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Visual C++を知るための2要素について

Visual C++は、Microsoft社が提供するC言語とその拡張言語であるC++、C++/CLIの開発環境です。有料版、無料版の両方があり、企業利用であっても企業規模の条件を満たしていれば無料で使えます。

Visual C++は「VC++」と略して表記されることもありますが、「Visual」はMicrosoftの統合開発環境であるVisual Studioを表していて、C++はC言語の拡張言語C++を表しています。この2要素についてそれぞれ紹介します。

Visual Studioとは

Visual StudioはVisual Studio Community、Visual Studio Professional、Visual Studio Enterpriseという3種類のエディションがあり、「Community」は無料で利用できます。ソフトウェアの開発に必要なエディターやコンパイラ、デバッガが備わっていて、開発言語として大きくVisual Basic(VB)、C++に対応しています。

Visual Studioは1997年のリリース後、バージョンアップを繰り返して進化しています。リリース当時はエディター、コンパイラ、デバッガという開発ツールは各々がぞれぞれ別で用意する必要がありましたが、Visual Studioの登場により用意する手間が省けるようになりました。

またVisual Studioは、クロスプラットフォームに対応しているため、WindowsやMac、iOS、Androidといった異なるOS、またデスクトップやスマートフォンといった異なる端末でも同様に動作するアプリを開発できるという特徴があります。なおVisual Studioは2021年時点、Windows版とMac版がリリースされています。その他にもリッチコードナビゲーションやAI機能等も搭載されるようになり、開発の効率化、スピードアップが促進できる便利なツールとして進化し続けています。

C++とは

C++はC言語を基としたオブジェクト指向型のプログラミング言語です。C言語は1970年代にアメリカで開発された非常に歴史の長い言語ですが、約10年後にオブジェクト指向の考え方を取り入れ、C言語より効率的に開発が行える拡張言語としてC++がリリースされました。

C++は様々な企業との提携がされていて、その中の一つが今回紹介するVisual C++となります。この記号のような「C++」の読み方ですが、「シープラ」「シープラプラ」と呼ばれることが多いです。C++はPHPやJavaScriptといったWeb開発系の言語と比べて一般的に難易度が高いと言われています。またMicrosoftの開発したC#という似たような名称の言語がありますが、オブジェクト指向の言語といいる類似性はあるものの特に関連性はないということにご注意ください。

C++はIoT等の組み込み系のプログラミングに利用されることが多い言語ですが、スマートフォンのアプリやWebアプリにも導入されています。また元々C言語で開発されていた業務システムがC++に移行したというものも多く見受けられます。処理速度が早い、メモリ制御に優れているという特徴があり、複雑な処理を必要とし、負荷がかかりがちな大規模ソフトウェアの開発に向いていると言われています。高度な知識が必要となる言語ではありますが、後発で開発されたプログラミング言語にはC++の影響を受けているものが多く存在するため、C++を習得することでその他言語にも応用が効くようになります。

Visual C++の特徴

Visual C++でC++の開発を行っていくにはもちろんプログラミングが必須ではありますが、グラフィカルな見た目であるため、難しいイメージが付きがちなプログラミングが初めての場合も抵抗なく開始できます。Windows版とMac版がそれぞれあり、Windows版をインストールした場合はWindows環境用のSDK(開発キット)、Mac版をインストールした場合はMac環境用のSDKが利用できるようになります。また作成したプログラムを実行するために必要なランタイムという機能がインストールされていなくても実行できるように設定することができます。元々高速な処理が可能なC++ですが、Visual C++も高速な処理が行える点が特徴です。

バージョンについての注意点

Visual C++には多くのバージョンが存在しますが、バージョンアップを行う場合は既存のVisual C++のバージョンを上げるわけではなく、新たなバージョンを別途インストールする必要があります。そのため自分で以前のバージョンのアンインストールをしない限りパソコン内に残り続け、バージョンアップを繰り返すごとに様々なバージョンのVisual C++が存在している状態となります。

複数のVisual C++が存在していることでパソコンの容量を圧迫している場合はアンインストールの必要性に迫られることがありますが、むやみに実施してしまうと実行の必要があったプログラムが起動できなくなってしまう可能性があります。あらかじめアンインストールするVisual C++のバージョンが、いずれのプログラムでも使われていないことを確認してから実施することをご留意ください。

ライブラリ

ライブラリは特定の機能を実現するためにあらかじめ用意された部品のようなものです。ライブラリを利用することで自分でプログラミングする部分が少なくなり、開発スピードを上げられます。

ほとんどのオブジェクト指向言語ではライブラリが用意されていて、C++でも標準のライブラリがあります。Visual C++にはC++の標準ライブラリの他、Microsoft Foundation Classという独自のライブラリも利用可能となっています。ライブラリには実際の処理内容がいくつも記載されていて、この一塊のコーディングをクラスと呼びます。Microsoft Foundation Classにはオブジェクト指向の言語の基本となる文字列、配列等を扱うクラスや、ソケットやHTTP、FTPプロトコルといった機能を利用するためのクラスが用意されています。

C++/CLIについて

冒頭でVisual C++で開発できる言語として、C++の他にC++/CLIも挙げました。Microsoftではアプリケーションの開発や実行をする環境として.NET Frameworkを提供していますが、この.NET Framework上でC++の開発・実行ができるようにアレンジされたC++がC++/CLIとなり、プログラミング言語の一つとして見なされています。通常のC++で作成したプログラムを.NET Framework環境に移行する際に、ソースの書き換えが基本的に発生しないという点がメリットです。

まとめ

VisualStudioを既に利用したことがある人は、VisualStudioの使い方を理解しているためVisual C++での開発もスムーズに行えることでしょう。VisualStudioの利用が初めてで、C++での開発が必要となった場合はC++の知識の他にVisualStudioに関する知識も習得する必要が出てきますが、開発が効率的に行えるように提供されているツールなので、一度覚えてしまうと便利と感じる可能性が高いと言えます。2年おきくらいで新バージョンアップがリリースされているため、C++での開発が必要となる場合は利用される場面も多いツールですので、ぜひ使いこなしてみてはいかがでしょうか。