。

実は知らないという方もいらっしゃいますが、会社の業務においてこうしたOffice系アプリケーションのスキルはほぼ必須と言っても良いものです。報告書、提案書、経理業務、そしてマーケティング業務から広報系業務に至るまで、ありとあらゆる業務でOffice系アプリケーションを使う機会がたくさんあります。以前はこのような業務に使われるのはMicrosoft Officeと相場が決まっていましたが、ここ最近では業務に使うPCがMacになったり、リモートワークの導入に伴いクラウドで使用でき共同編集も可能なGoogle系アプリケーションの利用を選択する企業も増えています。必ずしも1種類のアプリケーションだけが使えれば良いというわけでもないため、こうしたOffice系アプリケーションに関する知識や経験は担当業務によって異なっているのが現状です。したがって、業務で使う可能性があるツールについては配属前に研修を行い、通常業務に就いた後に問題ないようにしておくことが求められています。

ビジネスマナー・電話応対

特に新卒の新入社員の場合、4月入社だとするとつい数週間前までは大学生だった方が多いというのが現実です。もちろん、大学生の間に様々なアルバイトなどを通じて社会経験を積んでいる方も多くいらっしゃいますが、その一方で「企業での経験」が少ない、あるいは全く無い方も数多くいらっしゃいます。

学生のうちは気が付かなかったり、「学生だから」と指摘を受けなかったりしたようなビジネスマナーは意外と多くあり、社会人として働く上では必要になる知識を学んでおく必要があります。様々な意見はあるものの「了解しました」と「承知しました」の使い分けであったり、「ご苦労さま」と「お疲れさま」の違い。「社内の人を社外の人に紹介する際は社内敬称は省略する」など、社会人経験があれば当たり前に身についている様々な習慣は、新入社員のうちは身についていないことも多いものです。

一般的なビジネスマナーの他には、電話応対の研修も近年では見直されています。携帯電話の普及率が上がり、若年代から「自分専用の情報端末」を持っていることが当たり前になっていますので、現代では「知らない相手に電話をかける」「面識のない人から自分宛てではない電話がかかってくる」という経験をする機会が減少しています。そのため、以前であれば一般常識化していた電話応対における言葉遣いや作法についても知らない方が増えているのです。

ビジネスの場においては、普段円滑なコミュニケーションができているとはいえ、会社対会社の付き合いであり利害関係や儀礼の共有によって成立している関係です。もし仮に失礼な応対や、不遜な態度を取ってしまったら相手を不快にさせ、場合によっては取引の打ち切りや重大なクレームに発展してしまうことも無いとは言えません。そのため、本配属前にしっかりとしたビジネスマナーや電話応対に関する研修を行っておくことが求められています。

コミュニケーション

ビジネスマナーや電話応対も含まれますが、コミュニケーション全般に関する研修も必要不可欠だと言えるでしょう。コミュニケーションスキルは「人に伝えるスキル」であると同時に「人の言葉を理解するスキル」でもあります。自分がわかっていても、自分がわかっていることを相手に正確に伝えるためには適切な伝え方が必要とされます。逆もまた然りで、相手が「こう言いたいのだろう」と理解するためには、様々な背景や過去の経緯なども含めて理解しておくことが必要な場合があります。

コミュニケーションスキルという概念の難しいところは、ただ単に会話や言葉のやり取りだけに留まらない点です。言葉遣いが正しければいいというわけではなく、相手の負担にならないタイミングで情報や状況を共有したり、相手が何かを伝えたい時には相手が伝えたいことを正確に表現できるように手伝うことも必要です。円滑な人間関係を築き、その人間関係に基づいた情報共有を行うことも広い意味でコミュニケーションであり、多方面に及ぶ他社との関係性構築スキルがコミュニケーションスキルだということになります。

意思疎通を行うにしても、現代は電話やメールに加えてスマホのメッセージアプリやチャットツールも組み合わせて使われることが増えています。誰とどのような内容のやり取りを、どこまで共有化するかという判断も含めてのコミュニケーション能力が求められる時代になっていると言えるでしょう。

