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個人事業主の平均年収はどれくらいでしょうか?また、個人事業主が税金対策を行うためにはどのような控除が受けられるのか。どうすればもっと平均年収を上げられるのか?今回はそういった、個人事業主が理解しておくべき年収について解説していきます。

世の中の個人事業主の平均年収はどれくらい?

国税庁が令和2年3月に発表した「平成30年分申告所得税標本調査結果」によると、国内の個人事業主の平均所得額は417万円であることが分かりました。この平均所得額はどのように算出されるのか?サラリーマンと比較してどうなのか?詳しく見ていきましょう。

個人事業主の平均年収の算出方法

個人事業主の平均年収は「所得」という言葉で表されます。では、その所得はどのように計算されるのでしょうか?年収が1,000万円だった個人事業主の所得はこのように計算できます。

売上(年収)1,000万円-経費583万円=所得417万円

このように、年収から経費を引いた金額が、個人事業主の「所得」になります。ここでは、所得=平均年収という言葉で統一して表しますのでご了承ください。
全国平均の「417万円」が個人事業主の平均年収という事は、さらに高い年収の人もいればさらに低い年収の人もいるという事です。調査によると100万円以上200万円以下が44万人、300万円以上500万円以下が37万人、200万円以上300万円以下が36万人、100万円以下の層が18万人という結果になっています。

個人事業主の平均年収は上がっている?

個人事業主の平均年収は平成28年で410万円、平成29年で414万円、平成30年417万円となっていて、年々増額傾向にあるといえるでしょう。これは、フリーランスとして独立する方が増えていることや、単価の高い仕事を請け負うフリーランスが微増していることが関係しているからだと言えます。

個人事業主が収める税金の平均額は?

個人事業主は税金の納め方もサラリーマンとは異なります。どのような計算方法になるのでしょうか?簡単にご説明していきます。

個人事業主の税金の算出方法

個人事業主が収めている平成30年の平均税額は49万円です。所得税は「累進課税」で計算されます。平均年収が高い個人事業主の方が多く課税され、年収が低い個人事業主の方が課税率は低いのです。

・所得100万円以下→ 平均納税額8,300円
・所得100万円以上200万円以下→ 平均納税額31,300円
・所得200万円以上300万円以下→ 平均納税額66,900円
・所得300万円以上500万円以下→ 平均納税額142,400円
・所得500万円以上1000万円以下→ 平均納税額533,300円

上記の様に、所得金額が高い方が多くの所得税を課せられます。課税対象の所得額は以下の様に計算されます。

課税対象所得=収入(売上)-経費-控除

実際にはもっと複雑な計算になっていますが、簡易的に表記するとこのような数式です。この「控除」というところがポイントで、個人事業主もあらゆる控除を使い節税を行うことが出来るのです。

個人事業主が使える控除について

個人事業主が使える控除には、どのようなものがあるのでしょうか?簡単にご説明していきます。

①基礎控除

一つ目の控除は、「基礎控除」です。こちらは全ての個人事業主が一律に受けることが出来る控除で、現行の制度では年収2,400万円以下の個人事業主は「38万円」ですが、令和2年度より「48万円」に変更になります。

②社会保険料控除

個人事業主は社会保険料の控除を受けることが出来ます。個人事業主が加盟している健康保険は、国民健康保険です。一世帯分すべての国民健康保険料を年収から控除を受けることが出来ます。

③青色申告特別控除

個人事業主は確定申告の際に「青色申告」を行えば、65万円の所得控除を受けることが可能です。サラリーマンには無い所得控除の仕組みなので、この部分では個人事業主には大きなメリットがあります。青色申告にすると仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳などの帳簿を記録し、複式簿記で帳簿処理を行っていかなければいけませんが、今は自動で計算してくれるソフトも充実しているため、個人事業主になった場合は青色申告にするほうがメリットは大きいでしょう。ちなみに、白色申告にしてしまうと10万円の所得控除しか受けることが出来ません。

令和2年からは、青色申告の特別控除額が「55万円」に引き下げられますが、「e-Tax」による電子申請、もしくは電子帳簿保存を行えば引き続き65万円の特別控除を受けることが可能です。基礎控除額も10万円増えているので、「e-Tax」による電子申請を行えれば、実質10万円分控除額が増えることになるので、メリットが増えると言えるでしょう。

個人事業主の業種による平均年収の違い

個人事業主として独立する方には様々な業種があります。この業種によってかなり平均年収は変わって来るでしょう。ここでは、大まかな業種別による平均年収を挙げてみました。

