支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡


プロジェクトマネージャーの年収について

「プロジェクトマネージャー」とは、あるプロジェクトを単位としてそれを監督する統括責任者のことです。 1つのICTシステム開発プロジェクトを各工程に分解してそれらの期限を設定し、予算を立て人員を編成し、リスクをマネジメントしながら進捗を管理する役職です。 これらに留まらず、クライアントに対して報告や交渉などを行うこともありますね。

そのためプロジェクトマネージャーはかなりの重責を果たすことが求められています。 その年収はいくらぐらいなのかが気になりますね。

プロジェクトマネージャーの年収は1,000万円を超えることも

経済産業省の平成29年度における統計によると、年収の平均額は891.5万円に達します。 最低でも年収500万円前後、最高だと年収1,000万円超です。 ICT従事者全体の平均年収は約450万円であるのに比べると、プロジェクトマネージャーの報酬相場は高いと言えます。

もちろんプロジェクトマネージャーの年収も、所属企業や統括プロジェクトの規模、実績に依存しますね。 管理能力に長けて成功裏に収める期待度の高い人材は年収が上がります。

これからは十分な実績を積んでからフリーランスのプロジェクトマネージャーとして独立し「プロジェクト成功請負人」として活動すればサラリーマンとして勤務するよりも高額の年収を得られるでしょう。

プロジェクトマネージャーと似た役職と年収

プロジェクトマネージャーの年収が高いことは理解していただけたかと思いますが、似ている名前の役職が二つあります。

・プロダクトマネージャー

・プロジェクトリーダー

それぞれの違いと年収を確認してみましょう。

プロジェクトマネージャーとプロダクトマネージャーの違い

「プロダクトマネージャー」は、特定の商品やサービスを意味する「プロダクト」を単位として、その設計開発、マーケティング、セールス、CRM、損益管理に責任を負います。

プロジェクトマネージャーとは管理する対象が異なりますが、共通点として業務活動を成功させるためチームを統括する立場にあるところが挙げられます。

年収は約350万〜400万円と、プロジェクトマネージャーとは大きな違いがありますね。 プロジェクトマネージャーは開発全体、プロダクトマネージャーは商品個別と管理するものの大きさが影響しています。

プロジェクトマネージャーとプロジェクトリーダーの違い

「プロジェクトリーダー」は、プロジェクト遂行の一端を担う各現場単位での責任者です。 プロジェクトマネージャーの配下に属して各現場のタスクの進捗を管理したりスタッフを統率したりしながら、自ら担当した業務にあたります。

プロジェクトマネージャーとの違いは、管理責任の範囲が狭く実際の作業を行うことですが、どちらも同一プロジェクトに属している役職である、という意味で共通していますね。

プロジェクトリーダーの年収は470万〜700万円ほどです。 こちらもスタッフだけの管理か、開発工程すべての管理かという部分が大きく影響しています。

プロジェクトマネージャーの仕事内容を紹介

プロジェクトマネージャーの年収の高さと、作業の重要性を押さえたところで、その仕事内容を詳しくご紹介しましょう。

開発作業計画の策定

まず着手するのが開発作業計画の立案です。 ここは詳しく見ておきましょう。

プロジェクト完了までのプロセスを、仕様の決定、ソフトウェア設計、デバッグ、テスト、ハードウェア設置などといったように分解し時系列に並べ、各々の期間と人員数を算出します。

この段階で肝となるのが「要件定義」と「基本設計」「詳細設計」を詰めておくことです。

要件定義

クライアントからのヒアリングや現行システムの仕様書の精査などにより、現行の業務やICTシステムとが抱える問題点を洗い出します。 また課題を設定した上で、具体的解決策としてWhat(どんなシステムを構築するか)とHow(どうやってそのシステムを実装するか)を明確に定義します。

クライアントに説明してプロジェクトの全体像を掴んでもらうのが必要です。

基本設計

ここは要件定義を直に受けて、システム方式設計・業務設計・アプリケーション方式設計から成ります。

システム方式設計は、システムを構成するハードウェア・ソフトウェアを制御して連携させるための設計。 業務設計は、クライアントの業務プロセスに対応する画面遷移を定めるなどして、新規システムの導入による業務プロセスを設計すること。 アプリケーション方式設計は、ソフトウェアアプリケーションの性能、セキュリティ、拡張性を設計することです。

詳細設計

詳細設計ではシステム方式設計、業務設計、アプリケーション方式設計毎にシステムのクオリティを高めていくために実装手法を定め、システムを作り込んでいく手続を設計します。 各種テストのシナリオもここで用意し、その遂行手順、合否の判定基準も決定しておくのが必要です。

また予算の編成や期限の設定を行ってプロジェクトの制約条件を明確にし、諸々のリスクを想定して回避策も練っておかねばなりません。

プロジェクト編成・管理

プロジェクト編成では、開発環境の整備と人員の配置を計画します。 適所に人材をアサインし、外部ベンダー等に委託する場合は交渉の席につくのもプロジェクトマネージャーです。

プロジェクトが走り出すと全体を俯瞰して各所に目配りし進捗を管理します。 現場を指導したりボトルネックを発見して解消するための手を打ったりするのがプロジェクト進行中の業務です。 途中で仕様が変更した場合は、クライアント側と開発現場側の間に入り調整にあたらなければなりません。

レビュー

プロジェクトが完了すると、プロジェクトマネージャーは一連の流れを振り返り、評価できる点、改善点、障害発生時の対処などをドキュメントに明記して残します。

身につけておきたい技術

プロジェクトマネージャーは監督業に徹し、現場のタスクは各担当者が遂行すべきです。 しかし予算を立て期限を設けて計画を立て、リスクをマネジメントし、発生する問題を解決していくには、現場の熟知に基づくいくつかの技術を体得しておくのが必要になります。