ロジカルシンキング

「ロジカルシンキング」というキーワードも最近流行しているものの1つです。いわゆる「論理的思考」のことで、業務においては例えば「誰が、いつ、何を、なぜ」やるのか、ということを明確にしたりする際に必要とされる考え方です。これは社内においても社外向けにも使える考え方で、社内で新しい取り組みを行う際や、同僚に業務の依頼を行う際に有効な考え方です。社外向けではクライアントに自社の製品やサービスを売り込み、提案する際に論理的な説明ができれば、相手は納得し自社の製品やサービスを選択する理由付けをしやすくなります。

自分の主張や希望を通すためには、逆の立場になって考えてみると「相手の主張や希望を、自分が受け入れるべき明確で合理的な理由」が必要です。「どうしたら自分の希望を聞いてもらえるか」「なぜ自分の主張が受け入れてもらえないのか」というポジティブなものもネガティブなものも含めて、論理立てて考えられるようになれば、より円滑に業務を進めていくことができるようになるでしょう。

コンプライアンス

直近の10年で最も重要度が増していると考えられているのがコンプライアンスに関する考え方です。コンプライアンスとは「法令遵守」のことで、端的に言えば「法律に基づいて正しく業務を行いましょう」という取り組みのことです。収賄や談合、独占や寡占など、ビジネスを行う上で法律上禁止されていることは数多くあり、それらの禁止行為は放置しておくと企業間の公平性や平等性が著しく失われてしまうことが禁止されている大きな理由の1つです。

公平で平等なルールに基づいて各企業がそれぞれのアイディアに基づいてビジネスを行うことで市場の透明性が確保され、消費者や顧客にとっても安心な製品・サービスが提供されるという前提に基づいて法令は定められています。もし法令に違反した行為を行ってしまうと法律上の罰則を受けるばかりか、市場や顧客からの信頼を失うことになり、取引先からの信用も無くしてしまいます。取引が縮小したり、顧客からの支持を失ってしまえば事業が維持できなくなり倒産してしまうこともあり得ます。

そのような事態を避けるためには、社員それぞれがコンプライアンスに関する正しい知識を身につけておき、常にコンプライアンスを意識して業務を行うことができるように意識づけしておくことが必要です。すでに業務に従事している社員にも当然必要ですが、新入社員向けのコンプライアンス研修は特に重要なものだと考えられています。

新入社員研修カリキュラムを作成する際のポイント

新入社員向けの研修カリキュラムを整備するのは重要ですが、その際に注意すべきポイントをいくつかご紹介します。

アウトプットの場を用意する

どのような種類の研修でも、多くの場合は多人数で行うことが一般的になり、その結果として座学が多くなることは避けようがありません。もちろん座学も必要ですが、学んだことを実践する場も必要になります。場合によっては「ロールプレイング」という形式で、お互いに役割を決めて学んだ内容を実践する場を持つことが重要です。

研修内容は必要なものだけに絞る

新入社員向けとされている研修カリキュラムは多岐に渡っており、本当に様々な種類の研修カリキュラムが世の中には溢れています。しかし、全て行うことができたとしても、それら全ての内容を身につけられるとは限りません。また、全ての研修カリキュラムが本当に必要かどうかは配属先によって異なりますし、自社の業務に合致したものかどうかもよく検討しておく必要があります。世の中で流行っているから実施するのではなく、研修の内容や目的を良く吟味し、自社の業務や配属先の業務に役に立つと思われる研修のみに集中して実施するのがより良い結果に結びつくことになるでしょう。

現場の管理職を巻き込む

研修は「現場の業務で活かすため」に行うものです。研修を実施することは目的ではなく、あくまでも手段の1つでしかないので、研修が終わった後は実際の現場で新入社員を預かることになる管理職や同僚社員と情報を共有し、現場からのフィードバックを受けることも大切です。新入社員研修は、決して新入社員のためだけに行われるものではなく、現場のためにだけ行われるものではありません。入社してきた社員が自社の業務に貢献し、会社全体の利益に貢献できるようになるために実施されるものなので、関連する部門や管理職と連携して情報共有できることがベストです。

まとめ

ここまで、新入社員向け研修とはどのようなものか?どんなカリキュラムがあり、どのような内容が求められているのかについて解説してきました。企業の成長や業務の円滑な遂行には社員の成長が欠かせません。自社にとって必要な資質や能力を持った社員になってもらうためにはしっかりとした研修が必要になります。必要なカリキュラムを用意し、現場と連携できる研修カリキュラムを作って社内の教育体制を充実させていきましょう。

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