・フリーランスエンジニア→ 696万円~864万円
・デザイナー→ 350万円~450万円
・イラストレーター→ 300~500万円
・ライター→ 300万円~400万円
・医者→ 1,000万円以上

これ以外にも様々な業種で個人事業主は存在しますので、いくらぐらいが相場なのかはなかなか分かりませんが、今人気な個人事業主の平均年収の相場は以上になります。取り扱う業種でかなりの差が出るようです。

個人事業主が平均年収を上げる方法

個人事業主になってあなたが年収を上げていくにはどのような方法があるのでしょうか?具体的な事例を挙げてみたのでご覧ください。

①売上単価を上げる

個人事業主になって平均年収を上げていくには、請け負う仕事の単価を上げていく必要があります。複数人のチームで請け負う法人とは違い、一匹狼の状態の個人事業主は、とにかく単価を上げていかなければ平均年収は上がらないでしょう。

常にアンテナを張って、より好条件の取引先と取引をし、単価を1円でも高くしていく必要があります。あるいは、今請け負っている取引先との交渉で単価を高めていく方法もあります。同じ時間内でより効率的に売上を上げる方法を考えていきましょう。

②稼働率を高める

個人事業主になって平均年収を上げる方法の一つに、「稼働率を上げる」という物があります。つまり、休む時間を減らしてどんどん売上に繋げていくスタイルです。個人事業主はサラリーマンと違って、収入に上限がありません。サラリーマンの場合だと、会社で決められている金額の給与を受け取る事しか出来ません。しかし、個人事業主の場合は、仕事をする時間を増やせば増やした分だけ、売上に繋がります。売上が青天井なのが個人事業主の魅力の一つです。

③コストを下げる

個人事業主になって年収を高めようと思うと、「コストカット」をして、所得を増やすという考え方もあります。よりよい条件の物件を借り、家賃などの固定費を減らしていく考え方や、より良い条件の仕入れ先から商品を仕入れて、利益率を上げていく考え方など売上はそのままでも、コストを少しでもカットすることで、手元に残る所得を増やしていけるのも、個人事業主のメリットになるでしょう。

④営業力を上げる

個人事業主が年収を上げるには、「営業力を身につけ、よりよいクライアントを見つけ出す」ということも必要です。営業力を上げるというと、「自分の強みをもっと打ち出す」「ライバルには無い自分だけの魅力を伝える」「頻繁にイベントなどに参加して、横のつながりを作っておく」などの方法が挙げられます。

また、営業をかけておいて連絡があったらすぐに駆け付けていくフットワークの軽さも個人事業主として信頼を得る一つの方法だと言えるでしょう。

⑤各種勉強会などでスキルアップ

個人事業主には常に勉強をすることが求められます。世の中は日々進化し新しい物へと移り変わっています。その中で自分の価値を十分に発揮するには、新しいスキルを身につけていくことが必要となってきます。1日の稼働時間を少しでも抑え、新しいビジネススキルを身につけるための努力をしましょう。

プログラマーであれば、新しいプログラム言語やフレームワークに触れてみる。イラストレーターやライターであれば、常に新しい情報に触れる癖を付ける。このように様々なことを勉強する機会はいくらでもあります。また、フリーランス向けに勉強会やセミナーも各地で開催されているので、そういったイベントを活用するのもスキルアップをする為の方法です。各種イベントに参加することで、新たな人脈形成に繋がり、年収アップのきっかけになるかもしれません。

⑥スキルアップを活かして敢えて営業をセーブする

個人事業主として年収を上げる方法には、「敢えて営業に行くことを控える」という考え方もあります。前述したようなスキルアップを行い、あなたの作業能力を高め、現在のクライアントに値上げ交渉をする事例です。営業に行けばあなたが出来る作業量は減っていきます。

そのクライアントが必ず値上げ交渉に応じてくれるとは限らないため、時間だけを浪費してしまっていると考える事も出来るでしょう。その為、その無駄な時間を減らしていくという観点から、営業をする時間を敢えてセーブするという方法も平均年収を上げていく一つの方法になります。

まとめ

というわけで、今回は「個人事業主の平均年収」や、その年収にかかる税金、税金の簡単な算出方法、業種によっての平均年収の違い、今の平均年収を上げる方法までを具体的にご紹介してきました。個人事業主の年収は青天井です。努力すればした分だけ年収も比例して上がっていくのが、個人事業主の魅力と言えるでしょう。ただ、個人事業主にはサラリーマンと違い厚生年金はありません。老後の貯えを作る為にも、日々年収を上げていく努力は求められるでしょう。