支援対象地域:札幌、仙台、関東、愛知、関西、広島、福岡


ソフトウェア・アプリケーションを効率よく開発するために欠かせないのが、必要な構造・仕組みを予め実装してある「フレームワーク」の存在です。求人数の多いPHPフリーランスエンジニアの方であれば、プラスアルファのスキルとしてフレームワークを習得し、仕事の幅を広げていきたいと考えているのではないでしょうか?そんなとき、真っ先に候補に挙がるのが、人気上昇中のPHPフレームワーク「Laravel」でしょう。

しかし、トレンドの移り変わりの激しいIT業界では、時代とともに流行るフレームワークもあれば、廃れてしまうフレームワークもあります。Laravelのスキルは今後のキャリアアップに有効なのか?そんな疑問を持つフリーランスエンジニアの方に向け、Laravelのフリーランス案件市場の動向を紹介するとともに、報酬アップへのポイント、Laravelの将来性なども解説していきます。

Laravelはどんなフレームワーク?

Laravelとは、オープンソースのプログラミング言語「PHP」で書かれたWebアプリケーションフレームワークです。大規模開発で実績のあるPHPフレームワーク「Symfony」をベースに開発されており、活発なコミュニティの存在とともに、頻繁にアップグレードが繰り返される現在進行形のPHPフレームワークです。2011年のリリース以来、年々人気を高めているPHPフレームワークとしても知られており、日本で主流だったCakePHP、アメリカで主流だったSymfonyを抜き、全世界でのシェアNo.1を誇っているといわれています。2020年現在のバージョンは、同年9月にリリースされたばかりの「Laravel 8.x」です。

Laravelの特徴

オンラインプログラミングスクールで採用される、PHPフレームワークの大半がLaravelになるなど、日本でもその人気は急速に高まっていますが、その理由とは一体なんでしょうか?人気の秘密ともいえる、Laravelの特徴を簡単に紹介していきましょう。

MVCモデルによる低い学習コスト

Laravelでは「Model(データ処理)」「View(画面表示)」「Controller(全体の制御)」という各機能を搭載し、パーツごとに開発していく「MVCモデル」が採用されています。このため、プログラムの処理プロセスを複雑なコードを書くことなく実装でき、どのような処理をどこに書けばいいかが明確になるメリットがあります。シンプルなコードと相まって混乱しづらく理解しやすいため、開発経験が浅くても低い学習コストで習得可能なのが特徴です。

ファイルを自動生成してくれる、多彩な「artisanコマンド」を備えるフルスタックフレームワークであるのも、Laravel人気の秘密だといえるでしょう。ログインや投稿など初心者では難しい機能もartisanコマンドを使えば簡単に実装できるため、開発をスピーディーに進められます。

ライブラリ・パッケージ管理が簡単

パッケージ管理ツール「Composer」が採用されているLaravelは、煩雑になりがちなライブラリ・パッケージ管理が簡単にできるのも特徴です。フレームワークにおいては、あるライブラリを使うには別のライブラリも必要という依存関係が起きがちであり、インストール・管理が複雑になることもしばしばでした。一方、Composerが採用されているLaravelなら、コマンドを実行するだけで必要なライブラリをすべてインストールしてくれます。

データベース連携が簡単

サーバサイドで活用されることの多いPHPは、MySQLなどとのデータベース連携が欠かせません。一般的には、連携用のファイルを生成したうえでコーディングが必要ですが「Eloquent ORM」の仕組みを持つLaravelなら、データベースもPHPのオブジェクトと同様に扱えます。自動生成した.envファイルにSQLの情報を書き込むだけで、簡単にデータベース連携できるのもポイント。migrationというartisanコマンドを使えば、データベースのテーブルを構築できるのも便利な機能だといえるでしょう。

Laravelはどんな開発で活用される?

Laravelのコンセプトは「Web職人のためのPHPフレームワーク」です。Webに特化しているともいっていいPHPとあわせ、当然のことながらWebシステム・アプリケーション開発の現場で多用されるフレームワークがLaravelです。有名サービスで利用されている開発事例を簡単に挙げておきます。

・ECサイト
・マッチングサイト
・ブログサービス
・掲示板・口コミサイト
・予約サイト
・ポータルサイト
・SNS
・ビジネスチャットアプリ
・勤怠管理システム

Laravelのフリーランス案件例

それでは、Laravelに関連したフリーランス案件にはどのような求人例があるのか?Laravelフリーランスの案件市場が気になっているエンジニアの方がイメージを描きやすいように、公開されているフリーランス案件情報をいくつか紹介しましょう。あるフリーランスエージェントで公開されていたLaravelフリーランス案件は、検索時点で279件ありました。

ヘルスケア事業向けAPI機能追加開発エンジニア求人
・必須要件:PHPを使った開発経験4年以上、Linux / Laravelの開発経験
・歓迎要件:ECサイト、予約サイトの開発経験
・待遇:SE、PG、月/〜70万円

介護系マッチングプラットフォーム開発エンジニア求人
・必須要件:PHPを使った開発経験3年以上、Laravelの開発経験
・歓迎要件:Vue.js / JavaScript / HTML5 / CSS3での開発経験
・待遇:SE、月/〜80万円

シニア向けWebサービスアプリ開発エンジニア求人
・必須要件:PHPを使った開発経験2年以上、Laravelの開発経験
・歓迎要件:Linux / Docker / GCPの知識
・待遇:PG、月/〜53万円

Laravelのフリーランス案件事情とは?

