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組織に所属しない自由な働き方を実現できるフリーランスへの注目が高まっています。なかでも、自身の能力・スキルによって大幅な年収アップも期待できるITエンジニアは、フリーランスへの関心がもっとも高い職種だといえるかもしれません。慢性的にエンジニアが不足している一方、案件はますます増加する傾向にあるため、フリーランスへの転身を検討している方も多いでしょう。

しかし、客先常駐という働き方の多いITエンジニアは、フリーランスのメリットである「自由な働き方」を活かしにくいのも事実です。必然的に、フリーランスとして成功するには、居住するエリアごとに異なるIT市場へ対応がカギになります。自身の経験やスキルで独立しても大丈夫なのか?居住エリアのIT市場が気になるエンジニアの方も多いのではないでしょうか?そこで本記事では、日本の三大都市である名古屋を含む愛知県に焦点をあわせ、フリーランスエンジニア求人市場の傾向や課題を紹介するとともに、その対策を解説していきます。

三大都市名古屋を擁する愛知県

ほぼ日本列島の中心に位置する愛知県は、全国4位の人口、全国5位の人口密度を持つ、中部地方を代表する県です。日本の三大都市に数えられる名古屋市を含む尾張地方、その東に位置する豊田市・岡崎市を含む西三河地方、さらに東の豊橋市・新城市を含む東三河地方という3つの地方に分類されており、隣接するのは長野・岐阜・静岡・三重の各県。人口の7割は名古屋市を含む尾張地方に集中しており、尾張地方南の知多半島を知多地方と呼ぶ場合もあります。東海道・名神道・中央道の起点でもある愛知県は、名古屋港・中部国際空港セントレアとあわせ、陸路・海路・空路の要衝としての役割も担っているのが特徴です。

愛知県の中心産業は製造業

陸路・海路・空路の要衝として絶好の立地を持つ愛知県は、その物流面でのメリットを活かすべく、さまざまな製造メーカーが進出してきた歴史を持つことでも知られています。名古屋を中心とした愛知県が「モノづくりの街」といわれる由縁ですが、その中核を成す存在といえるのが豊田市に本社を構えるトヨタ自動車です。現地生産へとシフトが進んだ現代では数が減ったとはいえ、輸出を含めたトヨタの海外躍進を支えるのに、今でも名古屋港が大きな役割を果たしているといえるでしょう。

現在でも岐阜・三重県を含む愛知県全域にトヨタの関連会社・工場が多数存在するほか、セントレアをベースに日本発の商用ジェット旅客機生産を目指す三菱航空機、リンナイ、パロマ、INAXなどが愛知県に本社を構えているのです。

名古屋市のフリーランス案件例

それでは、交通の要衝で製造業が盛んという特徴を持つ愛知県では、フリーランスとして活躍していけるほどの開発案件市場が形成されているのでしょうか?まずは名古屋近郊に在住するエンジニアの方がイメージを描きやすいように、公開されている名古屋市のフリーランス案件情報をいくつか紹介します。

倉庫管理システム開発のC#エンジニア求人
・必須要件:C#を使ったシステム開発経験5年以上
・歓迎要件:顧客と積極的にコミュニケーションの取れる方
・待遇:PL、PG、月/65〜70万円(名古屋市伏見・丸の内エリア)

自動車会社向け業務システム開発のC#エンジニア求人
・必須要件:C#を使ったシステム開発経験5年以上
・歓迎要件:上流工程・下流工程どちらも対応できる方
・待遇:PL、PG、月/70〜75万円(名古屋市伏見・丸の内エリア)

インフラ基盤構築のPMO求人
・必須要件:PMOの経験5年以上、インフラの幅広い知識
・歓迎要件:調査・企画・提案・プロジェクト管理能力
・待遇:PMO、月/75〜85万円

名古屋市以外の愛知県フリーランス案件例

愛知県で人口がもっとも集中しているのは名古屋市です。しかし西三河地方、東三河地方に在住するエンジニアの方であれば、名古屋市の案件に参画するのでは通勤時間が大きな負担になります。名古屋市以外に在住するエンジニアでも、フリーランスとして活躍していけるほどの開発案件市場が形成されているのか?公開されている名古屋市以外の愛知県フリーランス案件情報をいくつか紹介します。

仕様書管理システム開発のJavaエンジニア求人
・必須要件:Javaを使ったシステム開発経験3年以上
・歓迎要件:VC++、JavaScript(JQuery)の経験
・待遇:PL、PG、月/60〜65万円(愛知県豊田市)

ロボット生産指示システム改修のVB.NETエンジニア求人
・必須要件:VB.NET、C#を使ったシステム開発経験5年以上、基本設計の経験
・歓迎要件:コミュニケーションスキルに優れた方
・待遇:PL、PG、月/65〜70万円(愛知県日進市)

自動車ECU仕様書管理システム開発のJava / C++エンジニア求人
・必須要件:Java、C++を使ったシステム開発経験
・歓迎要件:基本設計からテストまでを担当できる方
・待遇:PL、PG、月/65〜70万円(愛知県豊川市)

愛知県のフリーランスエンジニア事情

名古屋市とそれ以外に分類したうえで、比較的愛知県のIT市況を代表するといえそうなフリーランス案件を紹介してみました。もちろん、時期によって案件の傾向は変動するものではありますが、紹介した案件例から愛知県のフリーランスエンジニア事情ともいえる特徴が読み取れます。具体的に解説していきましょう。

業務システム開発案件が中心

公開されている愛知県のフリーランス案件は、業務系システム開発が中心であることがわかります。これは、製造業が盛んなモノづくりの街である愛知県を象徴する特徴だといえるでしょう。必須要件とされるスキルも、C++ / C#などのC系言語、Java、COBOL、VB.NETなどのオーソドックスなものが多く、Go / Rなどの稀少言語が要求されることはほとんどありません。比較的長めの実務経験を求める案件も多く、セキュリティや安定性が求められる傾向にあります。