管理能力

プロジェクトマネージャーが管理する対象は、予算・進捗・組織・リスクといったように様々な分野にまたがります。 全体を俯瞰して調和させ管理する能力は必須です。

判断力

仕様設計の策定、障害対応への指示、クライアントとの交渉にはプロジェクトマネージャー自身の判断を伴います。 過去にはプロジェクトマネージャーがひとつ判断を誤ったばかりに失敗に終わったプロジェクトもありました。

重大な局面では冷徹な判断が必要です。

対人折衝能力

プロジェクトを円滑に推進するために、クライアントやプロジェクトリーダー、スタッフと密にコミュニケーションを取ることが求められます。 プロジェクトチームをまとめ上げるためにリーダーシップを発揮するだけでなく、配下のリーダー、スタッフの相談に乗ることも必要でしょう。

プロジェクトの立ち上げ時、進行時のクライアントとの打ち合わせや交渉に臨むシーンでは不満を持たせない、あるいは不満を和らげる折衝力も要求されます。

ICTに関する業界知識・スキル

ICT業界の作法やツールとなるシステムエンジニアリングの知識・技術の使い方も熟知していなければなりません。 クライアントの背景を理解するためにその業界の知識も必要になりますね。

技術には、現場で用いるものの他に管理のためのものもあります。

プロジェクトマネージャーになるには

必要な技術が分かったところで、どのようなキャリアパスを経ればプロジェクトマネージャーになれるのか、見てみましょう。

必要な資格を取得する

まずはプロジェクトマネージャーにマッチした下記3つの資格取得の勉強に励むのをすすめます。

・プロジェクトマネージャー試験

・ITストラテジスト試験

・応用技術者試験

3つとも経済産業省が所管する独立行政法人である情報処理推進機構が実施する試験です。 昇格や昇給の要件としている企業もあり、勤務先ではどうなっているのかについて確認しておきましょう。

他にPMI(Project Management Institute)本部が認定する「PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)」という国際資格の試験に合格するのも一手です。

以上4つの資格について順にご紹介します。

プロジェクトマネージャー試験

プロジェクトマネージャー試験の内容は、以下です。

・組織戦略

・システム開発

・計画策定

・リソース管理

・リスク管理

・プロジェクトの分析評価

などについて多肢選択式、記述論述式で解答するものです。 合格すればプロジェクト遂行の技法を理解し実践できることを証明できます。

ITストラテジスト試験

ITストラテジスト試験の内容は、以下です。

・事業分析

・ICT環境分析

・ビジネスモデル構築

・システム戦略の企画、推進、評価

などについて多肢選択式、記述論述式で解答するものです。 合格すればICTをフル活用して、事業展開するための作戦を立てる参謀としての能力を証明できます。

応用情報技術者試験

プロジェクトマネージャー試験・ITストラテジスト試験への登竜門としての位置づけです。試験の内容は、以下です。

・ICT戦略の策定提案

・システムの設計開発運用

などについて多肢選択式、記述式で問われます。 この試験の受験前に基本情報技術者試験に合格しておくのも有りです。

PMP試験

PMP試験は、PMIが定めたPMBOK(Project Management Body of Knowledge)ガイドに依拠して実施され、プロジェクトマネジメントに関する経験・知識を問いプロフェッショナルとしての資格を認定します。

PMP資格はプロジェクトマネジメントに関する資格のデファクトスタンダードとして広く認知されており、プロジェクトマネジメントスキルの評価基準として、ITをはじめ多くの業界から注目されていますよ。

身に付けた知識を整理し今後のプロジェクトマネジメントに活かすため、こちらを目指しても良いでしょう。

転職方法

実務経験に加え上記の資格試験に合格していれば、プロジェクトマネージャーに転職できる可能性が高まります。 信頼できる転職エージェントを見つけて、積み重ねてきたキャリアと今後の志向にマッチした求人を紹介してもらいましょう。

応募するプロジェクトマネージャーのポジションでどのように活かせるか、それまでの実績を具体的に語れるようにしておかなければなりません。

プロジェクトマネージャーに将来性はある?

何らかのICTプロジェクトがいつでもどこかで進行しており、そこにはプロジェクトマネージャーが付随します。 人工知能が普及したとしてもそれはプロジェクトマネージャー自身が判断を下す際に補佐する役割にとどまるでしょう。 今後もプロジェクトをマネジメントできる優秀な人材ほど需要は高まると推測できます。

価値は高い

プロジェクトを成功に収束させる、期待度の高く優秀なプロジェクトマネージャーほど人材としての価値は上がります。 また人工知能やデジタルトランスフォーメーションを開発するプロジェクトを主導できるプロジェクトマネージャーは、今後需要が旺盛になるにつれて希少価値も高まるでしょう。

未経験からでもなれるのか?

プロジェクトマネージャーに全くの未経験から就任するのは、困難であるのはお分かりかと思います。 ここまで読んできていただいたように、プロジェクトに参画して実務経験を積みながらマネジメントの知識・技術を練磨していくのが、プロジェクトマネージャーになるための最適ルートです。

難しいが、目指す価値のある仕事

プロジェクトマネージャーの仕事は非常に高度ですが、仕事内容に見合う高額な年収も得られます。 プロジェクトを成功に導いた達成感は何ものにも代えがたく、人生に良い意味での「刻み」をつけていくこともできますね。

ICT業界人であれば、これから目指す価値が大いにある仕事です。