Laravelフリーランス案件のイメージを掴めたところで、案件数・報酬相場・求人企業の傾向など、Laravelを取り巻くフリーランス案件市場の動向を簡単に紹介していきましょう。

Laravelのフリーランス案件数は?

まずは案件数ですが、同じフリーランスエージェントでのPHP案件が1,403件あることを考えると、Laravelフリーランス案件の割合はその約20%を占めていることがわかります。139件のCakePHPフリーランス案件が占める割合が約10%、49件のSymfonyフリーランス案件が占める割合が約3.5%であることを考えれば、Laravelの人気・案件数は圧倒的だといってもいいでしょう。もともとGoogleトレンドではLaravelが圧倒的な検索数を誇っていましたが、2018年頃からそれが案件数として実態に反映されるようになってきたといわれています。

Laravelのフリーランス報酬相場は?

ただし、Laravelを含めた各フレームワークの報酬相場はそれほどの違いはなく、平均するとどれも月74〜76万円程度となっています。興味深いのは、フレームワークのスキルというよりは、PHPによる開発実務経験の長さの方が報酬額に影響を与える傾向があることです。もちろん、Laravel / PHPのほかに求められるスキルによっても異なりますが、大体実務経験が2年程度であれば月50万円、3・4年程度になると月70万円以上といったイメージでしょう。

求人企業の傾向は?

Webシステム・アプリケーションで活用されるLaravelは、さまざまな企業がフリーランスエンジニアを求人していますが、SIerなどと並んで、特定の自社Webサービスを開発する企業からの求人が多いのが特徴です。また、どちらかといえば大手・老舗企業というよりも若い企業からのニーズが高いようです。これはLaravelが比較的新しいフレームワークであること、軽量で素早く開発できることなどが、Webサービスを自社開発する若い企業に向いているという理由が考えられます。

Laravelフリーランスが報酬アップするには?

フレームワークというよりは、PHPのスキルの方が報酬に直結しやすいことは紹介しましたが、Laravelのスキルを活かしながらも報酬アップにつなげる方法は、ほかにないのでしょうか?簡単に解説していきましょう。

複数のフレームワークスキル

LaravelのベースとなったSymfonyはもちろん、CakePHPなどの複数フレームワークのスキルがあれば、参画できるフリーランス案件の幅が広がるだけでなく、高額報酬案件も獲得しやすくなります。特にMVCモデル、Composerの採用など、Laravelに近い特徴を持つCakePHPのスキルもあれば、大手企業のシステム改修・移行といった案件に参画できる可能性が高まります。

サーバ・データベースの知識・スキル

Webシステム・アプリケーションのサーバサイド開発に活用されるPHP / Laravelは、データベースとの連携が欠かせません。単なる連携にとどまらないデータベースの知識・スキルが求められるのは大前提ですが、LinuxなどのサーバOSの知識・スキルがあればより高額報酬を得やすくなるでしょう。よく利用されるMySQLのほかにも、Oracleを含む複数データベースの設計・チューニングを習得できれば、自身のスキルもアピールもしやすくなります。

フロントエンドのスキル

Laravelには、JavaScriptフレームワーク「Vue.js」および、CSSフレームワーク「Bootstrap」が標準搭載されており、もともとフロントエンド開発しやすい特徴を持っています。JavaScriptのスキルも求めるLaravelフリーランス案件が少なくないのはこのためであり、比較的報酬額が高額になりやすい傾向にあるのも特徴です。つまり、JavaScript / CSS / HTMLなどのフロントエンドスキルを磨けば、収入アップを狙いやすくなるでしょう。古いJavaシステムをPHPに切り替える案件も少なくないため、Javaのスキルがあればリプレイス案件にも参加しやすくなります。

マネジメントスキル

Laravel / PHPに限ったことではありませんが、PL・PMとしてのマネジメント経験があれば、より高額報酬のフリーランス案件を獲得しやすくなります。現在、PHPエンジニアとして組織に所属するプログラマーの方なら、上流工程の経験を積んでからフリーランスに転身するのが得策だといえるかもしれません。

Laravelの将来性は?

Googleトレンドでの検索数が高い割には、開発で採用されることの少なかったLaravelですが、2018年頃を境にその状況にも変化が生じています。フリーランス案件事情でも紹介したように、2020年現在ではLaravelがPHPフレームワークのシェアNo.1にのぼり付ける状況になっており、この傾向はしばらくの間続くと見られます。Laravelのスキルのみに固執するのは危険ですが、将来性は有望だといっていいでしょう。

まとめ

開発を効率的に進めるフレームワークの習得は、エンジニアにとって必須の要素ではありますが、なにを優先的に学ぶかは頭を悩ませるところでもあり、できるだけ仕事に直結する適切な選択をしたいものです。そういった意味でも、LaravelはPHPエンジニアにとっての適切な選択肢となり得るフレームワークだといえるでしょう。学習コストも低く学びやすいLaravelにチャレンジしてみてはいかがでしょうか?