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はじめに

就職・転職活動で必ず受けることになる面接を苦手とする人も多いことでしょう。そんな面接を克服するために様々な対策を行うと思いますが、面接で聞かれる質問内容をある程度予測し、その回答を用意しておくことも対策と一つとなります。この記事では面接でよく聞かれる質問を、自分についての質問、転職・退職に関する質問、今後についての質問の3つに分類して紹介していきます。ジャンルを分けることで多少異なった聞かれ方をしても対応できる可能性が高くなるため、ぜひそれぞれのジャンルの回答方法を自分なりに考えながら読み進めていっていただけると幸いです。

自分についての質問

質問への回答をするというよりは、自分の紹介をするという面が強く出る内容を含めています。良くあるものとしては「自己紹介をお願いします」「自己PRをお願いします」という質問で、「1分でお願いします」あるいは「簡単に(手短に)」と時間の長短を指定される場合もあれば、特に指定されない場合もあります。指定がない場合は一般的に30秒〜1分程度にまとめることが適切とされています。

なお自己紹介には「アイスブレイク」の意味もあります。アイスブレイクとは、緊張した雰囲気を和らげてリラックスさせる手法であり、面接でガチガチになっている状態から開放して、できるだけ普段通りに話してもらおうという意図があります。そういった意味もあるので自己紹介に全力を注ぐのは避けましょう。もちろん真面目に取り組み、面接の最初に聞かれることも多いので特にはっきりと大きな声で話すということは大切ですが、自己紹介で何もかも伝えようと意気込んでしまうとどうしても話が長くなりがちになります。そのため、名前や前職(もしくは大学・学部・学科)を伝えたうえで、職務経験や部活・サークル活動の内容を数字を利用しながら一言、二言で端的に紹介し、最後に面接への意気込みを伝える程度がおすすめです。

もう一つのポイントとして、自己紹介と自己PRを混同してはいけないということがあります。これも自己紹介を長くしないための注意点ですが、自己PRの時間は別に設けられていることが多いので、聞かれた際には具体性を持って回答しましょう。なお自己PRに関して自分の特技やスキルを何でもかんでもアピールすることによる効果は薄いです。面接官はあくまで自社の募集要項にマッチする人材かを見極めたいため、もし伝えたいことがたくさんある場合は、志望先・職種に無関係なスキルは優先的に省いて回答しましょう。

また持っている特技やスキルを箇条書きのように並べても印象に残りづらいだけではなく、面接官が自社で生かせるものなのかイメージを付けづらいため、これまでの経験を数字等を使い、身についていると自負している根拠を具体的に示す必要があります

同じジャンルでもう一つよく聞かれる質問としては「長所と短所を教えてください」というものが挙げられます。この質問のポイントは、長所より短所を短くするということが一つです。どちらも具体例を交えて説明する必要がありますが、短所の方を短く終わらせられるよう配分することで、長所の方が印象に残りやすくなります。二つ目のポイントは短所をただ伝えるだけではなく、自覚している短所をどのように改善しようとしている(補おうとしている)かも併せて伝えることが挙げられます。

また「短所はありません」という回答はNGと言えます。短所が全くないということはほぼ嘘を伝えていることになりますし、面接官からは自己分析ができない人、何も考えていない人と判断されるだけではなく、面接を適当に受けているのではと勘繰られる可能性も出てきます。

「職務経歴を教えてください」という質問も、転職時には自分のこととして聞かれやすい基本的な質問となります。自己紹介で触れている場合はそれを具体化することになりますが、ここで気をつけなければいけないポイントは職務経歴を時系列で全て紹介しようとしないことです。特に経験豊富であったり、部署異動や転職回数が多い場合は項目が多くなりがちですが、それらを全て伝えようとすると回答が長くなってしまいがちな質問の一つなので、ポイントを絞って伝えましょう。

ポイントを絞る方法として良いのは、自己PRと似た部分がありますが志望先と合致する内容をメインで伝えるということです。そのためには志望先のことを詳しく知っている必要があるので、面接前の企業の下調べは必須です。

転職・退職に関する質問

「志望動機は何ですか」という質問もほとんどの場合聞かれる質問で、志望先企業の特徴に相応しくない的外れなことを回答してしまうとマイナスになる可能性が高い質問です。そのためにも求人情報はもちろん、企業ホームページやSNS等での事前調査は欠かせません。またたとえチェックしていても解釈が誤っている場合はマイナス評価に繋がりやすいため、もし企業説明会や質問会等が開催されていることがあれば積極的に参加し、質問して認識合わせをしておくのも良いと言えるでしょう。回答内容としては志望企業独自の製品や理念、社長の発言等の中で共感した部分を伝え、共感した理由を自分の経験を交えながら伝えることが一般的です。共感する部分は誰もが確認できる部分なので同じ内容になる可能性も高いため、いかに共感した理由で納得してもらえるかが重要となります。

正直に答えて良いか迷うのが「退職理由を教えてください」という質問です。面接を受ける側としては伝えづらいものの、企業側としては入社後に同じ理由ですぐ退職してしまう状況にならないかということを確認したいと思っています。また仕事においてどんな点を重視していて、何がモチベーションの原因となるのかを確認することで社風への適正等を窺っています。実際の退職理由はキャリアアップ等のポジティブなものばかりではなく、むしろネガティブな理由であることが多いのではないでしょうか。そのため退職理由は嘘をつかずにいかにネガティブなこともポジティブに伝え切るかということが重要になってきます。直接の理由が人間関係やハラスメント等ポジティブに変換しづらい内容であっても、前職の不平不満に共感してもらいたくて面接に行っているわけではないので、その問題を解決するために自ら行ったことを伝えると良いでしょう。