インフラ構築案件にオンプレミスが多いのも、業務システム中心の愛知県ならではの特徴といえるかもしれません。それを象徴するように、iOS / Androidもゲームというよりは業務アプリ開発が中心であり、案件数自体はそれほど多くない傾向にあるようです。

客先常駐案件が中心

東京を中心に、徐々にリモート案件も増えてきているのが現状ですが、愛知県のフリーランス案件は依然として客先常駐が基本になるようです。これは、コンプライアンス・セキュリティ面で厳格な業務システム開発が多いことと関連しているといえるでしょう。そのため、フレックスタイムなどの柔軟な働き方を導入する現場は少ないといわれており、エンジニアの居住エリアによっては通勤に時間がかかる、ラッシュに巻き込まれるなど、会社員と変わらない働き方を強いられることもあります。

開発案件は名古屋市に集中

上述した愛知県のフリーランス案件例は、地方都市に強みを持つエージェントAの公開案件をピックアップしたものですが、名古屋市内の案件数が59件であったのに対し、名古屋市以外の愛知県案件は17件でした。首都圏に強いエージェントBでも、名古屋市内44件に対する名古屋以外が8件となっており、愛知県の開発案件は名古屋市内に集中していることがわかります。これは、名古屋市を含む尾張地方が、愛知県の人口7割をカバーすることからも納得できる結果ではありますが、人口比以上に案件が集中する傾向にあるのは、首都圏に案件が集まりやすいIT業界ならでは特徴といえるかもしれません。

東京と比較した愛知のフリーランス案件数

それでは、開発案件が集中するといわれる東京と比べた場合、愛知県にはフリーランスとして充分にやって行けるほどの案件が存在するのでしょうか?上述したエージェントAのケースでは、東京都の案件数が62件であったのに対し、愛知県の案件数は76件でした。これだけを見れば愛知県にも充分なフリーランス案件があるように思えますが、エージェントBのケースでは、東京都の案件数が約3,000件であるのに対し、愛知県の案件数はわずか52件です。

一般的に愛知県のフリーランス案件数は、東京の約1/5〜1/10程度だといわれており、絶対数自体は多くないことがわかります。ただし、東京以上に愛知県のエンジニア数が不足しているといわれているのも事実です。スキルの高いエンジニアであれば、条件に応じて選べる程度の案件数は確保されているといえるでしょう。

東京と比較した愛知のフリーランス報酬相場

システム開発案件はどうしても東京への一極集中が進みやすく、必然的にフリーランス案件の報酬相場も東京がもっとも高額になりがちです。日本の三大都市である名古屋といえども、フリーランスの報酬相場は低めになりがちであり、一般的には名古屋・大阪では東京の10〜15%程度低い報酬相場が形成されているようです。また、同じ愛知県内でも名古屋市とそれ以外では報酬相場が異なる傾向もあり、都市部の案件であればあるほど、報酬相場は高めになる傾向もあります。

愛知県のフリーランスエンジニアが抱えがちな課題

ここまでで、愛知県特有のフリーランスエンジニア事情を紹介してきました。愛知県の住居費や物価を考慮に入れれば、東京と比較した報酬相場の低さはあまり問題にならないかもしれませんが、住居費を抑えるために地方に居住するエンジニアにとっては、相対的に名古屋に案件が集中し、リモートやフレックスタイムが少ない愛知県の特徴は課題になるかもしれません。通勤しやすい西三河地方・東三河地方・知多地方の案件が少なく、通勤に長時間を要する可能性が高くなるからです。相対的に案件数が少ないWebエンジニアであれば、閑散期の案件獲得が課題になる可能性もあるでしょう。

愛知県で安定的に案件を獲得するには?

それでは、通勤に関連する課題を解決し、閑散期でも安定して案件を獲得するためには、どのような工夫をしていけばいいのでしょうか?愛知県で活動するフリーランスエンジニアの声も交えながら紹介していきます。

愛知県内での人脈を構築する

愛知県に限ったことではありませんが、フリーランスとしての活動を安定させていくためには営業力が重要です。客先常駐でさまざまな現場を経験できるフリーランスのメリットを活かし、愛知県内での人脈を構築する努力を続けていく必要があるでしょう。特に地元の結びつきを重視するマインドを持つ愛知県では、目先のビジネスよりも人脈の強さが案件獲得につながりやすいという意見も多数寄せられています。

東京のリモート案件を獲得する

通勤に関連する課題を解決するには、リモート案件の獲得が早道です。愛知県内の開発案件だけに拘るのではなく、東京に多いリモート案件獲得を目指して積極的に動いていくのが得策です。実際、愛知県の案件を中心としながらも東京・愛知の案件を3:7でこなすWebエンジニアの方は、SNSをフル活用した幅広い人脈形成に注力しており、愛知県のエンジニアにとっても東京が重要な要素であることを表しています。特にインフラエンジニアであれば、東京まで範囲を広げてフルリモートのクラウド案件を獲得するのはそれほど困難ではないでしょう。

まとめ

フリーランスエンジニアとして成功するためには営業力が重要な要素になりますが、愛知県を含む地方都市では、よりその傾向が強いといえるかもしれません。しかし、独立したばかりのフリーランスが、最初から高い営業力を発揮できる例はそれほど多くありません。フリーランスとしての活動を軌道に乗せるためにも、愛知県に強いエージェントを活用しながら経験とスキルを蓄積しつつ、徐々に営業力を付けていく努力を怠らないのが肝心です。