企業によっては「希望年収はどのくらいですか」という質問を投げかけてくる場合があります。これは純粋にコスト面の摺り合わせをしたいという面があると同時に、自己評価が適切か、伝えてもらったスキルと年収に不可解なギャップはないかということを確かめる意図があります。正しく自己評価できることは社会人に必要とされる能力の一つなので給料相場もあらかじめ確認しておきましょう。なおスキルと年収にギャップがあると本当に能力があるのかを疑われるポイントとなるので、もし相場を確かめた際に前職の給料が見合っていない場合は、その理由を分析して説明できるようにしておきましょう。

回答としては前職の年収、月収と同等か少し多い額で伝えるのが一般的と言えます。なお多い額で伝える場合はそれなりの根拠や意気込みを付け加える必要がありますが、その際に例えば「住宅を購入する予定があるため」等の自己都合を理由としてあげるのは厳禁です。給料は仕事の成果やスキルに対して支払われるものなので当然と言えます。

今後についての質問

面接官は今後を見据えるための質問として「将来の夢はなんですか」「将来この会社で何をしたいですか」「10年後何をしていると思いますか」「キャリアプランはありますか」という質問をします。これは企業のビジョンや理念、価値観に見合った人物か、ただ単に給料が欲しいだけではなく仕事に対して目標や志を持っているかを確かめる意図があります。

キャリアプランを聞かれたり、この会社でどうなりたいかを聞かれる場合は自ずと仕事に限定した回答をしやすいですが、漠然と「将来の夢」について聞かれた場合においてもプライベートなことは回答せず、自身の職種や志望先、あるいは業界に関連した内容でまとめることが前提となります。またこのジャンルの質問に関しても、志望先では実現できないことを含めてしまうのはマイナスになります。将来像を実現するために自分はどんなことをしているか、どうしようと考えているかを伝えられると良くなります。

「就職したらやりたい仕事は何ですか」「入社後に挑戦したいことはなんですか」という質問も類似したものとなりますが、こちらも実際にやりたいことを述べたうえで、そのために自分はどうしようと思っているのかをあわせて伝えましょう。またやりたいことについても、例えば志望先の部署名やプロジェクト名等、具体的な内容を含めて伝えるとなお良いでしょう。

その他の質問

最後にその他の質問として、回答に少し工夫が必要となるものを紹介しておきます。一つ目は「最後に質問はありますか」「何か質問はありますか」といういわゆる逆質問です。この質問をされた際はもちろん疑問に思っていることを単純に解消するために使っても良いですが、意欲をアピールする機会にもなります。

例えば「御社で働くうえで心掛けておいた方が良いことはありますか?」「採用された際にあらかじめ勉強しておいた方が良いことはありますか?」「新たな巨大プロジェクトが発足することを説明会で伺いましたが、いずれはそちらに携わることも可能でしょうか?」と言った前のめりな姿勢の質問が効果的と言えます。一方で企業のホームページ等で調べれば分かることを聞いてしまうとあまり興味がないのではないかと思われてしまうので避けるべきです。また「残業は多いですか?」「福利厚生は実際どの程度利用されていますか?」等メインの仕事ではなく条件面ばかり質問するのも極力避けた方が良いです。しかし企業独自の福利厚生があって調べても全容が見えてこない場合は迷わず聞いてみましょう。

「他に受けている会社はありますか」という質問を受けることもありますが、こちらも嘘をつく必要はなく基本的には状況をそのまま伝えましょう。本当に面接を受けている企業が1社のみであればその理由を説明すれば良いだけですが、複数同時に受けている場合も、その理由を明確にする必要があります。「○○に関する製品に携わりたいと考えているため、○○の開発をしている企業数社に志望しておりますが、その中でも特に最新の技術を積極的に取り入れている御社を第一志望としております。」という回答が一つの例です。なお第二志望以下であることに関して正直に伝えるのはお勧めできません。そのため本当の第一志望ではないとしても、この企業を第一志望とするのであればどういう理由があげられるかをあらかじめ考えておき、上記回答例のように、その理由によって第一志望としていることを伝えましょう。

その他にも、転勤の可否について問われることがあります。実際にできない状況があれば正直に伝えないと、入社してもすぐに辞める原因になりかねません。全国に支店があって転勤を前提とするような企業や業種である場合に「転勤ができません」と言ってしまうと条件にマッチしない人物と判断される可能性は高いので、企業の下調べを十分に行ったうえで、転勤が不可なのであれば応募自体を諦めた方が良いと言えます。

また転職時にブランクがあると、ほとんどの場合ブランクの理由やブランク期間中にやっていたことを問われます。病気・怪我の療法であれば現在完治しているか、仕事に支障はないかをあわせて伝えましょう。勉強や資格取得期間として利用していたのであればなぜ勉強しようと思ったのか、仕事をしながらではできなかったのか、結果はどうだったか、今後どのように生かせるのかを回答すると効果的です。

まとめ

面接でしっかり受け応えできるようにと完璧な回答内容を用意して、回答を丸暗記した上で面接に臨む人がいます。しかし実際に聞かれる質問は100%予想していたものと一致するということはほぼありません。また丸暗記では予想外の質問が来た時に回答を用意しておらず、かえって慌ててしまう可能性があり、丸暗記したことを一言一句全部話そうとすると一方的に話してしまい、面接官との会話が成立しない原因にもなりかねません。そのため今回紹介したジャンルごとのよくある質問例を参考にしていただき、それぞれに言いたいことをあらかじめまとめて、実際の面接で質問されたことには考えておいたことを基として臨機応変に回答できるようにしていくことをおすすめします。